コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

臨床の砦と非日常性

日常の裏に潜む亀裂や非日常は気づかれにくい。 現場の臨床医の日常は非日常である。 コロナ禍になり、非日常性はますます拍車がかかった。 臨床の砦はコロナの最前線で戦う医師の非日常を見事に描写している。 終わることのない日常業務の合間に行う発熱と…

悪性リンパ腫のミミックとなるMyeloid Sarcoma

全身のリンパ節腫脹で芽球はない 悪性リンパ腫か? しかし、骨髄生検からはMDS overt leukemia Myeloid Sarcomaと思われる。 Myeloid Sarcomaは 以下下記のサイトより引用 http://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/049010025j.pdf ○myeloid sarco…

COVID-19による横紋筋融解症

COVID-19による横紋筋融解症と急性腎不全を経験しました。 調べてみました。 まずBMJ-case reportの報告を見つけました。 https://casereports.bmj.com/content/bmjcr/13/9/e237616.full.pdf 38歳の糖尿病があるけど元気な男性の、悪心、発熱、四肢の筋痛…

SS-A陰性のシェーグレンと抗セントロメア抗体

抗セントロメア抗体陽性で限局型強皮症? しかし、ドライアイ、ドライマウスがある。 韓国の355人の原発性のシェーグレンを対象とした後ろ向きコホート研究 SS-A/Ro 抗体が陰性のサブタイプの特徴を調査 www.clinexprheumatol.org 抗Ro/SSA抗体陰性群で…

高TG血症による急性膵炎

高TG血症による急性膵炎について勉強しました。 医学書院の内科診断リファレンスによるとTG≧1000が、高TG血症による急性膵炎を疑う目安と記載されており、下記のレビューでもそのように記載されています。 www.ncbi.nlm.nih.gov ただし、臨床的な実感では高T…

スピリチュアルペインについて

緩和ケアではトータルペインが有名ですが、 総合診療医としてはBPSモデルにスピリチュアルペインという考え方がわかりやすいですね。 かごしま緩和ケア・ネットワーク:スピリチュアルな痛みの構造 時間存在将来があるから現在の自己の存在が認識される 関係…

大規模病院での総合診療の専門性?

昨日、母校の大学病院で誤嚥性肺炎の講義をさせていただきました。 大学病院はまさに専門科の集まりでエキスパートの集団です。 総合診療医は不要なのかなと思いましたが、ただ皆誤嚥性肺炎に困っている印象を受けました。 それも、純粋に誤嚥性肺炎で困って…

総合診療と離島医療

沖縄の離島に2週間行ってきました。 実は、初めての離島でした。 実感したのは、総合診療と離島医療は、やはり相性がいいなと。 というか、離島での医療は総合診療そのものでした。 よく、内科と総合診療の違いとか言いますが、離島では内科とか外科とか関…

OHATと入院した高齢者における死亡率との関連 後ろ向き観察研究

bmcgeriatr.biomedcentral.com P 急性期病院に入院した高齢者(50床の地域小規模病院) E OHATスコア3以上 C OHAT1−2 、OHAT0 O 60日以内の院内死亡 急性期病院における歯科衛生とアウトカムの関連を示したエビデンスは乏しいため、今回の研究を行っ…

誤嚥性肺炎ただいま回診中発売記念  ABCDEアプローチの概要、誤嚥性肺炎のエビデンス

今回は、誤嚥性肺炎ただいま回診中の発売記念として、誤嚥性肺炎のABCDEアプローチを簡単に概説します。 詳しく知りたい方は、ぜひ本書を読んでくださいね。 〇誤嚥性肺炎のABCDEアプローチ 誤嚥性肺炎のマネージメントは絶食、抗菌薬、STオーダーだ…

Gノート 2020年12月 Vol.7 No.8 内科診療の幅がグンと広がる! ⼼療内科的アプローチ〜これって⼼⾝症?患者さんの“治す⼒"を引き出すミカタ

編集/大武陽一(伊丹せいふう病院 内科/堺市立総合医療センター 心療内科・緩和ケア科),森川 暢(市立奈良病院),酒井清裕(総合診療科,近畿大学医学部 内科学教室心療内科部門/近畿大学病院 がんセンター 緩和ケアセンター) 特集にあたって【酒井清裕…

COVID19へのレムデシビルの効果

https://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa2007764?articleTools=true ジャーナルクラブで読みました。 以下、感想。 アウトカムがオリジナルのスケールを使用しているが、シンプルに死亡や人工呼吸管理などでも良かった印象? あえて、そうしたのは有意…

COVID-19に対するデキサメタゾン

https://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa2021436?articleTools=true&fbclid=IwAR25azVCRVh_DrGaDbHkC18VGanQJ_CAE4PzQkb0j7vd-Bf2ThefnDCUlnY P Covid-19 で入院した患者 デキサメタゾンをすでに使っている患者は除外 I デキサメタゾン6mg 10日投与 …

2021年の展望?

あけましておめでとうございます。 アメリカのテレビ局に企画を売り込んで、それが通ったという初夢を見ました。 2021年は相変わらずコロナでしょうが、勝負の1年として行きたいと思います。 ・臨床 引き続き、臨床は今まで通りがんばりますが、高岸先生が来…

2020年振り返り

○書籍 2020年 病院家庭医新たなSpeciality 南山堂 http://www.nanzando.com/books/20991.php Gノート 2020年12月号 Vol.7 No.8 内科診療の幅がグンと広がる!⼼療内科的アプローチ これって⼼⾝症?患者さんの“治す⼒”を引き出すミカタ 大武陽一,森川 暢,…

しくじり症例から学ぶ!Difficult Patient対応技法

しくじり症例から学ぶ!Difficult Patient対応技法【電子版付】|書籍・jmedmook|日本医事新報社 鋪野紀好先生からのご依頼で執筆させていただきました! Difficult Patientというと患者さんの問題のように思いますが、実は複合的な問題であることが重要です…

慢性冠動脈疾患に対するコルヒチンは複合エンドポイントを改善する?

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2021372 P 慢性冠動脈疾患を有する患者 E コルヒチン0.05mg C プラセボ O プライマリーアウトカム:心血管死,自然発症(手技に起因しない)の心筋梗塞,脳梗塞,虚血による冠動脈血行再建術の複合 主要セ…

医療者のための 成功するメンタリングガイド

献本いただきました。 とても勉強になりました。 メンターとメンティーに関して古典的な徒弟関係を見直す素晴らしい本でした。 以下学びになったポイントを ・メンターは一人である必要はなくチームである →確かに、個人的にもメンターとして私淑している人…

PCR コネクト2日目

本日は、PCRコネクトの2日目でした。 朝からレクチャーを盛りだくさんでしたが、とても有意義でした! 宮下先生のACPのレクチャーを聞きました。 市中病院で臨床をやることの難しさ 社会的ネットワークが大きいほうがACPを実践しているのではという研究テー…

PCR Connectに参加した感想  2020  ①

pcrconnect.org PCR Connectに参加しました いろんな先生の研究デザインに対して臨床研究のプロがどのようにフィードバックするのかを勉強することが出来ました! 以下、本日の学び 統計解析だけでなくデザインで交絡因子を調整することも重要 場合によって…

レジデントデイ 2020年 12月 市立奈良病院 総合診療科

本日のレジデントデイの感想を 終末期ケアについて 基本的には認知症ではADLが重要で、FAST分類によるターミナルステージかどうかの判断が重要 認知症のIllness trajectoryを意識して、今どこにいるかを意識しながら家族と現状を共有することが重要 認知症の…

坂本先生救急外来の原則Zoom @奈良

" data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true">本日は、あの坂本壮先生に研修医向けZoomレクチャーを市立奈良病院で、していただきました! " data-en-clipboard="true">坂本先生、本当にありがとうございました。 "…

時間とはなんだろう 最新物理学で探る「時」の正体 (ブルーバックス)

時間とはなんだろう 最新物理学で探る「時」の正体 (ブルーバックス) オーディオブックで読みました が とても難解な本でした。。 物理学の素養が少ない私には辛い。 でも、非常に印象に残ったことも多かったです。 時間とは絶対的なものではなく、空間同様…

臨床決断支援システムによる医師の処方の実施率の向上について

Physicians’ Compliance with a Clinical Decision Support System Alerting during the Prescribing Process | SpringerLink abstract 臨床決断支援システムは、医師のパフォーマンスを向上させることが示されている。医療過誤を防ぐように設計されたシステ…

アウトプット大全

」 今更ですが、読みました! アウトプットの重要性について再度、認識できました。 アウトプットとインプットの黄金比率は7:3とのこと。。 確かに、アウトプットしないと頭に残らないという実感はあります。 アウトプットの形としては話すことや教えること…

2020年12月11日 大浦先生マルモレクチャー

" data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true">南砺市民病院の大浦誠先生にマルチモビディティ(マルモ)のレクチャーをしていただきました!! " data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true"> 誤嚥性肺炎でマルチモビディティどうする…

マルチモビディティパターンとポリファーマシーの関係

Multimorbidity patterns in relation to polypharmacy and dosage frequency: a nationwide, cross-sectional study in a Japanese population | Scientific Reports 日本のマルチモビディティ研究におけるランドマークスタディなので読んでみました。 セッ…

あめいろぐ高齢者医療

読了しました。 とても興味深かったです。 内科とは違い、以下の俯瞰的思考法にチェンジすることが高齢者医療では重要とのことです。 〇5Msを使った俯瞰的思考法 ・Mind/Mental(認知、精神) ・Mobility(機能障害、歩行障害、転倒) ・Medication(ポリファー…

JADECOM老年医学セミナー 2020年

本日、狩野先生、許先生をお招きして老年病セミナーを行いました! 〇レクチャー ・狩野先生 内科的な臓器別の問題点ではなく、老年医学的な問題点にフォーカスを当てて、臓器横断的に介入することが重要 評価したうえで、包括的に介入することがCGA 老年医…

COVID-19 におけるCPAへの対応について

www.japanresuscitationcouncil.org 本日の救急の勉強会では、COVID-19 におけるCPAへの対応について 状況が不明なCPAはCOVID-19対応とする 可能ならN95で挿管を 人工呼吸は閉鎖式で ルーカス装着する 心臓マッサージは感染のリスクであり、ルーカスを優先 …