読了しました。
とても興味深かったです。
内科とは違い、以下の俯瞰的思考法にチェンジすることが高齢者医療では重要とのことです。
〇5Msを使った俯瞰的思考法
・Mind/Mental(認知、精神)
・Mobility(機能障害、歩行障害、転倒)
・Medication(ポリファーマシー、薬剤有害事象)
・Multi complex(複雑症例、多併存疾患)
・Matteers most(ゴールの設定、ACP)
これは、以前に御紹介したCGAプロブレムリストの考え方とほぼ同じですね。
総合診療的CGAの講演内容 2019年 3月16日 - コミュニティホスピタリスト@奈良
さらにCGAの簡易verとして誰にでも実践可能なDEEP-INを御紹介されています。
〇CGA簡易ver ⇒DEEP-IN
D Dementia,Depression,Delirium,Drug 認知症、うつ、せん妄、薬剤
EE Eye Ear 視力、聴力
P Fall Physical function 転倒 身体機能
I Incontinence 失禁
N Nutrition 栄養
日本で提案されているStart up CGAともよく似ています。
医学書院/週刊医学界新聞(第3022号 2013年04月08日)
個人的には尿失禁の項が目から鱗でした
尿失禁の背後にある急性疾患や老年症候群、身体機能低下、認知機能低下をつねに考えて、介入し、安易に尿失禁の薬を使わない
尿失禁の原因として老年医学的アプローチを常に行う
尿失禁がなくなることではなく、患者や周囲の介護者のQOLをゴールにする
特に緩和ケアについては非常に多くの項がさかれており、非癌の緩和ケアの重要性、コミュニケーションの重要性、shared decision makingについてなど、とても勉強になりました。
また組織として高齢者に優しい組織を作る必要があるとしています。
・本人の意思決定を尊重
・高齢者にリスクのある薬剤のチェック
・せん妄の予防の徹底とスクリーニング
・身体機能の低下を防ぐように徹底する
などを医療機関としても取りくむ必要があります。
総じて、老年医学のエッセンスを非常に分かりやすくまとめてくださっており、勉強になりました。
基本的にBPSモデルやPCCMなどをベースに置いた総合診療医と老年医学の先生はベースはほとんど同じだなと感じました。
ただ、老年を専門にすることによる背景にある理論的構築やエビデンスの構築は、老年の先生方の深みは素晴らしいなとも思いました。
特に、総合診療医は老年医学のエッセンスを必ず身に着けることが必須ですね。
詳しく勉強したい方は、ぜひ読んでください!