総合診療的CGAの講演内容 2019年 3月16日
本日、奈良県の方のお招きで奈良で総合診療流高齢者の話をさせて頂きました。
詳細は下記のスライドをご覧ください。
●スライド
http://jyoutoubyouinsougounaika.hatenablog.com/entry/2019/03/16/103534
また以前、Antaaで行ったFB動画もご参照ください
●動画
https://www.facebook.com/tatsuya.fujii.37266/videos/1574353906001702/?t=17
皆さん非常に熱心に聞いてくださりました!
今更ですが、関西弁で話すほうが、乗りますね。
あまり、意識してなかったのですが、講演の時は関西弁でやるほうがノリがよくなって調子が良いです。
ただ、今日は調子乗りすぎてWSが出来なかったのは反省。。
タイムテーブルを作る余裕がなかったですからね。
その分、インタラクティブにいろいろできたのは、楽しかったですね。。
内容は以下の通りです。
なお、このフレームは、奈良市立都祁診療所の西村正大先生が提唱され、森川がDrugを加えた概念です。
西村先生に感謝ですね!
●CGAプロブレムリスト
BPS+ICFを基本にしつつ、ポリファーマシーと臨床倫理/緩和ケアをミックスしたプロブレムリスト
6ドメインアプローチ
〇Ethical 倫理的な問題
〇Biomedical 生物学的な問題
〇Drug 内服に関する問題
〇Functional 機能的な問題
〇Socilal 社会的な問題
〇Psychological 精神的な問題
〇Ethical
#DNAR
#アドバンスケアプランニング 例:どこで最後を迎えるか
#倫理的問題 例:胃瘻を作るべきかどうか
#緩和ケアの適応について
*意思決定の原則
例えば胃瘻を作るという意思決定をしたのなら、なぜその結果になったのかというプロセスが大切。
結果だけで満足しない。
アドバンスケアプランニングの本質は、プロセスにあり。
DNARの確認では、本人の意思が最も大切。
家族はあくまで本人の代理意思決定者であり、本人の意思を度外視して家族に意思決定をさせるのは論外。
医師一人で大切なことを決めない。多職種、家族で相談して決める。
倫理的に悩ましければ多職種で臨床倫理の4分割表を用いて、臨床倫理カンファレンスを行う(本人や家族がカンファレンスに参加しても良い。)
〇Biomedical
通常通り、Acute, Chronicに分けてプロブレムリストを記載する。
【Acute problem】
#尿路感染症
#ESBL大腸菌菌血症
2018/7/20 – 7/26 MEPM 1g q12h
2018/7/27- CMZ 2g q 24h
【Chronic problem】
#経口摂取不良 経管栄養希望なし
#寝たきり
#仙骨部褥瘡感染 2018/5/11-5/19 ABPC/SBT
#洞不全症候群 2001 .9 ペースメーカー留置
〇ポイント
重要なものから書く(Active , Chronicで分ける)
日付と転機を入れる
終了したプロブレムはChronic へ移動する。
病歴、身体所見、検査所見のすべての異常を網羅する。
まとめるプロブレムはまとめる
〇Drug
飲んでる薬剤を全て網羅する。
ポリファーマシーを忘れない。
5剤以上内服している場合は減らせるかを確認を。
・高齢者で減らせるかを常に検討すべき薬
三環系抗うつ薬
抗コリン薬(過活動膀胱に使うなら、ベタニスに変更。)
抗ヒスタミン薬
PPI(漫然と内服するとリスク高い)
H2阻害薬
抗血小板薬(1次予防では使わない)
スタチン(高齢では利益少ない)
利尿薬(脱水になっていないか)
制吐薬(パーキンソン症候群のリスク)
酸化マグネシウム(腎機能障害では禁忌)
SU薬、ビグアナイド、ピオグリダゾン、SGLT阻害薬(高齢者では使用を控える。SUを使うなら、グリミクロン20㎎/日のみ)
NSIAIDS
活性型ビタミンD製剤(高齢者で腎機能障害あれば中止。)
・開始を検討すべき薬
L-DOPA(パーキンソン症候群を疑う)
リバスチグミン(認知症で傾眠傾向)
ACE阻害薬(高血圧+嚥下障害)
ユリーフ/ハルナール(排尿障害ある場合)
エブランチル、ベサコリン(女性の神経因性膀胱)
ベンコール(便秘全般)
カロナール(疼痛でADL低下している場合に定期内服)
〇Functional
ADL
D: Dressing 着替え
E: Eating 食事
A: Ambulation 歩行
T: Toileting 排泄
H: Hygiene 清拭
iADL
S: Shopping 買い物
H: Housekeeping 家事・掃除など
A: Accounting 口座管理
F: Food preparation 食事準備
T: Transportation 移動・交通機関
・視力 まずは自覚症状で見えにくいかどうか ⇒見えにくければ眼科受診(特に白内障は高齢者で多くさらに可逆的)
・聴力 自覚症状や会話などでざっくり聞こえにくいか ⇒聞こえにくければ耳鏡で耳垢塞栓除外し、耳鼻科に繋げて補聴器調整。
・排尿機能 頻尿、残尿感などでスクリーニング
・運動器 関節痛や腰痛の有無 四肢の筋力低下
・サルコペニア 見た目での筋肉量の減少を見る
・嚥下機能 ムセや食事をこぼしたりの病歴、 水飲みテスト フードテスト
・栄養状態 体重減少 食事量低下 BMIを確認
⇒MNA-SFで確認
・口腔衛生 齲歯の有無 口臭 義歯があっているか 舌苔 喀痰のうむ
〇Social
・介護申請 要支援? 要介護?
・経済状況
・家族構成、家族の介護力
・キーパーソンは?
・教育歴、職業歴
・自宅の環境は? 都営住宅? 一軒家? 何階建て?
家族構成では、家族図を書くと良い。
家の状況を見ると一目瞭然であることも!
遠方のキーパーソンの存在に注意!
〇Psycological
・うつ 2点スクリーニング ⇒陽性ならPHQ-9
・BPSDの有無
・せん妄リスク/せん妄の発症
・意欲/アパシー 自分から挨拶するか、挨拶して返答するかでスクリーニング ⇒怪しければVitality Index
・アルコール依存の有無 CAGEスコアとAUDITで確認
FAST ⇒ADLが寝たきりならその地点で認知症として重症!!
BPSD
Vitality Index 8点以上で意欲低下
せん妄予防には、環境調整が極めて重要。
認知症は、薬物で直すのではなく、ケアを包括的にすることが重要。
せん妄のリスク因子を、一つ一つ地道にに介入していく。

なお、老年医学について詳しく知りたい方は下記の本がお勧めです!