コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

2022年の抱負

今年もよろしくおねがいします。

以下、今年やるべきことです。

 

○臨床

・週1回の診療所勤務でより、家庭医療の視点を深めること

・1つ1つの症例を大切にして、文献検索を行う

誤嚥性肺炎におけるケアをさらに向上させる

 

○臨床研究

・筆頭執筆者の研究論文を3つを目標に(大学院、マルチモビリティ研究、誤嚥性肺炎)

 

○教育

・後期研修医が増えるので教育システムの改善を図る

・とくにチーム制の導入や外来振り返り、家庭医療教育の充実とともに、GIMの基礎についても臨床推論も含めて強化を

 

○JAPEP

セミナーをより大規模に行いつつ安定的に運営する

・教育システムの確立

・JAPEPの活動を何かしらの形でアウトプット

 

 

○執筆

・主編著 1本 (総合診療関係の大プロジェクト)

・単著 1本(内科病棟関係)

・雑誌の編集 本

・他共同編集や共同執筆

・余裕があれば、構想している主編著本2つを軌道に乗せる

まずは、主編著の最も重大な本を絶対に、今年中に出版する。

 

総合診療×風の谷×コモン 新しい里山の構築

 

安宅和人のシンニホン

斎藤幸平の人新世の「資本論

シンニホンでは科学分野や教育への投資とICTの徹底的な活用による経済の活性化を主張するが、最終的には地球環境問題を経て、風の谷という構想にいたる。

風の谷とは、テクノロジーの力を使って、自然と共に豊かに生きる思想だ。

具体的には地方の限界集落を再構成することで、人が手入れした自然豊かな土地=風の谷を世界中で構築するという構想である。

これは、風の谷のナウシカのオマージュであり、ブレードランナー的な一極集中型未来(攻殻機動隊的な未来とも言える。)へのアンチテーゼである。

斎藤幸平は、人新世の「資本論」で資本主義を否定する。

具体的は資本主義の経済発展至上主義は、地球環境という視点ですでに限界に来ていると指摘する。

そのうえで、脱成長を掲げ、資本主義の隷属とならない豊かさを目指す。

そのためには医療や教育、介護などのインフラを商品化をやめ、お金を使わずにアクセスできるもの=コモンへの転換を唱える。

バルセロナのようにコモンを拡充し、緑化や再生可能エネルギーの利用を進め、個人的な車の利用を制限するという都市をもっと増やす。

このようなコモンを重視し脱成長を目指す思想=脱成長コミュニズムを唱える。

一見、対象的な両者の結論が、風の谷とコモン。

興味深いことにその意図は、かなり似ている。

今回、私の専門である医療に的を絞って考察したい。

結論から言えば、風の谷とコモンを実現するためには総合診療が必須である。

その根拠を述べる。

 

①風の谷と総合診療

安宅和人が目指す風の谷は、菊の花構想という概念とセットとなっている。

菊の花構想とは、簡単に記述すれば、若者は風の谷に定住し、高齢者は都市部の近くに定住するように意図的に誘導するという構想である。

その根拠は若者は救急車の利用率が低く、高齢者は一方で救急車の利用率が高いというデータに由来する。

高齢者は国の貢献者であり優先的に医療を受けれる体制を作るべきであるという主張である。

ただ、ここでは、あえてこの主張の問題点を述べることにする。

確かに、高齢者で救急搬送率が高いのは事実であるが、その中で大規模急性期病院での治療が必須である症例の割合は決して高くない。

具体的な数字はおそらく存在しないが、体感的には1割にも満たない。

これは森田 洋之氏の論点からも明らかである。

「財政破綻の夕張」で起きた地域医療の現実 | 健康 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

夕張では病院が閉鎖することで、救急車の利用率はむしろ減少し、その代わりに在宅医療が増加し、死亡率は減少しなかったという結論である。

つまり、高齢者が救急車を呼ぶ割合が高いため、より急性期病院での医療が必須であるというのは誤解である。

具体的には、高齢者の転倒や発熱、食欲低下などは決して急性期病院でないと対応できないわけではない。

特に認知症で寝たきりの高齢者では急性期病院で出来ることは限られており、実際は在宅医療で対応できる症例が、少なく見積もっても8割程度というのが実感である。

実際は、真に急性期医療を必要とする心筋梗塞脳梗塞の患者は中年~元気な高齢者が大多数を占める。

また外傷は若年者でも頻度が高く、高度な急性期医療が必要となることも多い。

よって、高齢者を全例、優先的に都市部に誘導するという立場には反対である。

ただし、私は風の谷構想自体は肯定的な立場である。

よって代替案は以下のようになる。

非情に聞こえるかもしれないが、いわゆる公的な特別養護老人ホーム老健施設、有料老人ホームは風の谷に優先して配置する。

都市部の有料老人ホームの入所には制限がかかる。

しかし、高齢者で自立していればむしろ優先的に都市部に住むことが可能になる。

よって、風の谷に求められる医療は若年者のケアのみならず、高齢者のケアにも長けている必要がある。

また将来的には風の谷で子供を生むことを考えると、産婦人科や小児科にも長ける必要がある(異常分娩は都市部で行うことが必須だが正常分娩は風の谷で完結する必要もあるだろう。)

また若年者の急性期疾患ではその初期治療と急性期対応にあたり、風の谷で完結できるものは完結し、必要であれば都市部の病院への救急搬送も担う。

さらに風の谷となった地方で最後まで過ごしたい高齢者も、尊重されるべきだ。

当然、このような幅広い分野を各分野の専門医が診るというのは効率が悪く、人件費の無駄である。

よって、必然的に総合診療医ではないと務まらないことは自明の理である。

医療の分野に詳しくないかたは想像できないかもしれないが、医師はすべての分野を診療できるわけではない。

学生や初期研修時代は広く学ぶが、医師3年目で専門を決めてからは基本的には自分の専門分野を診なくなる。

もちろん救急外来や一般外来など例外的に専門分野以外を診ることはあるが、一部の例外を除き、基本的には「やっつけ仕事」とならざるおえない。

専門分野を極めることも決して簡単ではないからだ。

一方で、総合診療医は医師3年目から総合的に幅広く診療できるための専門的な研修を受ける。

同じ医師ですら誤解しているが総合診療は専門性がないというのは、間違いだ。

むしろ、上記のような風の谷で求められるような幅広い領域へ対応するには頻度が高い病気や病態への対応について専門的に研修する必要がある。

そのような研修こそが総合診療の研修である。

風の谷では診療所ベースで複数の医師がチームを組む「家庭医」タイプの総合診療医が必須であると考える。

なお、風の谷では大規模急性期病院が存在しえないので専門医にとっては専門的研修が出来ないというデメリットがあり医師確保が難しい。

一方で、総合診療医にとっては風の谷こそ最も自分たちの研修が出来る場のひとつであり、さらに風の谷同士を繋げれば大規模多施設臨床研究も可能になる。

風の谷は専門医にとってはデメリットしかないが、総合診療医は無限のメリットを生み出せる可能性がある。

また都市部では総合診療医が不要であるかというとそうではない。

都市部であっても、専門医が診る前のゲートキーパーとして、あるいはクリニックでの慢性期ケアや在宅医療で「家庭医」タイプの総合診療医が必須である。

さらに、急性期大規模病院であっても、専門医の狭間に陥りやすい高齢者や精神疾患合併あるいは多疾患併存状態では総合診療が専門性を発揮できるため、「ホスピタリスト」タイプの総合診療医も必要になる。

また風の谷の一部に中規模の病院を作り、風の谷の患者を集約することも可能である。

この病院をコミュニティホスピタルと名付ける。

コミュニティホスピタルも総合診療医が主体となって病棟、外来、救急を運営し、必要に応じて都市部の病院と連携するほうが人員を抑えられ、効率的である。

なお、5Gを利用して、風の谷の総合診療医から都市部の専門医にコンサルテーションすることも可能である。

実際に、tele ICUという都市部の集中治療専門医が遠隔で地方の集中治療室に指示をする体制も実際に構築されている。

また、海外では遠隔で専門医にコンサルトするシステム(e-consult)が確立され、研究され始めている。

Electronic consultations (e-consults) to improve access to specialty care: a systematic review and narrative synthesis

 

日本でも同様のe-consultの事業が立ち上げられている(このブログの筆者はこのプロジェクトに関わっておりCOIあり)

サービス | 株式会社Medii

 

風の谷は、e-consultを利用した研究にはうってつけの環境となり、科学の新たな知見を創出する場となる。

 

ちなみに、年間9000人程度が医師になるが、総合診療専門医は200人程度であり、全体の2%程度に過ぎない。

なお、イギリスでは医師全体の29%が総合診療医である。

そもそも、現状でも、総合診療医が足りていない。

風の谷を作るなら、全く足りないと言わざる負えない。

医師の3割が総合診療医となるようにならないと、風の谷は夢のまた夢だろう

 

 

②コモンと総合診療

コモンが総合診療と相性が良いというのは直感的には自明である。

そもそも、コモンは脱成長とセットである。

つまり大量生産、大量消費の資本主義の脱却を図るという意味になるが、医師の業界においては製薬会社と専門医療の関係についてが主問題となる。

製薬会社は毎年、多数の新薬を開発している。

例えば、新規抗凝固薬などの循環器領域の薬剤や、SGLT2阻害薬などの糖尿病領域の薬剤は代表的なものだろう。

製薬会社は新薬の新しい臨床試験を繰り返し新規薬剤の優位性をアピールする。

この構造は資本主義にほかならない。

確かに新規抗凝固薬はたしかに便利であるが、歴史がある薬剤であるワーファリンに比べて劇的に生命予後が改善するわけではない。

出血が減り調整が不要というメリットはあるものの、ワーファリンの値段が1錠9.6円に対して、新規抗凝固薬は1錠 500円前後と圧倒的な差がある。

SGLT2阻害薬も同様である。昔から使われておりさらに死亡率も減少させ国際的な第一選択薬となているメトホルミンはジェネリックならば1錠500mg製剤で13円である。

一方で新薬であるSGLT2阻害薬の値段は200円前後である。同薬剤は心不全の新規治療薬という側面も持っており、その意味では代替が難しいが、しかし糖尿病治療薬としてはメトホルミンが基本的には優先される。

しかし、製薬会社の宣伝努力もありメトホルミンよりもSGLT2阻害薬が処方される機会はそれなりにある。

総合診療医にはもともと、新薬は控え歴史的に使われていた薬剤を大切にする文化がある。

もちろん専門医は新薬を積極的に使うことが専門分野の開拓につながる側面があるが、少なくともプライマリ・ケアの現場で新薬を大量に使用することは、医療経済的にも負担が大きい。

さらに、先の森田氏の論述でも述べられているように夕張で病院が閉鎖されて、高齢者の在宅医療が増えることで死亡率が低下しなかったが、さらに追加すると医療費を低下させることが出来た。

病院医療が無駄な医療費の一因となっているとも言える。

総合診療医が中心となり在宅医療を行うことで医療費の削減に繋がり、コモンの実現に近づくことが可能になる。

また総合診療医は病歴や身体診察を重視し、検査も最小限にする文化がある。

CTやMRIなどの画像検査も実施に当たりCO2排出が馬鹿にならない。

日本のようなCTとMRIが過剰に存在する国ではなおさらである。

これらの論点から総合診療はコモンと相性が良いことが理解いただけるだろう。

 

 

 

里山の展望

風の谷とコモンは、個人的には少しイメージがしにくい。

我々日本人には、「里山」のほうがしっくりくるだろう。(これは友人の三浦先生のお言葉を借りた)

実際に、斎藤幸平も里山の循環がキーになると指摘している。

安宅和人が、風の谷で例として挙げられた東北地方の原風景も里山にほかならない。

よって、ここでは風の谷とコモンを統一して、里山と呼ぶことにする。

つまり前述したように、ICT、IoT技術や再生可能エネルギーなどの新しい技術で再構成した新しい里山である。

なお里山は概念であり必ずしも山でなくてもよく、海でもよい。

安宅の提唱する風の谷も、谷がなくてもよいというのと同意義である。

里山の医療の中心となるのは今で述べたように、総合診療医以外にはありえない。

ここでは少し視点を広げ、里山とアカデミアについて考える。

奈良には、なら食と農の魅力創造国際大学校という大学がある。

トップページ- NAFIC なら食と農の魅力創造国際大学校

 

なら食と農の魅力創造国際大学校(NAFIC)附属セミナーハウス新築工事の状況 21.08【2022年竣工予定】 | Re-urbanization  -再都市化-

この写真を見れば自明のように、山の中にあり、周りは田園風景が広がる里山である。

しかし、そこで併設されたオーベルジュの質は極めて高く、地元の食材を使用した最高級の料理を堪能できる。

この大学では農業と食を担う次世代の人材を育成しようとしているが、その価値を生み出す源泉こそが里山の豊かな自然である。

 

もうひとつ沖縄科学技術大学院大学の例も挙げる。

沖縄科学技術大学院大学 OIST

沖縄科学技術大学院大学は新設された大学院だが、文部科学省と別の体系で海外の研究者を多数誘致し、職員学生ともに外国人が大多数を占めており、質の高い論文の割合を調べた英科学誌ネイチャーの調査で、東大を抜いて日本1位、世界で9位となっており、東大を超えている。

実はここが設立されている場所は那覇から45kmで、車で1時間ほど要する「過疎地」である。

しかし、豊かな海が近く自然が豊かであり、この自然の豊かさが同大学院の魅力となっていることは間違いないだろう。

つまり、里山に投資し研究施設を作り、自然の豊かさで海外の人材を誘致するということができれば、日本の科学のレベルはさらに上がるとも言える。

これはシンニホンで安宅が唱えた未来そのものである。

 

なお、最後にまた医療に戻ると日本で過疎地で成功した大病院もある。

亀田総合病院である。

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高いところがちょっとね・・・ - 亀田メディカルセンター|亀田総合病院 産婦人科 医師募集サイト

大学病院クラスの特大規模の病院にも関わらず、鴨川という僻地に存在する。

写真のように海と山に囲まれた土地だが、同病院が、鴨川の主要産業となっている。

海外を含めて、有能な医師をヘッドハンティングすることで質の高い医療を実現し、東京からも患者が来ることでも有名である。

同病院にも、病院で働く総合診療医「ホスピタリスト」が存在し、より小さなコミュニティホスピタルである安房地域医療センターにもホスピタリストが存在する。

さらに近場の館山におけるプライマリ・ケアを一手に引き受ける、大規模診療所である亀田ファミリークリニックにも「家庭医」タイプの総合診療医が多数存在する。

つまり、亀田グループの医療において総合診療医が重要な役割を担っているといえる。

鴨川は子供の教育という面で課題があるが、もし鴨川に世界クラスの質の高い教育を実践する小中高の学校が存在すればさらに、鴨川に人が集まる可能性が高い。

もちろん、先の沖縄科学技術大学院大学やなら食と農の魅力創造国際大学校のような大学や、地元の食材を使ったオーベルジュなどが誘致できれば、さらに魅力的な土地になるだろう。

こういう形の大規模病院を中心とした里山も将来像としてはありえる。

しかし、それを実現するためにも、総合診療医が必要であるのだ。

 

○まとめ

以上のように、風の谷、コモン、そして里山と総合診療医の関連について述べた。

風の谷とコモンの統一概念である里山は、総合診療医なくして成立しない。

また、総合診療医は別の言い方をすれば、地球環境問題を積極的に考える必要があるとも言える。

総合診療医が街づくりに関わる例もすでにあるが、これからは新しい里山づくりに総合診療医がどのように関わっていくかという視点も必要だろう。

なお、総合診療専門医には地域思考のアプローチという項目があるが、地域を意識したコンピテンシーを打ち出している点も総合診療医の特徴であり、必然的に里山との相性も良い。

また今回の本題ではないが新型コロナ感染対応でも総合診療医の果たした役割は大きい。

もちろん、感染内科医、集中治療医、救急医が重要なのは当然だが、私の知る限りでも総合診療医が病院での入院治療から、発熱患者の救急対応、および発熱患者の外来対応など幅広い分野で活躍していた。

さらに新型コロナの後遺症も多種多様な症状を呈し、どこの専門医を受診してよいか分からない状況となっている。やはり、総合診療医の出番である。

今後、新たなパンデミックが再来するリスクを考えても、総合診療医の役割はますます大きくなるのは自明の理である。

しかし、前述したように現状では総合診療医は新卒の医師の2%に過ぎない。

これから総合診療医の実数を適正に増員することが課題である。

新卒医師のみならず、専門医から総合診療医へのコンバートのための研修も進める必要があるだろう。

総合診療医の必要性について、より社会で議論されることを願う。

 

文責:総合診療医  森川暢  2021年の大晦日

 

 

○追記

里山の自然の豊かさの指標はタガメだと思う。

日本テレビの科学の里というプロジェクトをみていると、里山を手入れすることで自然が復活し、なんとタガメが戻ってきた。

所さんの目がテン!|日本テレビ

驚くべきことである。

タガメは本当にいない。

奈良の宇陀という比較的自然が豊かな地域でももう見なくなったとのこと。

タガメがいるような豊かな里山というのは、それ自体が価値を生み出す資産であり、日本が世界に誇る文化となるような気がしている。

医学論文査読のお作法(最近、読んだ医学書で一番のヒット)

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最近、読んだ医学書で一番のヒットは、こちらの査読の本です。

基本的には福原先生の臨床研究の道標を先に読んでから、読むことをお勧めします。

 

PCR-connectで授業してくださった大前先生の著書ですが査読に限らず論文を書くのにも使えてめっちゃお勧めです。これは研究するかたなら買いですね。 

 

もともと福原先生が提唱していたFIRM2NESSは以下の通りです。

 

FIRM2NESS

F:Feasible(実施可能性があり)

I:Interesting(真に興味・関心のあるテーマで)

R:Relevant(切実な問題で)

M:Modifiable(要因やアウトカムが改善可能な)

M:Measurable(測定可能な・可視化できていて)

N:Novel(新奇性があり)

E:Ethical(倫理的で)

S:Specific(具体的で・絞り込まれている)

S:Structured(構造化された)

 

これは臨床研究の道標に詳細に解説されていますので、臨床研究をするかたは基本的には必読かと思われます。

 

今回はそれを改変し査読ようにPIONEERチェックを提唱されています。

Potential 潜在性

Interesting 興味深さ

Original 独創性

Novel 新奇性

Effective 効果の大きさ

Ethical 倫理性

Relevant 切実性

 

査読に限らず、実際に論文を書くときの注意点なども詳細に解説されており、臨床研究をするかたには福原先生の本とセットで必読かと思われます。

 

2021年振り返り

2021年の振り返りをします。

今回は、今年はじめの展望を元に考えます。

点数もつけていきます。

 

・臨床

引き続き、臨床は今まで通りがんばりますが、高岸先生が来てくださるので今まで以上に膠原病を診る機会が増えるでしょうね。アップデートをしていきたいです。

 

→高岸先生が来てくださってからリウマチ膠原病領域、血液内科、GIM全般が明らかに強化されました。私自身が一番、勉強になっており本当にありがたい限りです。

 

点数:90点(ただし自分の努力ではないが。)

 

 

・臨床研究

とにかく英語原著論文を書くことです。大学院の英語原著論文は当然、今年中にアクセプトを目指しますが、他にも英語論文にトライしてみたいです。

症例報告を含めて5つのfirst authorを目指します。

初夢も英語論文書けという神からの思し召しでしょうか。

メンターからも年賀状で臨床研究しろと手紙が届きました。

コロナで大変ですが、それでいくつか論文書きたいです(ちなみに昨年の日本語のほぼ初めての原著論文もコロナでした。)

 

→これは本当に全然。。結局アクセプト出来ず。。

ただ、ようやっと大学院の博士論文が指導医に、おんぶにだっこ状態で投稿までこぎつけ、さらにJPCA学術大会で自分でデータ収集から計画まで自院で行った、臨床研究の発表が出来たりと多少の成果はあったかも。。

あまりにも遅い道のりですが、それでも進んでいきいます。

 

点数:50-60点(目標の達成はできず、最低限のみ)

 

 

・教育

まずは地域医療のススメ奈良の教育を充実させることですね。これは僕ひとりではできないので、他の指導医と引き続き頑張ります。

→これはどこまで出来たのか。。悩むところもありますが、引き続きがんばります。ただ、高岸先生が来てくださってから朝のカンファレンスおよび外来カンファレンスでGIM,的な視点でのフィードバックがかかるようになったのはよいですね。今後は家庭医療領域の教育が課題ですかね。。

 

点数:75点(GIM領域は強化されたが他の領域は課題が多い)

 

・JAPEP

学会の公認の誤嚥性肺炎教育プロジェクトであるJAPEP。昨年にスタートアップセミナーが出来ましたが、今年は本格的なセミナーの開催を目指します。素晴らしいメンバーに恵まれてありがたいですが、それに甘えすぎずに頑張ります。

→これは本当にメンバーの皆様のおかげで、年末にセミナーを行うことが出来ました。まだ、通過地点ですが引き続き頑張っていきます。

 

点数:85-90点(メンバーの皆様の努力の成果。私自身はリーダーとして未熟さを感じるところが。。)

 

 

・執筆

2020年に出版予定の本が

単著1つ

編著(ほぼ単著)1つ

編著 4つ

 

→これも結局、大学院の博士論文に注力した結果、目標の達成は出来ず。

誤嚥性肺炎ただいま回診中と総合診療×心療内科 心身症の一歩進んだ診かたを出版出来たのはよかった。

また、治療 2021年8月号 特集 「21世紀適々斎塾流! いつもの診療にプラスする家庭医療実践」、総合診療 2021年 5月号 臨床医のための 進化するアウトプット 学術論文からオンライン勉強会、SNSまで、の編集にも関わらせていただきました。

 

本来ならば2021年に出版したかった単著と、編著が1冊ずつあったのですが、これは出版出来ず。。

 

少なくとも、多くの執筆者を巻き込んでいる某大手出版社の案件を遅らせてしまったのは痛恨の極みであり、本当に申し訳ないとしかいいようがない。。

 

点数:65-70点(最低限の点数のみ。。)

 

 

こう、振り返ってみると2021年は目標の達成がほとんど出来ていないような。。

特に、研究と執筆は厳しいような。。

ただ、やはり臨床しながら執筆と研究、教育をこなすことがちょっと無理な気はしてきました。。

可能な限り隙間時間を有効利用する必要はあるような。。

 

・読書

その意味では読書はそれなりに出来たかも。基本的にはアマゾンのAudibleで駅から病院まで歩く時間を使って歩きながら聞いていました。

・イシューからはじめよ

・ビッグクエスチョン

・銃 病原菌 鉄

生命科学的思考

・父が娘に語る経済の話

・世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事

・若い読者に贈る若い美しい生物学

・死とはなにか「DEATH」

・ホモデウス

ホモサピエンス

・21 Lessons

・進化のからくり

・人新生の資本論(これは紙の本)

 

一部、2020年のが混じっているかもですが。。

ただ、医学書は今年はあまり読めなかったかもな。。

基本的に医学書は電車の中で読むようにしています。

2021年度は臨床研究の本をもっと読まないといけないですね。

 

 

 

来年度の目標は2021年になってから記載します。

 

ただ、個人的には下記の自分が編集に関わった雑誌の特集の中島先生のアウトプット術が忙しい臨床医としては非常に参考になりました。

来年度はもっと、アウトプットに勤しまないとですね。

 

 

ジェネラリストのための臨床研究勉強会  青木拓也先生

【勉強会告知】

お世話になります。

市立奈良病院 総合診療科の森川暢と申します。

市立奈良病院および地域医療振興協会が主催する勉強会の告知になります。

今回、プライマリ・ケア領域の臨床研究で著明な、東京慈恵医科大学の青木拓也先生に、ジェネラリストのための臨床研究についてご公演をいただくことになりました。

臨床研究の第一歩を踏み出すための実践的なご公演になります。

青木先生は医学書院の雑誌「進化するアウトプット」でも執筆されており、患者中心性、多疾患併存に関して多数の論文を執筆されています。

参加費は無料。

対象は医師です。

開催日: 2021 年 12月18 日 午後2時00分 90分 先着 100名様まで Zoomで開催 Zoomのアドレスは後日、メールします。

以下から、申込みをお願いします。

 

https://forms.gle/3btLnrpgTFGnxgVSA

 

 

 

進化するアウトプット

www.amazon.co.jp

肝硬変の人にアセトアミノフェンは使用できるか?

肝硬変の人にアセトアミノフェンを使用できるか?

以下のレビューをみました

Pain Management with Acetaminophen in Patients with Liver Diseases: A Review Article | Shiraz E-Medical Journal | Full Text

 

○急性肝炎

使用は推奨しない

 

○肝硬変患者

肝硬変(積極的に飲酒していない)の患者では、アセトアミノフェンは、2〜3g /日の用量で14日以上、短期または1回の用量で3〜4gの期間でも安全に処方することが可能

肝硬変でない慢性肝障害では通常の患者と同じ量で使用可能。

肝硬変患者における鎮痛薬の治療的使用に関する文献レビューは、2〜3g / 日のアセトアミノフェンが長期間でも安全であると結論付けた。

 

⇒個人的な実感

おそらく1200mg/日程度であれば肝硬変であっても慎重に定時使用可能

肝硬変であってもアセリオ1000mgは単回投与であれば使用可能 気になるならアセリオ500mgに減量すればまず問題なく使用できる

ただアルコール性肝硬変で現在飲酒している場合は使用を避けたほうが無難かも

 

 

○アルコール性肝硬変

定期的にアルコールを飲む肝硬変の患者でさえアセトアミノフェン4 g / dを短期間または単回投与が可能

量飲酒をしていない患者では、アセトアミノフェンは短期的には1日あたり4 gまで安全

既存の肝疾患の患者における薬物誘発性肝障害のリスクを調査した研究は、アセトアミノフェンがアルコール誘発性肝疾患の患者の肝障害のリスクを高める可能性がある

⇒アルコールを大量に内服する肝硬変患者ではやはり、避けたほうが無難だが、少量で短期間の投与であれば可能。ただアセトアミノフェンを使用するなら禁酒が原則か。

 

○慢性肝炎

慢性肝炎ではアセトアミノフェン使用で肝不全が悪化するリスクが有る

⇒短期間の少量投与なら大丈夫かもだが。避けれるのなら避けたほうが無難かも。定時内服は避ける

 

非アルコール性脂肪性肝疾患

 使用可能だが低用量で

⇒1200mg/day程度ならば慢性的にも使用可能か ただ慢性的に使用するならフォローが必要

 

 

○まとめ

肝硬変があるからアセトアミノフェンが使用できないわけではない。

短期間の鎮痛で慎重に使用するには問題ないか。

ただ、添付文章には、本剤により重篤な肝障害が発現するおそれがあることに注意し、1日総量1500mgを超す高用量で長期投与する場合には、定期的に肝機能等を確認するなど慎重に投与することとある。

⇒肝硬変患者で1500mgを超す量はやはり使いにくい。1200mg/day程度が無難

 

また重篤な肝障害のある患者は禁忌[重篤転帰をとるおそれがある。]

 

使えなくはないが、肝障害が重篤ならば使わないほうが無難

また急性肝炎では使わないほうがよいだろう。

 

使うとしても添付文章を参照に、慎重に使用する