OHATと入院した高齢者における死亡率との関連 後ろ向き観察研究
P 急性期病院に入院した高齢者(50床の地域小規模病院)
E OHATスコア3以上
C OHAT1−2 、OHAT0
O 60日以内の院内死亡
急性期病院における歯科衛生とアウトカムの関連を示したエビデンスは乏しいため、今回の研究を行った
OHATは以下のPDFを是非御覧ください
http://dentistryfujita-hu.jp/content/files/OHAT_%E8%AA%AC%E6%98%8E%E7%94%A8_20150520.pdf
8項目において0,1,2の3段階の重症度で定量的に評価します。
非歯科医でも評価が可能なのが特徴です。
今回はOHATで合計3以上という歯科衛生が不良な群とそうでない群を比べた後ろ向きコホート研究になります。
年齢、性別、栄養状態、日常生活動作(ADL)、認知状態、併存疾患などの患者のデータは、電子カルテから収集
すべての項目は、入院時に訓練を受けた看護師によって定期的に評価および記録
栄養状態はBMIとMNA-SFで評価
ADLはバーセル指数
併存疾患はチャールソンスコア
認知症はパフォーマンススケールで評価
ちなみに、いかがパフォーマンススケール
0-6で評価
https://academic.oup.com/geronj/article/49/4/M174/565923?login=true
サンプルサイズ
先行研究では、入院患者の12%が60日以内に病院で死亡していた。
OHATの3点以上が20%死亡し、それ以外が9%死亡すると仮定し、90%の検出力でαエラー;0.05と仮定すると、583人が必要であった。
統計解析
連続変数は、平均±標準偏差(パラメトリック)または中央値[四分位範囲](ノンパラメトリック)で記述。
連続変数はANOVA(パラメトリック)またはKruskal–Wallis test(ノンパラメトリック)を使用して分析。
カテゴリ変数は頻度(パーセンテージ)で記述し、カイ二乗検定を使用して比較した。多重検定で有意差があった場合、ボンフェローニの補正を行った。
カプランマイヤー曲線を使用して、3つのOHATグループで層別化された患者間の生存確率を比較し、ログランク検定を使用して検定した。
生存曲線は多変量解析としてコックス回帰分析を用いて、入院期間、年齢、性別、栄養状態、認知状態、ADL、併存疾患、入院理由などの変数を調整した、OHATと死亡率の関連を検討した。
両側検定でP<0.05を有意差ありとした。
患者背景 平均83.8歳の集団 低栄養が32.7%もいる
感染症だけでなく、リハビリや栄養、などで入院している人がいる
単変量解析の時点でもOHATが不良(3点以上)の群は高齢で、低栄養が多く、ADLも低い傾向 認知機能もやや悪そう(おそらくMMSEで評価すればより鋭敏に拾えるかもしれない)
OHAT ≥3は死亡率、長い入院期間と有意差をもって関連あり
生存曲線でもOHAT ≥3は死亡する傾向がある
多変量解析を行ってもOHAT ≥3は独立した予後不良因子(hazard ratio: 2.514, 95% confidence interval: 1.220–5.183, p = 0.012).
考察で本論文の著者は、OHATが低栄養やADL低下との関連も認めることより、口腔ケアのみならずリハビリ栄養的な介入も必要と言及
限界は重症度を考慮できていない点
30日死亡率のような退院後のフォローも念頭にいれた、アウトカムが望ましいが、フォローしきれなかった。
OHAT1−2の人の死亡率との関連は示すことはできなかったが、長期的なアウトカムとの関連はあるかもしれない
●感想
非常に堅実で臨床に即した研究ですね。
OHATが予後予測因子として使えるということは、新たな知見です。
非常に勉強になります。