心血管リスクが高い患者の高血圧治療の目標設定
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1901281
○PICO
P 収縮期血圧 130~180 mmHgで心血管疾患のリスクが高い患者
糖尿病や脳卒中既往がある患者は除外
I 強化治療(目標収縮期血圧<120 mmHg)群
C 標準治療(目標収縮期血圧<140 mmHg)群
O 心筋梗塞,その他の急性冠症候群,脳卒中,急性非代償性心不全,心血管死の複合エンドポイント
○目的
SPRINTは高血圧の標準治療と強化治療を比較したRCTだが、試験終了後の追跡データが収集されていなかったため、今回追跡データを解析した。
○研究デザイン
多施設RCTのフォローアップ解析
○主要な統計解析
基本はCox比例ハザード回帰モデルで比較(5%の有意水準で両側検定)
治療と事前に指定したサブグループとの間の交互作用の検定には,Hommel調整による尤度比検定を用いた
2015年8月20日前後のハザード比は,時間変動共変量モデルで比較
2016年7月29日までのデータを用いて、すべての主要評価項目イベント(初発および再発イベント)をAndersen-Gillモデルで部位層別化により比較
感度分析では多重代入を行い、欠損データの影響を評価した
○主要な結果
参加者の平均年齢は67.9歳
28.2%は75歳以上、28.3%は慢性腎臓病、20.0%は心血管疾患の既往歴あり
チアジド系利尿薬は、スクリーニング時に強化治療を受けた参加者の38.2%、標準治療を受けた参加者の40.0%で使用されていた。
介入期間の最後の平均収縮期血圧は、強化治療群で120.0 mm Hg、標準治療群で133.9 mmHg。
追跡期間中央値 3.33 年
主要転帰の発生率と全死因死亡率は,強化治療群のほうが標準治療群よりも有意に低かった
主要転帰の発生率 1.77%/年 対 2.40%/年,ハザード比 0.73,95%信頼区間 [CI] 0.63~0.86
全死因死亡率 1.06%/年 対 1.41%/年,ハザード比 0.75,95% CI 0.61~0.92
血圧低下,電解質異常,急性腎障害または急性腎不全,失神の頻度は,強化治療群のほうが有意に高かった.
介入期間中(2015年8月20日まで)の主要転帰の累積ハザード比。
○結論
心血管リスクの高い患者では,目標収縮期血圧を 120 mmHg 未満とした群と,140 mmHg 未満とした群と比較して主要有害心血管イベントの発生率と全死因死亡率が低かった.
○感想
120mm Hgというのは相当厳しい気がするが、副作用が問題にならなければ、特に若年者で血管リスクが高い集団では厳格なコントロールが重要かもしれない
ただ、サイアザイド系利尿薬を使用した群が多い 個人的にはナトリックスをよく使用するが、ナトリックスを中心に厳格なコントロールを特にADL自立した比較的若年の心血管リスクが高い層では、目指すことは妥当と考える。