人工膝関節置換術後において、サルコペニア肥満は、術後の歩行障害を経験するリスクが最も高い 後ろ向きコホート研究
https://www.jamda.com/article/S1525-8610(22)00096-2/fulltext
○PECO
P 変形性膝関節症で人工膝関節術を受けた患者
サルコペニアはAsian Working Group for Sarcopeniaが定めた診断基準に基づき定義
肥満はBody Mass Index≧30 kg/m2と定義
E サルコペニア肥満あり(サルコペニアのみ、肥満のみも比較)
C サルコペニア肥満なし
O 術後の歩行障害の割合
○目的
変形性膝関節症で人工膝関節置換術を受けた高齢者において、サルコペニア、肥満、および両者の組み合わせが術後のリハビリテーションにおける歩行障害にどのような関連があるかを検討すること
○研究デザイン
後ろ向きコホート
○主要な統計解析
Kaplan-Meier曲線分析を行い、群間で術後歩行障害を経験する確率を測定。
Cox多変量回帰モデルを構築し、術後歩行障害のハザード比を算出。
○主要な結果
正常群(サルコペニアも肥満もない)と比較して、サルコペニア群、肥満群、サルコペニア肥満群は術後歩行障害を経験する確率が高い(P<0.001)。
サルコペニア肥満群は、術後歩行障害を経験するリスクが最も高い(調整ハザード比=3.89)。
○結論
人工膝関節置換術後において、サルコペニア肥満は、術後の歩行障害を経験するリスクが最も高い可能性がある
○感想
臨床的にも肥満で筋力低下をきたしてADL低下している群は寝たきりになるリスクが高いという実感がある。今後は、サルコペニア肥満に対する早期の予防的介入の研究が待たれる。