https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/10.1001/jamainternmed.2020.3596
P ICUに入室重症のCOVID-19
E/C 年齢、併存疾患、入院施設の特徴、治療
O 28日の死亡率
多施設前向きコホート研究
multilevel conditional logistic regression modelingで解析
事前に以下の項目で多変量解析を行うことを想定
年齢、性別、人種、高血圧、糖尿病、BMI、冠状動脈疾患、うっ血性心不全、慢性閉塞性肺疾患、現在の喫煙状態、活動性癌、ICU入院前の症状の持続期間、およびICU入院時に評価された、リンパ球数、Fio2、ショック、およびSOFAスコア
感度分析では、COVID-19パンデミック前の各病院のICU病床数でさらに調整(<50、50-99、≥100)
●ベースライン
多変量解析する前のベースラインでも死亡郡では年齢が高く、併存疾患が多く、酸素化が悪く、臓器不全を認める傾向を認める。
死亡郡では挿管される率が当然ながら高い
治療
現在の標準治療であるレムデシビル+デキサメタゾンが導入される前なので、ヒドロキシクロロキンやアジスロマイシンの使用率が高い
多変量解析した後の死亡率と関連する因子
年齢、酸素化不良、併存疾患、SOFAスコアは死亡率と関連がある
また興味深いことにICUの規模が小さい施設程死亡率が高い
28日の時点でICU入室患者の35%が死亡している
死亡した要因として呼吸不全が9割程度と圧倒的に多いが、ショックや腎不全も死亡原因として4割程度認める
全体で28日の時点で退院できるのは37%のみ
●この結果をどうとらえるか
多施設コホート研究としてもデザインがシンプルで素晴らしい研究
標準治療が確立する前のデータなので、死亡率は今のほうが低下しているだろう。
ただ、高齢、併存疾患、入院時の酸素化、臓器不全は死亡のリスクであることを明確に示している
また興味深いのは小規模のICUでは大規模のICUよりも死亡率が悪化する傾向あり。
おそらく、集中治療に慣れたスタッフが少ないことが死亡率の低下につながるのではないか。。
今後、日本がパンデミックを起こし重症例が増えたときにもICU入室患者の35%が死亡するというデータは重く受け止めたほうがよいだろう。
もちろん、レムデシビル+デキサメタゾンで死亡率は低下するだろうが、日本では米国よりもシステムとしてのICUが脆弱であることを考えると、決して楽観はできないだろう。。