全身のリンパ節腫脹で芽球はない
悪性リンパ腫か?
しかし、骨髄生検からはMDS overt leukemia
Myeloid Sarcomaと思われる。
Myeloid Sarcomaは
以下下記のサイトより引用
http://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/049010025j.pdf
○myeloid sarcomaの定義
「骨髄芽球ないし未熟骨髄細胞から構成され,髄外に腫瘤を形成す
る骨髄増殖性疾患」と定義され,発症機転から以下の 4通りに分類される
①急性骨髄性白血病(acute myelogeneous leukemia:AML)発症の前兆(最多)
② AML発症後,
③ AML 寛解後再発の前兆
④慢性骨髄性白血病(chronic myelogeneous leukemia:CML)の急性転
化時や骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome:MDS)の白血化時.
つまり白血病が髄外に腫瘤をつくる病態こそがMyeloid Sarcomaと考えて良いです。
myeroid sarcomaはAMLの2-8%で認めるとのことです。
上記のレビューからは、中枢神経系(CNS)、口腔および鼻粘膜、乳房、泌尿生殖器、胸壁、胸膜、後腹膜、胃腸管、および精巣において腫瘤を呈すると報告されています。
筆者も以前に、小腸壁肥厚と腹水を呈したmyeroid sarcomaを経験したことがあります。
その症例は末梢血および腹水の芽球の証明が決め手となりました。
ただ、今回は末梢血の芽球は証明されていませんでした。
またmyeroid sarcomaは誤診されることが多く、最も一般的な代替診断はリンパ腫、未分化癌、悪性黒色腫、髄外造血などのようです。
myeroid sarcomaがリンパ腫のように見えることはそれなりにありそうです。
実際に、下記のようなケースレポートもありました。
腹水と全身のリンパ節腫脹で来院 しかし末梢血の芽球は陰性
腸間膜、腹腔内リンパ節などに著名なPET-CTの取り込みあり
初期診断は消化管悪性腫瘍 or 悪性リンパ腫
しかし、結果的に腹水から芽球が証明されmyeloid Sarcomaへと診断が繋がりました。
他には下記のようなケースも
○ケース1
転移性腫瘍、リンパ腫、髄膜腫の転移?
⇒しかし結果的にはmyeloid Sarcoma
○ケース2
29歳の2ヶ月の経過の女性の倦怠感、発熱、寝汗、体重減少、頸部リンパ節腫脹
身体診察では、左前頸部と後頸部、および左腋窩領域に複数の可動性がある痛みのないリンパ節腫脹を認めた。
⇒これもmyeloid Sarcoma
ということで悪性リンパ腫を診たときや、よくわからない塊を診たときは末梢血や体腔液の芽球のチェックが有用です。
なお、血液や骨髄だけでなく体腔液のフローサイトメトリーも診断に有用であるとされています。