コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

成人T細胞 リンパ腫  Adult T-Cell Leukemia/Lymphoma

日本の疫学は以下から

成人T細胞白血病/リンパ腫 基礎知識:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]


 
世界の中でも日本の西南部(九州・沖縄地方)に多く、1977年に日本ではじめて提唱された疾患。日本でのHTLV-1感染者(キャリア)は、西南日本沿岸部を中心に110万人ほど存在し、感染者の発症率は年間1,000人に0.6~0.7人。
日本以外では、中央アフリカ中南米に比較的多く発症し、HTLV-1感染者が多い地域と一致している。感染から発症までの潜伏期間が長いためHTLV-1感染者が生涯に発症する確率は約5%程度。20歳代までの発症は極めてまれで、年齢とともに増加し60歳ごろを発症のピークとして以降徐々に減少している。
 
 
フラワーセルを血中に認める。 HTL-V1が診断に有用。

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症状
この疾患は典型的には4つの臨床症状に分類
・くすぶり型(一般に無痛性)
・慢性型(変動性)
・リンパ腫
・および急性型
ATLの急性型は症例の60%を占め、リンパ節症 and or内臓疾患を伴う白血病症状を特徴とする。
急性型のATLは、急性型は症例の60%を占め悪性リンパ腫のような症状をきたす。
他に、肝脾腫(50%の症例) 、リンパ節腫脹(ほとんどすべての症例)、LDH上昇、高カルシウム血症(症例の50%)、および内臓および皮膚病変。
骨髄浸潤は約35%の症例で認める。
他の部位には、肺、肝臓、皮膚、消化管、および中枢神経が含まれる。
 
くすぶり型のATLは典型的には、内臓または骨髄の浸潤を認めず、皮膚または肺の病変を認め、末梢血異常は乏しい(リンパ球の5%未満)。
慢性型は、白血球増加症、リンパ節腫脹、LDH上昇、臓器腫大を認める。
急性型の予後は不良で急性型は生存期間は平均1年未満
くすぶり型および慢性のATLは最初は無症候性だが、徐々に悪化し予後は不良であり、5年生存率はそれぞれ40%および50%であり、これらの患者の約半数が急性ATLへの進行する。
日和見感染症は、ATL患者によく見ららる。
ニューモシスティスカリニ感染症、糞線虫症およびクリプトコックス髄膜炎などが認められる。

 

なお高Ca血症はATLでは頻度が高い。

http://www.bloodjournal.org/content/99/2/634?sso-checked=true

RANK遺伝子の受容体活性化因子の過剰発現が高カルシウム血症と相関する

 

 

◎治療法

CHOP、VCAP-AMP-VECPなどが選択肢になりうると。

anti-CCR4 antibodyであるmogamulizimabも最近は使う。

以下Up to Dateの記載  VCAP-AMP-VECP+mogamulizimabが推奨される

We suggest the use of VCAP-AMP-VECP rather than other regimens of combination chemotherapy (Grade 2B). When available, we also suggest the addition of the defucosylated humanized anti-CCR4 antibody mogamulizumab to VCAP-AMP-VECP rather than the administration of VCAP-AMP-VECP alone (Grade 2B).

 

 

血液内科のお勧め本