コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

2018-01-01から1年間の記事一覧

Case 15-2018: An 83-Year-Old Woman with Nausea, Vomiting, and Confusion

NEJMのケース 83歳女性の上気道症状が出現後の、下痢と嘔吐 その後全身倦怠感も出現 頭痛、視力の変化、胸痛、息切れ、腹痛はなし リウマチ性の心疾患で、MSあり EF60%だが、Af,心不全、CKD,圧迫骨折もある。 MSに対しての手術の影響でMRに⇒肺高血圧とTRも…

特発性正常圧水頭症(NPH)のレビュー

Idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus Gerontol Geriatr Med. 2016 Jan-Dec; 2: 2333721416643702. Published online 2016 Apr 20. doi: 10.1177/2333721416643702 特発性正常圧水頭症(iNPH)は、潜在的に可逆的な神経変性疾患である。 認知症、、歩行…

感染症総論 レクチャー

本日は、感染症のレクチャーをしました!

2018年 5月14日 画像カンファ 正常圧水頭症

月曜日は画像カンファを不定期でしています。 高齢男性 慢性経過の歩行障害と認知機能低下、失禁。 頭部CTで違和感が。。 側脳室が拡大している。。 正常圧水頭症疑い。 歩行障害では、まずは慢性硬膜下血腫を除外。 慢性経過ならパーキンソン病も考えるが、…

継続外来の型  松本Dr

継続外来の型 松本Dr 病棟が出来れば外来は出来る? 簡単に見えるかもしれない? ・すでに診断がついている ・すでに治療がはじまっている ・緊急性はない ・多くの場合内服をDOするだけ。 しかし。。長年付き合っていると逆に、認知症やパーキンソンは気づ…

コクランレビュー HPVワクチン

Prophylactic vaccination against human papillomaviruses to prevent cervical cancer and its precursors - Arbyn - 2018 - The Cochrane Library - Wiley Online Library 意訳ですので、実際の適応は英語の原文を読んだうえで、ご自身の責任でお願いしま…

2018年5月14日 カンファ

高齢者の、慢性経過の歩行障害、認知症、失禁

脂肪塞栓 レビュー

Fat embolism syndrome 脂肪塞栓は通常、整形外科的な外傷で起こる。 整形外科的な外傷で、67%に血中に脂肪を認めたという報告もある。 低酸素はsubclinicalな脂肪塞栓を示唆。 オペ中も脂肪塞栓は起こりうる。 他には、骨髄移植、脂肪吸引、膵炎でも脂肪塞…

HIVにおけるトキソプラズマ

Toxoplasmosis in HIV infection: An overview 〇アブストラクト Toxoplasma gondiiは、世界中に分布する人獣共通感染症として知られる細胞内の原生寄生虫である。 HIV陽性の患者では、重度の日和見感染を引き起こす。 これは、肉体的および精神的障害をもた…

How I treat autoimmune hemolytic anemia どのように自己免疫性溶血性貧血(AIHA)を治療するか?

How I treat autoimmune hemolytic anemia | Blood Journal 直接クームスが陽性になった時点で、溶血性貧血の原因としてAIHAを考える 直接クームスは、IgG and/or C3dの特異的な抗体に関連してる。 二次性のAIHAは、B細胞リンパ腫 or 自己免疫疾患 …

低炭水化物ダイエットでは体重が減る?

Weight Loss with a Low-Carbohydrate, Mediterranean, or Low-Fat Diet https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa0708681 PICO Patient p.230, Eligibility and Study design Inclusion criteria:40-65歳かつBMI>27 の患者 or 年齢にかかわらず2型糖…

溶血性貧血 レビュー

www.aafp.org ●最初に 溶血は、急性または慢性の貧血、網状赤血球増加、黄疸として現れる。 診断は網状赤血球増加、非結合ビリルビンおよびLDHの増加、ハプトグロビンの減少、および末梢血塗抹検査所見が含まれる。 赤血球の破壊がが血管内または血管外に生…

脾臓の偶発的腫瘤の精査は不要??

https://pubs.rsna.org/doi/pdf/10.1148/radiol.2017170293 https://www.jwatch.org/na46445/2018/04/04/incidental-splenic-mass たまにCTとったら、偶発的に脾臓に腫瘤が見つかる人がいますよね。。 ジャーナルウォッチから。。 The Incidental Splenic Ma…

重症喘息への対応

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra1608969 Difficult-to-treat asthma は高用量の吸入ステロイドや他のコントローラーを使用しても、コントロールが難しい喘息のこと。 重度の喘息は、Difficult-to-treat asthma のひとつ高用量のICS+LABAに加…

重症喘息に対するベンラリズマブの効果

Predictors of enhanced response with benralizumab for patients with severe asthma: pooled analysis of the SIROCCO and CALIMA studies. - PubMed - NCBI P 重症喘息でICS+LABAを使用している(必要に応じて全身ステロイドも) I ベンラリズマブ30mg 4…

メポリズマブ の重症好酸球性喘息に対する効果

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1403290 P 12-82歳の喘息(臨床所見および呼吸機能から診断) 呼吸機能検査で特定の異常があり、吸入ステロイドなどの適切な治療をしているにも関わず、全身性ステロイドを使用するような喘息の急性増悪が数年内…

LDLのベースラインが高いほど心血管リスクは低下する傾向 JAMA

ベースラインのLDLが総死亡率、心血管死亡率に関連があるかを調べた試験 データベース(Cochrane、MEDLINE、EMBASE、TCTMD、ClinicalTrials.gov、major congress proceedings)でRCTを検索 スタチン、エゼチマブ、PCSK9阻害薬について検討 2人の研究者が独…

SGLT-2阻害薬とGLP1アゴニスト、DPPⅣ阻害薬の比較

https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2678616?redirect=true P:2型糖尿病 I:SGLT-2阻害薬、GLP-1アゴニスト、DPPⅣ阻害薬 C:プラセボ or 治療しない O: priyary outcome:全原因死亡率 secondory outcome:心血管死亡、心不全(HF)事象…

アメリカのホスピタリストの病院別の働き方

とある会議で話題になった論文 少し見てみました。 Job characteristics, satisfaction, and burnout across hospitalist practice models. - PubMed - NCBI アメリカのホスピタリストの現状調査 下記の図のようにデータを収集 業務に占める臨床の割合は大学…

下肢潰瘍を伴う下肢動脈閉塞におけるSkin perfusion pressure(SPP)について

下肢動脈閉塞の評価でSPPが使えると聞いたが、良く知らなかったので調べてみた。 SPPとは? 以下のページより引用 SPP: Skin Perfusion Pressure|循環器医療のお勉強 SPPはSkin Perfusion Pressureの略で、皮膚組織灌流圧を意味する。末梢血管領域の治療に…

24時間血圧測定と心血管イベントとの関連

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1712231 成人 63,910 例を含む、スペインの全国的なコホート研究 24時間血圧測定を行い以下の4つに分類 持続性高血圧(診察室血圧,24 時間血圧ともに高値) 白衣高血圧(診察室血圧は高値,24 時間血圧は正常…

透析患者の緩和ケアについて

ふと透析患者の終末期ケアや緩和医療が、気になったので。。 透析って、当たり前ですけど家ではできませんしね。。 かといって緩和ケア病棟で透析するわけにもいかないし。。 意外に透析施設をもつ地域包括ケア病棟が担うことになるのかも。。 日本透析学会…

陶山先生 カンファ 2018年4月27日

●陶山先生カンファレンス 蛋白・ALB解離を認めれば。。 IgG,IgA、IGMはルーチンでセットで出す。⇒どこが増えていて、どこが抑制されているか。 ESRとCRPの解離を診たら →SLE、シェーグレン、IgG4 ESR上昇を診たら 陰性電荷が減る:Hb↓ ALB↓ 陽性電荷が増え…

急性期脳梗塞のテネクテプラーゼとアルテプラーゼとの比較

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1716405?query=featured_home P:4.5時間以内で内頸動脈,脳底動脈,中大脳動脈のいずれかに閉塞を認め血栓除去術が施行可能な患者 I テネクテプラーゼ (アルテプラーゼより作用時間が長く、ボーラス投与が可能) …

LACNESレビュー

ACNESは腹痛の原因として有名。 しかし、側胸部でもACNESのような神経圧迫を示唆する病態をたまに経験する。 そのレビューを紹介してもらいました。 肋間神経の解剖図 前枝の絞扼は腹痛の原因となる(ACNES) 今回は側枝の絞扼による側腹部痛としてLACNESがあ…

タバコ価格の値上げは生存年数の延長につながる

The health, poverty, and financial consequences of a cigarette price increase among 500 million male smokers in 13 middle income countries: compartmental model study | The BMJ 目的: タバコの市場価格が健康、貧困、財政保護に対して50%増加し…

CKDがある2型患者におけるメトホルミンはSUに比べて死亡率を減少させる

P:2型糖尿病+CKDがある米国の在郷軍人 I:メトホルミン C:SU薬 O:死亡リスク 在郷軍人病院におけるObservational, national cohort study ベースライン ⇒Metformin initiators were on average younger, had a higher BMI, and had a lower prevalence of c…

COPDに対するトリプル療法の有効性

すでに、いたるところで話題になっていますが。。 http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1713901?query=featured_home P 40歳以上の症候性のCOPD(CATスコア10以上 FEV1:50%未満で最低1回以上の中等度以上のCOPD急性増悪を経験、FEV1:50-80%な…

日本プライマリ・ケア連合学会 第1回若手病院総合医勉強会

2018年4月21日は記念すべき、日本プライマリ・ケア連合学会病院総合医委員会主催の第1回若手病院総合医カンファレンスでした。 病院総合医委員会から、佐藤先生と上田先生を、専門医部会若手医師部門病院総合医チームから大浦先生を講師としてお招きしまし…

規定通りの時間の内科プログラムと、柔軟な内科プログラムで教育的なアウトカムは変わりない

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1800965 P 米国内科研修プログラム I 2011 年に米国卒後医学教育認定評議会(ACGME)によって定められた標準的な勤務時間方針で実施する群(標準郡) C シフト時間やシフト間の義務的休息時間に規定を設けないより…