コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

論文紹介 中心静脈栄養でアミノ酸投与量が少ないと死亡率が高くなる

入院患者で特に誤嚥性肺炎などで食事摂取量が少なくなります。

末梢静脈栄養ではBacillus cereus菌血症のリスクが高くなるとされており、特にビーフリードなどのアミノ酸製剤は避けられる傾向があります。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/yoken/advpub/0/advpub_JJID.2015.489/_article/-char/ja/

 

ただ、個人的には短期間、ビーフリードを単剤で使用する限りは、そんなに菌血症を起こす印象はありません。

むしろ、低栄養を防ぐという意味で、筆者は積極的にビーフリードを誤嚥性肺炎などで食事量が低下している患者に使用しています。

輸液でエネルギーを稼げるだけでなく、アミノ酸の補給で筋肉の異化も防ぐことができるかもという期待も込めています。

最近、東大の老年医学の先生方のグループから論文が発表されました。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

 

P 中心静脈栄養(C-Vポート)をうけた65歳以上の入院患者(10,153人)

E C-Vポート増設7日の時点でのカロリー / アミノ酸投与量が高い群 (カロリー20kcal/kg以上、輸液アミノ酸量0.8g/kg以上)

C C-Vポート増設7日の時点でのカロリー /アミノ酸投与量が低い群(カロリー20kcal/kg未満、輸液アミノ酸量0.8g/kg未満)

O C-Vポート増設後90日の死亡率

 

日本の入院患者のデータ(national inpatient database covering >1000 hospitals )を用いた後ろ向きコホート

 

結果

○中心静脈ポート挿入後90日目の死亡率

輸液エネルギー量が20kcal/kg未満および20kcal/kg以上でそれぞれ14.9%および14.0%(リスク差、0.9%、95%CI:-0.5%~2.3%、P=0.216)

輸液アミノ酸量が0.8g/kg未満および0.8g/kg以上でそれぞれ15.4%および13.2%(リスク差、2.2%、95%CI:0.9%~3.6%、P=0.001)

この差は、病院、年齢、性別、BMI、緊急入院、27の主要基礎疾患などの複数の変数で調整しても維持された。

 

○感想

重症な患者ではアミノ酸投与は避けられるという交絡因子の影響はあるかもしれませんが、緊急入院などの変数で調整しても差はないとのこと。

まだまだ、追加の研究は必要ですが、今後は急性期病院での末梢静脈栄養におけるアミノ酸製剤の有用性についても興味がありますね。

 

 

日本版ホスピタリストとCOVID-19

COVID-19時代を迎えて、感染症内科の先生と救急・ICUの先生がクローズアップされています。

しかし、今後のパンデミックに備えるだけでなく、今後の超高齢化社会を迎えるうえで、重要度が高いのが

 

病院総合医=日本版ホスピタリスト

 

です。

 

 

実は米国ではホスピタリストと呼ばれる医師が活躍しています。

米国ホスピタリストの黎明期とRobert Wachter氏 | 野木真将のブログ « あめいろぐ

 

ホスピタリストは病棟ですべての内科疾患を幅広く診療する医師です。

上記の野木先生のブログから引用しますが。。

1)米国ホスピタリストの黎明期は1990年前半から始まり、20年間で約5万人という集団にまで発展した。

2)ホスピタリスト発展の背景には、品質重視の医療改善(High value care)、医療安全への国民の注目、在院日数削減への病院努力、研修医教育のニーズと労働時間制限、外来から解放されることで実現されるシフト制勤務、病棟管理を医学生時代とレジデント時代に学んできたことでジェネラリストの裾野が広かったこと、などが挙げられる。

 

と米国ではホスピタリストが急速に普及し、その結果医療の質の改善、在院日数の削減、労働環境の改善などの効果があることが示唆されます。

 

つまり、医師の働き方改革という意味でもホスピタリストは重要であることが示唆されます。

 

日本においてもホスピタリストを導入することは非常に重要な課題であり、「日本版ホスピタリスト宣言」がときの黒川清先生を中心に提言されたことは、記憶に新しいです。

日本版ホスピタリスト宣言2019 JANAMEF 30周年記念会に参加しました。 - コミュニティホスピタリスト@奈良

 

「日本版ホスピタリストの養成」の提言について – 公益財団法人 日米医学医療交流財団

 

 

 

日本版ホスピタリストは病院総合医とも呼ばれています。

日本版ホスピタリストのライセンスにあたる、病院総合診療専門医が、ごく最近になって日本病院総合診療学会から発表されました。

病院総合診療専門医プログラム – 日本病院総合診療医学会

現状は初期研修医2年間が終わった後の専門研修である総合診療専門医のさらに、その後のプログラムとして、病院総合医が想定されています。

今後、日本版ホスピタリストが増加することが期待されます。

 

 

では、日本版ホスピタリストと米国のホスピタリストの違いはなにか?

以下、私見です。

 

米国のホスピタリストと日本版ホスピタリストの違いは、病院で求められる能力に起因すると思われます。
最も大きな違いは日米の医療システムの違いです。
例えば、米国では救急の専門医とICUの専門医が普及しておりホスピタリストは、病棟という場所の専門家という立ち位置になります。なお外来は、プライマリ・ケア医と家庭医という専門家が別にいます。
それは、米国では循環器内科医や消化器内科医という内科系の専門医は基本的にはコンサルタントと外来診療が主な役割であることに起因します。
一方で、日本では内科系の専門医が自領域の病棟を診ることが常識となっておりむしろ不可侵の領域になっています(心不全の入院主治医は循環器内科医 など)
よって、日本版ホスピタリストは病棟に関してはむしろ内科系専門医がいないor診ない領域にニーズがあり、その代わり救急医療、一般外来、集中治療などもカバーする幅広い診療領域をもっているのが、日本版ホスピタリストといえます。
さらに、地域包括ケア病棟などでのリハビリ、緩和ケア、高齢者医療、地域包括ケアなどもカバー範囲になります。
特に小規模病院では都会であっても病院総合医がほぼ、すべての院内の内科系の診療を行うことが可能になります。
私の前職の東京の小規模病院では、総合診療科が急性期内科病棟、内科初診外来、救急医療をすべてカバーしつつ、整形外科の内科的な問題のバックアップまで行っていました。

東京城東病院における総合診療科の立ち上げと活動実績について

 

 

 

では日本版ホスピタリストとCOVID19はどのように関係があるのか?

まず米国ではCOVID19対策においてホスピタリストが非常に中心的な役割をはたしていることがハワイでホスピタリストをしている野木先生のブログからもわかります。

大波の先に立て!院内COVID19対策とホスピタリストの役割(前編) | 野木真将のブログ « あめいろぐ

大波の先に立て!院内COVID対策とホスピタリストの役割(後編) | 野木真将のブログ « あめいろぐ

COVID19の専属病棟をホスピタリストが立ち上げています。

 

では、日本ではどうか?

私は、自分の所属する市立奈良病院東京北医療センター、そして上記の野木先生がいらっしゃるクイーンズメディカルセンターの3つの病院のCOVID19診療の実情を記述的に、まとめて、日本語の論文として発表しました。

ci.nii.ac.jp

 

 

そして病院総合医が特にCOVID19診療において重要な能力として以下の4つがあることが、記述研究から判明しました。

 

  • 診断およびトリアージ
  • 感染症診療 
  • 幅広い問題への対応能力 
  • 医療安全/多職種連携/マネジメント

 

これらの能力はCOVID19診療においても重要ですが、日々の診療のなかでも非常に重要な能力であることは明らかです。

 

病院総合医感染症を診ることも多く、感染症内科の先生ほどではないですが、感染症診療能力が高い傾向があります。

 

特に、感染症内科の先生がいない病院では病院総合医がCOVID19診療においてより重要な能力を発揮するのではと仮説を立て、アンケート調査を行いました。

 

・対象 

日本版ホスピタリスト(総合診療科、総合内科)

・要因:感染症内科医(ID)がいる病院

・比較:感染症内科医(ID)がいない病院

・アウトカム

院内でCOVID-19に最も従事する内科系診療科が日本版ホスピタリストであると感じる割合

 

アウトカムが主観的ですが、それでも傾向を調べることは意義があると考えて日本版ホスピタリストを対象にアンケート研究をしました(未発表データ)

 

  • 感染症内科がいない病院では以下の傾向を認めました

市中病院が多い

小規模病院が多い

病院および総合診療科の常勤医が少ない

救急車の搬送数が少ない

大規模のICUを有している病院は少ない

 

感染症内科がいない病院では日本版ホスピタリストが院内で最もCOVID19診療をしていると感じる割合は以下のとおりです。

感染症内科がいない病院 18/52= 35%

感染症内科がいる病院        64/80=80%

と単変量解析で、明らかに有意差を認めました(P<0.0001)

 

病院の規模、地域、医師の人数などで多変量解析をしても結果は同様でした。

オッズ比9.2 (P<0.0001)

 

もちろん、感染症内科の先生は非常に貴重ですし、感染症内科の先生と日本版ホスピタリストが連携するほうが望ましいのは言うまでもありません。

 

しかし、感染症内科がいない病院では日本版ホスピタリストが、COVID-19診療において中心的な役割を果たすことが示唆されると言えます。

 

これらの実感は、実際に友人の日本版ホスピタリストに聞いても明らかでした。

また以下のNHKの取材でも日本版ホスピタリストがCOVID19診療をするところが取り上げられています。

www.nhk.jp

 

なお、この病院に関しても感染症内科の先生がいらっしゃらないので、日本版ホスピタリストがCOVID19診療の中心的役割を果たしているようです。(なおこの取材の医師は元同僚であることは開示します)

 

他の関東の感染症内科医がいない基幹市中病院でも日本版ホスピタリストがCOVID19の病棟診療と発熱外来を、一手にすべて引き受けている例もあり、院内において極めて重要な役割を果たしいます。

 

ただし、日本版ホスピタリストは集中治療に関しては集中治療専門医には劣るので、この事例のように重症患者管理に長けた、救急・集中治療医師と連携することが極めて重要なことも言うまでもありません。

 

また、日本版ホスピタリストは外来や救急にも長けているため、発熱患者の救急対応や、発熱外来においても重要な役割を発揮します。

実際、関東の大学病院では日本版ホスピタリストが発熱外来チームのリーダーとして運用をしている例もあるようです。

 

 

またもうひとつ重要なことは、日本版ホスピタリストはパンデミックが終わっても非常に重要な役割を果たすことです。

日本は、世界に類をみない超高齢化社会を迎えています。

よって、地域包括ケア病棟や在宅医療で高齢者をきちんとケアすることが重要になります。

日本版ホスピタリストは小規模病院では地域包括ケア病棟での高齢者ケアや、在宅医療も行っています。

 

少し、話は変わりますが海外では家庭医療という概念が標準化されています。

福島医大のホームページによると家庭医療は以下のように定義されます。

家庭医療とは || 公立大学法人 福島県立医科大学 地域・家庭医療学講座

「家庭医療」とは、どのような問題にもすぐに対応し、家族と地域の広がりの中で、疾患の背景にある問題を重視しながら、病気を持つひとを人間として理解し、からだとこころをバランスよくケアし、利用者との継続したパートナーシップを築き、そのケアに関わる多くの人と協力して、地域の健康ネットワークを創り、十分な説明と情報の提供を行うことに責任を持つ、家庭医によって提供される、医療サービスです。

 

筆者は病院で家庭医療を実践する医師を病院家庭医と呼称し、それを他の先生方と編集し書籍にしています。

www.nanzando.com

 

 

 

病院家庭医は日本版ホスピタリストの亜型と考えてよいですが、小規模病院での在宅医療や地域包括ケアをより重視した診療形態と考えてよいと思われます。

これらの能力は今後の、超高齢化多死社会を迎える上で重要になることもまた、明らかです。

 

 

最後に、ただ日本版ホスピタリストは、なんでもできるスーパーマンでは決してありません。

スペシャリストの先生、他の医療職、介護職などの支援がなければ決して成り立ちません。

米国のホスピタリストは病棟診療のコンダクターと言われていますが、日本版ホスピタリストも病院におけるコンダクターといえるかもしれません。

病棟診療のコンダクター(石山貴章) | 2011年 | 記事一覧 | 医学界新聞 | 医学書院

 

 

とはいえ、今後のパンデミック、超高齢化社会をむかえるにあたり、日本版ホスピタリストは有用であると考えています。

それには、日本版ホスピタリストの基盤である総合診療専門医を適正な人数まで増やすこと

そして内科から日本版ホスピタリスト=病院総合診療専門医に行く人数を同様に、適正な人数まで増やすことが重要かと思われます。

どこくらいが適正かはこれからの議論が必要ですが。。

 

 

○医師向けのホスピタリスについて解説した本

 

総合診療専門医が19番目の専門医と認定されましたが、総合診療医とは何かを解説した以下の漫画もお薦めです。

個人的には最も好きかもしれません。。

この主人公のような医師になりたいですが。。人格が追いつきません。。

comic-zenon.com

痛風に関する推奨  2016 updated EULAR evidence-based recommendations for the management of gout

2016 updated EULAR evidence-based recommendations for the management of gout | Annals of the Rheumatic Diseases

痛風に関してEULARの推奨を復習しました。

この分野は、まだエビデンスが不十分なんだなと改めて思いました。

治療について、以下の推奨がされています。

 

まずそもそも論として尿酸値の管理は痛風結晶を抑制し痛風発作を抑えることで、QOL向上や関節の破壊の抑制を目指すことが、目的かと思われます。

尿酸値が高いというだけでは、尿酸治療薬は推奨されません。

 

 

○一般的な原則
痛風患者は、病気の病態生理、効果的な治療法の存在、関連する併存疾患、および急性発作を管理し、生涯にわたって尿酸レベルを目標レベルより低くすることによって尿酸結晶を排除する原則について十分に知らされるべきです。

痛風患者は、ライフスタイルに関するアドバイスを受ける必要があります。減量し、アルコール(特にビール)や砂糖入りの飲み物、過食、肉や魚介類の過剰摂取を避けます。低脂肪乳製品を奨励する必要があります。定期的な運動をお勧めします。

・   痛風患者は、腎機能障害、冠状動脈性心臓病、心不全脳卒中、末梢動脈疾患、肥満、高脂血症、高血圧、糖尿病、喫煙など、関連する併存疾患と心血管危険因子について体系的にスクリーニングする必要があります。

 

痛風患者は基本的には糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病を合併するため、そらの治療を一緒に行うことが重要ですね。

余談ですがロサルタンは尿酸降下作用もあるため、高血圧やCKDの合併例で尿酸値が高い症例には考慮する必要がありますね。

生活習慣で気をつける点として肉類を控えて、野菜を多めに食べる、運動をするという指導に関しては他の脂質異常症と共通していますね。

特に尿酸値という点ではレバーや魚卵も要注意ですね。

高尿酸血症・痛風の食事 | 東京都病院経営本部

 

 

 

11の推奨事項の最終セット
1    痛風発作は、できるだけ早く治療する必要があります。十分な情報に基づいた患者は、最初の警告症状でセルフメディケーションを行うように教育する必要があります。薬剤の選択は、禁忌の存在、患者の以前の治療経験、発赤後の開始時間、および関与する関節の数と種類に基づいて行う必要があります。

⇒発作が起こったら患者さんもわかるのですぐにNSAIDSを飲むように指導することも重要かもしれません。

 

2    急性発作の推奨される第一選択の選択肢は、NSAIDS±PPI コルヒチン1mg⇒1時間後にコルヒチン0.5mg 、経口プレドニン( 0.5mg/kg /day or 30〜35mg /dayを3〜5日間)またはステロイドの関節注

重度の腎機能障害のある患者では、コルヒチンとNSAIDを避ける必要がある。

コルヒチンは、シクロスポリンやクラリスロマイシンなどのCYP3A4阻害剤を投与されている患者には投与しない

⇒基本的にはNSAIDSが第1選択ですね。腎機能が正常ならロキソニン3錠分とかが標準ですが、腎機能が正常でかつ炎症を確実に抑えたい場合は、ナイキサン600mg/日を分3で使うこともありますね。

腎機能が悪くても経験的にはロキソニンを減量して短期間で使用することもあります。

プレドニンの内服は可能なら避けたい(治療的診断という意味でも)ですが、どうしても使うなら0.5mg/kg/dayを短期間ですね。

 

3    頻繁な発作とコルヒチン、NSAID、およびコルチコステロイド(経口および注射可能)の禁忌のある患者では、フレアの治療にIL-1ブロッカーを検討する必要があります。

⇒これは保険適応外ですし、日本では現実的ではないですね。。

 


4   発作の予防については、十分に説明し、患者と話し合う必要があります。最初の6か月間は予防投与が推奨されます。推奨される予防的治療はコルヒチン、0.5〜1 mg /日であり、腎機能障害のある患者では減量する必要があります。腎機能障害またはスタチン治療の場合、患者および医師は、予防的コルヒチンによる潜在的な神経毒性および筋毒性に注意する必要がありますが、CYP3A4阻害剤などとの相互作用に注意。コルヒチンが難しい場合、低用量のNSAIDによる予防を検討する必要があります。

⇒新たに尿酸降下薬を開始する際に予防的にコルヒチンを投与することも考慮されます。ただ慎重に尿酸降下薬を増量すれば発作は起きにくいため個別に考慮する必要があるかもしれません。重度の痛風痛風結節、慢性関節症、頻繁な発作)ではコルヒチンでの予防が基本的には必要であると考えます。

 


5    尿酸降下薬は、痛風と明確に診断されたすべての患者と検討し、話し合う必要があります。尿酸降下薬は、再発性の発作、痛風結節、尿酸関節症、腎結石のあるすべての患者で必要となる

尿酸降下薬は、若い年齢(<40歳)または非常に高い尿酸レベル(> 8.0 mg / dL)または併存疾患(腎機能障害)を呈する患者のでも考慮される

⇒他には、尿酸降下薬は、心血管リスクが高い場合も考慮して良いとなっています。

日本のガイドラインでは尿酸値が8を超えば治療となっていますね。。

初発痛風発作の場合でも治療を推奨する流れになってきているようです。

 

また、最近の流れとしては痛風発作の初期から尿酸降下薬はNSAIDSなどをしっかり投与していれば、投与しても良いということになっています。

ただ、本文には以下のような記載があります。

Finally, the task force did not give specific guidance on whether urate-lowering drugs should be initiated during a flare or whether a traditional 2 weeks delay from flare termination should be observed. Two small trials have suggested that allopurinol initiation during an acute gout attack did not prolong the duration of flares nor worsen its severity as compared with delayed initiation.130 ,131 However, the task force considered that the low number of patients (n=51 and n=31, respectively) in these trials precluded any firm conclusions and that data obtained with allopurinol 200–300 mg could not be generalised to more potent urate-lowering drugs, such as febuxostat or a combination of XOI and an uricosuric.

 

よって、ある程度発作の炎症が落ち着いてから尿酸降下薬を開始くらいでも良いかもしれないと感じます。少なくとも発作の極期にわざわざ始めなくてもよいかと。

 

 

6    血中尿酸レベルをモニター、<6 mg / dLに維持する必要があります。重度の痛風痛風結節、慢性関節症、頻繁な発作)の患者には、結晶が完全に溶解して痛風が解消するまで、結晶の溶解を促進するための低い尿酸値(<5 mg / dL)が推奨されます。尿酸値<3mg / dLは長期的には推奨されません。

⇒このあたりはtarget to treatの概念であり、関節リウマチなどに近いかもしれません。つまり尿酸値を低い状態を維持することで痛風結節を溶解させ、それにより関節症状の悪化を防ぐというイメージだと思われます。

 

 

7    すべての尿酸降下薬は低用量で開始し、目標に到達するまで漸増する必要があります。尿酸値 <6 mg / dLを生涯維持する必要があります。

尿酸値を維持することで尿酸結晶があらたに生成されないようにします。基本的には尿酸降下薬は副作用がなければ維持することが重要になります。中止すると再度、フレアしてしまうからです。

 

 

8    腎機能が正常な患者では、アロプリノールが推奨され、低用量(100 mg /日)から開始し、必要に応じて2〜4週間ごとに100 mgずつ増やして、目標を達成します。適切な用量のアロプリノールで尿酸値の目標を達成できない場合は、アロプリノールをフェブキソスタットまたは尿酸排泄薬に切り替えるか、尿酸排泄薬と組み合わせる必要があります。アロプリノールが許容できない場合は、フェブキソスタットまたは尿酸排泄促進薬も適応となります。

⇒基本的にはアロプリノールが第1選択ですね。

 

Cardiovascular Safety of Febuxostat or Allopurinol in Patients with Gout

上記のRCTでフェブキソスタットは死亡率を上昇させることが示唆されており、基本的には腎機能が正常なら避けたほうがよいでしょう。

 

Long-term cardiovascular safety of febuxostat compared with allopurinol in patients with gout (FAST): a multicentre, prospective, randomised, open-label, non-inferiority trial

ただより最新のRCTでは心血管リスクを上げないという報告もあります。

 

基本的にはアロプリノールを優先するが、腎不全などで目標値を達成できない場合はフェブキソスタットになりますね。

 

9    腎機能障害のある患者では、アロプリノールの最大投与量をクレアチニンリアランスに合わせて調整する必要があります。この用量で尿酸の目標を達成できない場合は、推定糸球体濾過量が30 mL / min未満の患者を除き、患者をフェブキソスタットに切り替えるか、アロプリノールの有無にかかわらずベンズブロマロンを投与する必要があります。

⇒アロプリノールの腎機能調整は以下の通り

 

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高尿酸血症痛風ガイドライン ダイジェスト版』(日本痛風核酸代謝学会)より引用

 

なおアロプリノールの投与量は上記の通りなので、腎不全があると目標値を達成できないことも多いように感じます。

アロプリノールにベンズブロマロンなどの尿酸排泄促進薬を少量併用してもよいですが、肝障害には注意が必要です。

 

 

10    結晶が証明された重度の慢性痛風患者および生活の質の低下を伴う患者では、最大投与量(組み合わせを含む)で他の利用可能な薬剤で尿酸値の目標を達成できない場合、ペグロティカーゼが適応となります。

⇒日本では適応がありませんね。。現実的にはなんとか(アロプリノールorフェブキスタット)+尿酸排泄薬+生活指導で乗り切るしかありませんね。

 

 

11    利尿薬を投与されている患者に痛風が発生した場合は、可能であれば変更してください。高血圧症の場合は、ロサルタンまたはカルシウムチャネル遮断薬を検討してください。高脂血症の場合は、スタチンまたはフェノフィブラートを検討してください。

⇒ロサルタンは尿酸を下げる作用があるため有効な手段ですね。ただ、知りませんでしたが普通にCCBを使用しても良いようです。脂質異常症に関しては薬物適応があれば、スタチンがよいかと思われます。

 

 

なお、日本のガイドラインもあるためこちらもチェックですね。

https://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001086/4/Clinical_Practice_Guidelines_of_Hyperuricemia_and_Gout.pdf

 

リウマチ膠原病に関しては以下の書籍がお勧めです。

 

 

総合診療流CGAプロブレムリスト 診療看護師さんへのレクチャー

診療看護師さん向けにCGAプロブレムリストについて話をさせていただきました。

非常に多岐に渡る内容ですが、高齢者医療は奥が深いです。

ただ、看護師さんが果たす役割もまたこの領域は大きいように感じます。 

 

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○CGAについて勉強したい方は以下がお勧めです。

 

○慢性臓器障害について深く勉強したい方は以下。総合診療医は必見です。

 

誤嚥性肺炎に特化した本ですが、ほぼCGAの実践編という内容になっています。

 

心身症の見かた  総合診療×心療内科 心身症の一歩進んだ診かた の発売記念

心身症の本が発売されます。

 

 

心療内科の酒井先生と大武先生と一緒に書いた本で総合診療の視点と心療内科の視点が両方まなぶことができます。

以前に公開したスライドは以下

jyoutoubyouinsougounaika.hatenablog.com

そこから抜粋します。

心身症を診る上では、心療内科も総合診療医もBPSモデルを重視するということはほぼ、同様です。

 

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BPSモデルを有効利用する際には、上記のレバレッジポイントを見つけることが重要です。

比較的介入しやすいという意味では社会的な介入(職場の配置転換、介護保険の申請、生活保護の申請)などがレバレッジポイントになりやすいですが、その他にも他の様々な要因に影響をあたえているポイントが同様にレバレッジポイントとなります。

 

 

 

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心身症とMUSの違いは以上のようになります。心身症は病態なので、糖尿病も心理社会的問題が悪化要因となっていれば以下のように記載します。

糖尿病(心身症

 

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総合診療医が心身症を考えるときにはBPSモデルを基盤に、認知と行動というフレームワークを加えるというイメージです。

なお、BPSモデルを基盤にするという考え方は、緩和ケア、老年医学、リハビリを総合診療医が診療する際にも有用です。

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→認知面を変えることは意外に難しいので、まずは行動にアプローチするということが実際にもやりやすいです。

例えば、コロナで不安が強くなっているのならば、コロナに関連したテレビは絶対にやめようと指導するなど、です。

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また上記のような病態仮設をBPS+認知・行動というフレームワークを意識しながら患者さんと共有することで、患者さんが自分自身で良い方向に持っていこうという姿勢を手助けすることが可能になります。

 

 

うつ病に対する運動療法と抗うつ薬の比較

うつ病に対して、運動療法は有効であることは間違いないですが、抗うつ薬との比較については知りませんでした。

今回、Annals of family medicineからRCT!が発表されたので読んでみました。

Settingはfamily medicineのクリニックで多施設研究

ブラインドはされていません

 

Effectiveness of Physical Exercise in Older Adults With Mild to Moderate Depression | Annals of Family Medicine

 

P 65歳以上の臨床的に有意なうつ症状をもつ患者

E 運動療法

C 抗うつ薬

O うつの症状(Montgomery-Åsberg Depression Rating Scale score <10の割合で評価

 

 

プロトコールは以下

Figure 1.

 

サンプルサイズも計算されており、概ね足りている

ただし、脱落は多いですね

重度のうつなどは除外

 

Sociodemographic characteristics, No. (%)
Age, y .55
    65-74 102 (64.6) 95 (61.3)
    ≥75 56 (35.4) 60 (38.7)
Sex .437
    Female 127 (80.4) 119 (76.8)
    Male 31 (19.6) 36 (23.2)

 

75歳以上は4割弱 比較的若い集団

 

○結果

Cumulative Incidence of MADRS Scores <10 Over Time (Intention-to-Treat and Per-Protocol Analyses)

 
Physical Activity n/N (%) Antidepressant Treatment n/N (%) RR (95% CI)
1 Month
Intention-to-treat analysis
Per-protocol analysis
76/158 (48.1)
76/135 (56.3)
84/155 (54.2)
84/149 (56.4)
0.89 (0.71-1.1)
0.99 (0.81-1.23)
3 Months
Intention-to-treat analysis
Per-protocol analysis
72/158 (45.6)
72/96 (75.0)
94/155 (60.6)
94/120 (78.3)
0.75 (0.61-0.93)
0.96 (0.82-1.11)
6 Months
Intention-to-treat analysis
Per-protocol analysis
52/158 (32.9)
52/66 (78.8)
77/155 (49.7)
77/93 (82.8)
0.66 (0.5-0.87)
0.95 (0.81-1.11)
  • MADRS = Montgomery-Åsberg Depression Rating Scale; RR = relative risk.

 

1ヶ月の時点では有意差はないが、3ヶ月、6ヶ月の時点では、明らかに抗うつ薬を使用するほうが、うつのコントロールは良好

脱落も運動療法で明らかに多い。

 

 

○考察

運動療法自体の有用性は否定はしないが、運動療法を有効した過去の研究では異質性が大きいとのこと。

また、運動療法は脱落が多い。

たしかに、うつ症状がある人に運動プログラムを継続することは難しいだろう。。

個人的には診療所レベルで多施設でこのようなRCTを実施できるという意味では、興味深い。。

とはいえ、運動療法が意味がないとは言えない。

運動はフレイルの予防という意味でも有用であり、どちらかというと抗うつ薬と運動を組み合わせるというのが実際の臨床的なプラクティスだろう

今後は、抗うつ薬単剤と、運動療法抗うつ薬の併用という、RCTは施行するかちがありそう。

 

 

COVID-19診療における妥当性があり科学的な根拠がある推奨

https://www.nature.com/articles/s41591-021-01439-x.pdf

岡秀明先生からご紹介いただいた論文です。

COVID-19における科学的に妥当な推奨になります。

意訳しております。

 

●一般の方向け

① フィット感のあるマスクを使用してください 

適切に、公共の場でいつでもフィット感のあるマスクを使用してください 

観察研究は、感染のリスクがフェイスマスクで大幅に減少したことを示しました (調整済みオッズ比(aOR)、0.15、および95%信頼区間(CI)、0.07〜0.34、

なおN95マスクでは感染リスクの減少の効果はより明らかでした。

ちなみに具体的には不織布マスクが推奨されます。

ウレタンマスクや布マスクは推奨されません。


② 特に屋内の混雑した場所は避けてください 

観察研究で、1メートル以上の物理的な距離を取ることで感染リスクが大幅に減少したことを示しました

aOR、0.18、および95%CI、0.09〜0.38、調整済み研究の場合)

物理的な距離が遠ければ遠いほど、感染の可能性は低くなりました。

ドアや窓を開けて適切な換気を維持することは、感染の拡大を減少するための重要な手段です

→つまり三密を避ける!


③ 症状がある場合はコロナのPCRや抗原などの検査を受けてください

発熱などのCOVID-19の症状を持っている場合は、自宅待機と早期の検査が推奨されます。他には、喉の痛み、咳、嗅覚および/または味覚の喪失も具体的な症状です。

早期の検査と自宅隔離が感染の拡大を防ぎます。

リスクがない患者は自宅での療養で回復します。

発熱にはアセトアミノフェン、充分な水分補給が推奨されます。


④ 呼吸困難や酸素飽和度の低下【92%未満】を認めれば医療機関を受診してください。   

入院での治療が必要になります。

 

⑤ すぐにワクチン接種を受けてください

いくつかのランダム化試験は、ワクチンの有効性を実証しました

COVID-19による重症化、死亡率の低下に、ワクチンはきわめて有効です。

過去にCOVID-19に感染したことがある場合でも、ワクチンが推奨されます。

 


●医療従事者向け

⑥ COVID-19に対して科学的に効果が証明されていない治療法は使用しないでくださいファビピラビル、イベルメクチン、アジスロマイシン、ドキシサイクリン、オセルタミビル、ロピナビル-リトナビル、ヒドロキシクロロキン、イトリズマブ、ベバシズマブ、IFN-α2b、フルボキサミン、COVID-19の治療における回復期の血漿またはハーブ製剤などは、科学的な根拠が乏しいので現時点では使用を推奨しません。

*もちろん、今後のエビデンスが待たれます。

最近、喘息の吸入薬であるブデソニドがCOVID19の軽症かつ発症早期の例に投与することで重症化を防ぐエビデンスが発表されましたがまだ知見が確立されておらず、今後のエビエンスが待たれます。。

Inhaled budesonide for COVID-19 in people at high risk of complications in the community in the UK (PRINCIPLE): a randomised, controlled, open-label, adaptive platform trial - ScienceDirect

 

*軽症例に早期に投与することで重症化リスクを防ぐ可能性が高いのは現時点では抗体カクテル療法のみとなっています。

COVID19への抗体カクテル療法 - コミュニティホスピタリスト@奈良

 


⑦ レムデシビルやトシリズマブは特定の状況に絞って使用してください

トシリズマブは、重症で、酸素投与量が急激に悪化して、炎症の証拠があり、ステロイド投与中の患者にのみ有用です。

レムデシビルは、回復までの時間を短縮するのにわずかな効果しかありません 

また酸素を使用する患者に早期に使用した場合にしかエビデンスはないです。

 

ステロイドエビデンスが豊富で、極めて有用だが、酸素が必要な患者にのみ使用し血糖のモニターが必要

ランダム化試験では、次のようにステロイドを短期間(10日)使用することで効果が示されています。

標準治療はデキサメタゾン6mg/日だが、代替治療としてメチルプレドニゾロン(16mgを1日2回)またはプレドニゾロン(20mgを1日2回)を代替として使用することができます。酸素を使用しない患者では、ステロイドは利益をもたらさず、害を及ぼす可能性があります


⑨ 採血やCTスキャンなどはルーチンで定期的に使用する必要はありません。

フェリチンやCRP、CTをルーチンでフォローする意義はいまのところ、証明されていません。*ただ必要に応じては当然使用する。ルーチンには用いない。


パンデミックでもCOVID19以外の疾患の管理を無視しないようにしましょう。

癌、結核、心臓および腎臓などの疾患の治療、メンタルヘルス、出産、周産期ケア、新生児などもしっかりとマネジメントする必要があります。

 

など、具体的な推奨がまとめられています。 

 

新しい論文が出ない限り、これらの推奨から外れた推奨をする医師は勉強不足か、思い込みが強いか、どちからかの可能性が高いと思われます。もちろん、専門医として経験と知識が豊富で、きちんとした妥当な根拠があれば、別ですが。俺の経験というだけで、これらの推奨を否定するのは無理がありますね。

 

 

コロナのワクチンに関しては以下の本がお薦めです!!