うつ病に対して、運動療法は有効であることは間違いないですが、抗うつ薬との比較については知りませんでした。
今回、Annals of family medicineからRCT!が発表されたので読んでみました。
Settingはfamily medicineのクリニックで多施設研究
ブラインドはされていません
P 65歳以上の臨床的に有意なうつ症状をもつ患者
E 運動療法
C 抗うつ薬
O うつの症状(Montgomery-Åsberg Depression Rating Scale score <10の割合で評価)
プロトコールは以下
サンプルサイズも計算されており、概ね足りている
ただし、脱落は多いですね
重度のうつなどは除外
Sociodemographic characteristics, No. (%) | |||
Age, y | .55 | ||
65-74 | 102 (64.6) | 95 (61.3) | |
≥75 | 56 (35.4) | 60 (38.7) | |
Sex | .437 | ||
Female | 127 (80.4) | 119 (76.8) | |
Male | 31 (19.6) | 36 (23.2) |
75歳以上は4割弱 比較的若い集団
○結果
Physical Activity n/N (%) | Antidepressant Treatment n/N (%) | RR (95% CI) | |
---|---|---|---|
1 Month | |||
Intention-to-treat analysis Per-protocol analysis |
76/158 (48.1) 76/135 (56.3) |
84/155 (54.2) 84/149 (56.4) |
0.89 (0.71-1.1) 0.99 (0.81-1.23) |
3 Months | |||
Intention-to-treat analysis Per-protocol analysis |
72/158 (45.6) 72/96 (75.0) |
94/155 (60.6) 94/120 (78.3) |
0.75 (0.61-0.93) 0.96 (0.82-1.11) |
6 Months | |||
Intention-to-treat analysis Per-protocol analysis |
52/158 (32.9) 52/66 (78.8) |
77/155 (49.7) 77/93 (82.8) |
0.66 (0.5-0.87) 0.95 (0.81-1.11) |
-
MADRS = Montgomery-Åsberg Depression Rating Scale; RR = relative risk.
1ヶ月の時点では有意差はないが、3ヶ月、6ヶ月の時点では、明らかに抗うつ薬を使用するほうが、うつのコントロールは良好
脱落も運動療法で明らかに多い。
○考察
運動療法自体の有用性は否定はしないが、運動療法を有効した過去の研究では異質性が大きいとのこと。
また、運動療法は脱落が多い。
たしかに、うつ症状がある人に運動プログラムを継続することは難しいだろう。。
個人的には診療所レベルで多施設でこのようなRCTを実施できるという意味では、興味深い。。
とはいえ、運動療法が意味がないとは言えない。
運動はフレイルの予防という意味でも有用であり、どちらかというと抗うつ薬と運動を組み合わせるというのが実際の臨床的なプラクティスだろう
今後は、抗うつ薬単剤と、運動療法と抗うつ薬の併用という、RCTは施行するかちがありそう。