コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

COVID19で消化管穿孔は多いのか?

Gastrointestinal perforation secondary to COVID-19 - PMC

 

COVID19では消化管穿孔が増えるのか?

 

はじめに
コロナウイルス感染症2019(COVID-19)は,主に呼吸器症状を呈する。しかし,消化器症状を含む呼吸器以外の症状も頻繁に認められるようになってきた.消化器症状としては,悪心,嘔吐,下痢,腹痛が主なものである.COVID-19に関連した消化管穿孔は、文献上ほとんど報告されていない。

診断
本シリーズでは,COVID-19に伴う消化管穿孔を呈した異なる3症例を報告する。2例はCOVID-19による重症肺炎で入院し,いずれも集中治療,挿管,人工呼吸を要した。1例は高齢の男性で,人工呼吸器からの離脱が困難であり,気管切開を必要とした.集中治療室滞在中に,原因不明のカンジダ血症を発症した.病棟に移動後,下部消化管出血が出現し,画像診断で腹膜炎の徴候を伴う徴候を認めた.2例目は肥満の若い男性で、横隔膜下に空気がたまっているのが偶然発見された。コンピュータ断層撮影では、糞便と胃壁の穿孔を伴う重度の気腹が確認された。3例目は高齢の男性で,急性腹症の症状・徴候とともに重症のCOVID-19肺炎を呈し,画像診断でS状結腸憩室炎と穿孔が確認された症例である.

介入
最初の2例は保存的に治療した。3例目は外科的治療。

結果
症例の経過は様々であったが、幸いにも全例が良好な臨床状態で退院した。

結論
本シリーズの目的は、この致命的な合併症を臨床医に紹介し、このパンデミックに対する理解を深め、結果として患者の予後を改善することにある。

 

写真やイラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名は medi-100-e25771-g002.jpg です。

 

今回の3例以外に、過去に13例がCOVID19に伴う消化管穿孔と報告

以前に報告された症例のほとんどは、最初に呼吸器症状を示し、4 例は、腹痛、こわばり、吐き気、および下痢の形で、受診時に消化器症状も示した

13 例中 11 例は、今回の 2 例と同様に、高流量酸素、挿管、または人工呼吸器のいずれかを必要とする重度の重篤な肺炎を患ってた

⇒これは、COVID-19 の重篤な症例で消化管穿孔がより一般的であることを示している

腹痛、腹部膨満、腹膜刺激徴候、血行動態の不安定化、CRP上昇などが気づくきっかけとなった。

 受診時に腹痛と圧痛があったのは、1例だけだった別

消化管穿孔は、COVID-19の最初の発症日から23日目まで診断された

私たちの患者は、COVID-19の症状に関連して、消化管穿孔の同様のさまざまなタイミングを持っていました。

診断の初日から COVID-19 肺炎の発症後 40 日までの範囲

⇒感染の過程で消化管穿孔がいつでも発生する可能性があることを示している可能性がある

 

*感想

COVID19自体が消化管の脆弱性をきたす印象

重症例で多いということからも、おそらくはワクチン未接種群が消化管穿孔のリスクではないか。

COVID19の急性期のみならず、ある程度感染が落ち着いてからも穿孔をきたすことがあるとのこと。