コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

PPIによるICU患者のストレス潰瘍予防

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P 急性疾患のため ICU に入室(すなわち予定外に入室)した消化管出血リスクのある成人患者

リスク:ショック、抗凝固薬の使用、腎代替療法、人工呼吸器、肝疾患、凝固異常

I 1 日 40 mg のパントプラゾール(pantoprazole)(プロトンポンプ阻害薬)を静注する群

C プラセボ

 

O 無作為化後 90 日までの死亡

 

多施設のRCT

プラセボコントロール

ダブルブラインド

ランダム化はコンピュータによって割り付けられ、アクティブな血液腫瘍があるか、施設などで層別化

ランダム化した結果、両郡は同等のベースライン

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経腸栄養の施行も両郡で著変なし

説明がありません

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ITT解析で行っている

サンプルサイズは3350人で90%の検出力と計算(outcomeは死亡率)

⇒足りている印象

 

〇結果

 

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90 日の時点でパントプラゾール群の 510 例(31.1%)とプラセボ群の 499 例(30.4%)が死亡していた(95%信頼区間 [CI] 0.91~1.13,P=0.76).

パントプラゾール群では 2.5%に臨床的に重要な消化管出血が発生したのに対し,プラセボ群では 4.2%に発生した.

 

 

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肺炎やCD腸炎も増加はしない

 

〇議論

3割が死亡し、8割が人工呼吸管理される重症郡の割には、死亡率はPPIで改善しない

臨床的に重要な消化管出血は減る傾向あるがsecondory outcomeであり参考

なおNNTは60程度であり、最も効果がありそうな郡でも思いのほか効果は乏しい。

また、具体的にどれくらい緊急内視鏡がどれくらい減るかは気になる。

経腸栄養をきちんとすれば、さらに予防できる可能性あり。

すくなくとも病棟セッティングでそれほど重症ではない郡では、ストレス潰瘍予防は、必ずしも必要ないかもしれない。。