コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

ビタミンB1欠乏  救急症例振り返り

本日は救急症例振り返りカンファでした。

 

最近、ビタミンB1欠乏で救急に来た症例が多かったため振り返りました。

なお、みんな高齢の男性でした。

アルコール多飲+眼振+歩行障害/転倒+乳酸値上昇⇒ビタミンB1欠乏

低栄養+偏食+意識障害+乳酸値上昇⇒ビタミンB1欠乏

著名な低栄養+歩行障害+意識障害+眼振ビタミンB1欠乏(乳酸上昇なし)

場合によってはカタレプシー様で眼位が固定されるケースも」

 

おそらく、ビタミンB1欠乏は昔の病気として思われているのでUnder dagnosisだと思います。その目で見れば思っているよりはるかに多いです。

ビタミンB1枯渇までの期間は2-3週間ですが、低栄養患者であればそれよりも早く欠乏する可能性があり。

⇒病棟でも絶食時にはビタメジン1A/日はルーチンで投与しておく

空腸、回腸で吸収

ビタミンB1は精米や乳製品で少ない、豚肉、玄米で多い

アルコール依存、低栄養患者における、低血糖意識障害、小脳失調、歩行障害、眼振(眼球運動障害)、乳酸上昇ではまず、疑うべき

妊娠悪阻、小腸切除、悪性腫瘍、慢性下痢、利尿薬、低マグネシウムもリスク

病歴が大切 ウェルニッケ脳症はMRIビタミンB1ではなく臨床診断!

ビタミンB1は参考値ただし基準値より低下していたら有意ととるが、グレーゾーンもある 乳酸値の上昇も参考になる

ビタミンB1を採血で取ったら、診断的治療としてアリナミン2A程度をERで静注してみて診断的治療をする

ビタミンB1は通常の生化学と別スピッツなので可能なら、投与前に採血しておく!

ビタミンB1は水様性ビタミンなので基本的に過量投与にはならないので、迷ったら投与する。

 

治療

ビタミンB1 1500㎎/日 2-3日  

その後ビタミンB1 500㎎/日 5日間 

*一部 総合ビタミン剤で他のビタミンB群も補充

ビタミンB1 100㎎/日 内服で継続

 

他に、低体温、痙攣、末梢神経障害、脚気心も起こる

⇒アルコール依存+低栄養の心不全ではビタミンB1欠乏を考える

他に、敗血症性ショックのような低血圧で来院することも

 

頭部MRIは診断に有用でウェルニッケに特異的な所見があれば診断的だが、MRIが正常でも否定は出来ない

髄液検査は軽度の蛋白上昇はありえるが、他の意識障害をきたす疾患の除外目的

アルコール依存、低栄養が背景にあることがあるので低マグネシウムを含めてリフィーディング症候群が合併することが多い 

ウェルニッケを放置するとコルサコフ症候群に移行して不可逆になる!

酒飲み、ガリガリはひとまず、ビタミンB1入れてとけ!!