コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

プロフェッショナリズムについて

本日はプロフェッショナリズムのレクチャーでした!

 

〇プロフェッショナリズムが重要な状況

・陰性感情があっても診察をしないといけない

・休みの日に呼び出されたときに、病棟に任せるべきか

 

プロフェッショナリズムの定義

プロフェッショナル:専門職集団、その当事者

イズム:行動やプロセス

 

プロフェッショナリズム

⇒専門職が行うべき行動や選択すべきプロセス

 

非医療従事者とプロフェッショナルの壁を考える。

医者と言う職業がどう診られているかを意識する。

医師は利他的であるべき? でも現実との理想は?

 

具体的な指針 新家庭医療ルーブリックより

①患者中心性

利他主義

③自己研鑽

 

医学書院/週刊医学界新聞 【〔新連載〕続・アメリカ医療の光と影(1)(李啓充)】 (第2480号 2002年4月1日)

上記より引用

〇医師憲章

<3つの根本原則>
(1)患者の利益追求:医師は,患者の利益を守ることを何よりも優先し,市場・社会・管理者からの圧力に屈してはならない
(2)患者の自律性:医師は,患者の自己決定権を尊重し,「インフォームド・ディシジョン」が下せるように,患者をempowerしなければならない。
(3)社会正義:医師には,医療における不平等や差別を排除するために積極的に活動する社会的責任がある。

 

<プロフェッショナルとしての10の責務>
(1)プロとしての能力についての責務:個々の医師が生涯学習に励み,その能力・技能を維持するだけでなく,医師団体はすべての医師が例外なくその能力・適性を維持するための仕組みを作らなければならない。
(2)患者に対して正直である責務:治療上の意思決定ができるように,患者をempowerするために,情報を正直に伝えなければならない。特に医療過誤については,患者に速やかに情報開示することが重要であるだけでなく,過誤の報告・分析体制についても整備しなければならない。
(3)患者の秘密を守る責任:医療情報の電子化の進展,遺伝子診断の技術進歩が進む中,患者の秘密の厳守は特に重要である。
(4)患者との適切な関係を維持する責務:患者の弱い立場を悪用することがあってはならない。特に,性的・財政的に患者を搾取してはならない。
(5)医療の質を向上させる義務:医師および医師団体は医療の質を恒常的に向上させる義務を負う。医療の質には,医療過誤防止・過剰診療抑制・アウトカムの最適化が含まれる。
(6)医療へのアクセスを向上させる責務:医師および医師団体は医療へのアクセスの平等性を確保することに努めなければならない。患者の教育程度,法体制,財政状態,地理的条件,社会的差別などが,医療へのアクセスに影響してはならない。
(7)医療資源の適正配置についての責務:医師には,限られた医療資源を,「コスト・エフェクティブネス」に配慮して,適正配置する義務がある()。過剰診療は医療資源の無駄使いとなるだけでなく,患者を無用な危険にさらすことになる。
(8)科学的知識への責務:医師には,科学的知識を適切に使用するとともに,科学としての医学を進歩させる義務がある。
(9)「利害衝突」に適正に対処し信頼を維持する責務:保険会社や製薬・医療機器企業などの営利企業との関係が,本来の職業的責務に影響する恐れがあることを認識するだけでなく,「利害衝突」に関する情報を開示する義務がある。
(10)専門職に伴う責任を果たす責務:専門職に従事するものの責任として,職業全体の信頼を傷つけてはならない。お互いに協力することはもとより,専門職としての信頼を傷つけた医師には懲戒を加えることも必要である。

 

 

〇医師会

http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20161012_2.pdf

医の倫理綱領
 医学および医療は、病める人の治療はもとより、人びとの健康の維
持もしくは増進を図るもので、医師は責任の重大性を認識し、人類愛
を基にすべての人に奉仕するものである。
1. 医師は生涯学習の精神を保ち、つねに医学の知識と技術の習得
に努めるとともに、その進歩・発展に尽くす。
2. 医師はこの職業の尊厳と責任を自覚し、教養を深め、人格を高
めるように心掛ける。
3. 医師は医療を受ける人びとの人格を尊重し、やさしい心で接す
るとともに、医療内容についてよく説明し、信頼を得るように
努める。
4. 医師は互いに尊敬し、医療関係者と協力して医療に尽くす。
5. 医師は医療の公共性を重んじ、医療を通じて社会の発展に尽く
すとともに、法規範の遵守および法秩序の形成に努める。
6. 医師は医業にあたって営利を目的としない。
日本医師会綱領
 日本医師会は、医師としての高い倫理観と使命感を礎に、人間の尊
厳が大切にされる社会の実現を目指します。
1. 日本医師会は、国民の生涯にわたる健康で文化的な明るい生活
を支えます。
2. 日本医師会は、国民とともに、安全・安心な医療提供体制を築
きます。
3. 日本医師会は、医学・医療の発展と質の向上に寄与します。
4. 日本医師会は、国民の連帯と支え合いに基づく国民皆保険制度
を守ります。
 以上、誠実に実行することを約束します。

 

などの指針がある

 

・医学的妥当性

・患者の治療選択の自由

・社会的公共性、倫理 

このどれかに関して方針の選択肢が2つあり、デメリットやリスクを対比する場合に問題になる。

 

P-MEX( professionalism mini-evaluation exercise)

①医師患者関係構築能力

省察能力

③時間管理能力

④医療者間関係構築能力

 

 

モヤモヤ領域は振り返る必要がある

何が正解か見つけられない significant event analysis やみんなの意見を確認する

 

プロフェッショナリズムの難しさを、改めて感じました。

 

プロフェッショナリズムは矜持や誇りのようなものかもしれません。

そして医師としてどのように社会に責任を果たすかでしょうか。

個人的には、『自分が物語の主人公の医師であるとするならばどのように振る舞うことが最も望ましいのだろう?』とメタ認知することが重要だと思います。

 

治療の選択 - 亀田ファミリークリニック館山/亀田メディカルセンター家庭医診療科

最後に上記の精神科医のエキスパートの対話から引用します。

以下の4つの資質を挙げてみます。

まず,「卓越性」は「勉強する習慣」と言い換えてよいのではないでしょうか。精神科医たる者,やはり勉強は大事であり,それが「臨床能力(医学的知識)」という土台になります。

そして「人間性」は,「世話好き」と言い換える。面倒見が良く世話好きの方にはやはり精神科医の適性があると感じます。

「説明責任」は「説明能力」としてみる。精神疾患を持つが故に理解力に乏しかったり,物事を歪んでとらえたりする患者さんと接する機会があるので,きちんとした説明をできる能力が求められますよね。

最後に,「利他主義」を「患者の立場で考える」と言い換えてみました。これは「いつも患者さんの味方であれ」という意味ではありません。医師として医学的な側面から患者さんを冷静に観察するのは当然として,その上で患者さんの視点に立って考えることのできる能力が大事だと思っています。

www.igaku-shoin.co.jp

 

⇒これは総合診療医のプロフェッショナリズムそのものとも言えるかもしれませんね。。とても共感します。

 

勉強する資質、世話焼き、説明能力、患者の立場で考えるということは、実は家庭医療学の理論そのものかもしれません。

患者の立場で考えるといのはPCCMそのものですね。

プロフェッショナリズムをさらに勉強したい場合は以下の本がお勧めですね。