コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

Zero to 50,000 — The 20th Anniversary of the Hospitalistを呼んでの感想と明日からの所感。

https://mfprac.com/web2018/07literature/literature/Misc/Hospitalist_Wachter.pdf

上記は米国のホスピタリストの「学長」と言われているRobert Wachter先生の論文です。
 
詳細は下記の野木先生のブログにも、まとめられてます。

米国ホスピタリストの黎明期とRobert Wachter氏 | 野木真将のブログ « あめいろぐ

 

以下の図の通り、アメリカのホスピタリストは20年で5万人まで増加しています。

 

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今までの自分の個人的な日本での経験に基づいて、どのように取り入れることが出来るかを考えてみました。


Acutely ill patients needed rapid attention on admission and often multiple daily visits
during hospitalization, regardless of whether that disrupted the flow of physicians’ outpatient practices.
→日本なら救急からの緊急入院の受け皿としてホスピタリストの期待が大きいのかなと思いました。専門内科の先生はは救急からの緊急入院で疲弊しているかもしれません。
さらに、専門内科の先生は高齢者医療に関しても疲弊している可能性が高く、ここが日本版ホスピタリストが普及しうる可能性を秘めている気がしました。
 
 
〇教育への効果が大きい
→日本ならホスピタリストがいる病院が教育が充実し人が集まるというところは、分かりやすいメリットと考えています。
 


〇不要なコンサルテーションの減少
→日本なら専門内科の先生専門外を診るよりホスピタリストでコンサルテーションが減り、専門内科の先生が疲弊しないかもしれませんが、なんとも言えないところです。。
 
 
 〇質の向上、患者安全、経済的効果(コスト削減)、プライマリケア医の負担軽減
Although we continue to believe that the hospitalist model is the best guarantor of high-quality, efficient inpatient care, it’s clear that today’s pressures require innovative approaches around this core.
→確かに、病棟に専属できるホスピタリストが診ると質と安全性が高まり、さらに専門内科先生方の負担が軽減するというのはメリットになりうるかもしれません。
特に病院経営の改善という点はとてもインパクトが大きく、日本版ホスピタリストが普及するためのカギになるかもしれません。
 質改善に関しても、トヨタ式は本来日本の概念ですので親和性も高いのではないのでしょうか。。
 
 
〇ただしケアの継続性が分断されることが難点
→日本では主治医がずっと診る文化とホスピタリストは確かに相容れないかもしれません。。ただし、外来主治医が開業医なら日本ではむしろケアの継続性は担保される可能性はあります。鍵はホスピタリストによる退院前カンファレンスの 実施と個人的には考えています。
 
 
More creative variations include “hyphenated hospitalists,”
such as surgical hospitalists (alsocalled acute care surgeons), neurohospitalists, and obstetrical hospitalists. Medical hospitalists also often comanage care with surgeons or medical subspecialists,thereby reducing costs and allowing those specialists to concentrate on procedural tasks
→Surgical hospitalistがトピックとのことですが、日本なら外科医や専門内科の先生がホスピタリストに転向するというキャリアパスはもっと増えてよいと思っています。全日病の総合医育成プログラムは、ひとつの例になるかもしれません。
開催スケジュール:全日病総合医育成プログラム - 全日病

 
 
 
〇シフト性でオンオフをはっきりさせる。
→これが本当に実現できれば、オフの時間を委員会活動など質改善やマネジメント業務をすることで質改善や経営に貢献が出来るだけではなく、オンオフのはっきりした診療科として女性にも人気が出る可能性があり重要なポイントかもしれません。
 
 
 
〇入退院を繰り返すハイリスク患者はcomprehensivistはどうか❓️
→あくまで個人的な意見ですが、日本なら小規模病院に活躍の場があるのではないかと思います。それらの病院でホスピタリストが虚弱高齢者を担当するという状況が想定されるのではないかと思います。これも私見ですが、病院で家庭医療や老年医学的な能力が必要かと考えています。
 

 


ここで米国のホスピタリストのコアコンピテンシーを確認します。 

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セクション1は内科を中心としたコモンディジーズを正しく診る能力になります。 

セクション2は胸部Xpやエコーなどの検査や、手技に関する項目です。

セクション3で、以下のように多岐に渡りマネージメント的な要素になります。あくまで個人的な筆者の経験ですがこれらを体系的に学問体系として学んだ記憶は実はあまりないので、特に気になっているポイントです。

 

〇セクション3 

1高齢患者のケア

2Vulnerable Populationsのケア

3.コミュニケーション

診断学

5.薬の安全性、薬経済学、および薬の疫学

6.資源の公平な配分

7.根拠に基づいた医学

8.教育者としてのホスピタリスト

9.情報管理

10.リーダーシップ

11.管理の実践

12.コンサルテーション

13 栄養管理

14 緩和ケア

15 患者教育

16 患者パンフレット

17 患者安全

18.実践ベースの学習と改善

19 医療関連感染の予防 抗菌剤耐性

20 プロフェッショナリズムと医療倫理

21.質改善

22.リスク管理

23.チームアプローチと集学的ケア

24.トランジションケア

 

 

ひとまず、クイーンズメディカルセンターのシステムがどのようになっているのか。

もちろんこれが米国のホスピタリストシステムの全てではないとは思いつつも、勉強してきます。

今から、楽しみです!!