コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

Blue finger syndrome

指が急に黒色壊死したら?

 

medical.nikkeibp.co.jp

 

まずは、Achenbach症候群は、ぱっと想起します。

ただし、明らかに壊死しており、手の痺れや炎症反応上昇などを伴う場合はBlue finger syndromeとして、原因疾患の検索を行います。

 

www.elsevier.es

 

 

こちらは過凝固症候群にともなうBlue finger syndrome

 

Blue finger syndromeの鑑別は以下の通り

 

○動脈血流量の減少

Embolism 

コレステロール塞栓

動脈瘤

・心臓粘液腫

・感染性心内膜炎

・Intimal angiosarcoma of the aorta

 

Thrombosis

抗リン脂質抗体症候群

・傍腫瘍症候群

・TTP/DIC

・抗凝固薬による皮膚壊死

 

 

血管収縮

・SLE

・薬剤性

・凍傷

Acrocyanosis 

・昇圧剤使用

 

血管壁

・血管炎

・バージャー病

ベーチェット病

・強皮症

・クリオグロブリン

・SLE

・梅毒

 

その他:calciphylaxis

 

 

○静脈還流の低下
・広範な静脈血栓症

・Phlegmasia cerulea dolens
Venous gangrene

 


○血液の過粘着性
・クリオグロブリン血症
・ワルデンストーム・マクログロブリン血症
・骨髄増殖症候群:真性多血症、本態性血小板増多症
・寒冷凝集素

 

 

以下、診断アルゴリズム

 

外傷・咬傷、呼吸不全などは除外

寒冷で悪化するかがポイント

寒冷で悪化しない場合は、末梢の動脈が触知するかで鑑別

触知しないなら末梢の血栓症

触知するなら以下の鑑別

 

 

寒冷で悪化する場合は以下

 

・寒冷で悪化するが温めるともとに戻る→レイノー

・寒冷で悪化 ベースでチアノーゼ →原発性 or 二次性チアノーゼ

 

・寒冷がきっかけで病変が発症

虚血/熱傷

急性発症の紫斑±壊死 →クリオグロブリン

慢性経過→凍傷様ループス premio chilblain lupus

 

なお、抗核抗体、ANCA、抗リン脂質抗体、クリオグロブリンなどの検査にすぐに走りがちですが、心血管疾患や心房細動の有無、血液培養、悪性腫瘍の検索、免疫グロブリンのチェックなども必要ですね。

特に、血液培養は抜けがちですが、重要です。