コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

古都はじめ奈良2019 実況中継 ⑤ 臨床推論カンファレンス

高齢女性の1か月の経過で増悪傾向の発熱+皮疹 掻痒感もあり

浮腫も悪化傾向。

両側関節痛もあり。

既往歴は、特記事項なし。

診断は??

 

まず発熱に準じて以下の4大疾患から考える

 

感染症

〇自己免疫

〇悪性腫瘍

〇薬剤性

 

感染症であれば、IEやTbなど比較的経過が長いものを考えたい。皮疹もあることから、これらは否定しておきたい。深部膿瘍も可能性としてはある。

 

自己免疫疾患であれば、血管炎だが、下肢の紫斑と言うよりも皮疹は体幹部の丘疹であり血管炎にはやや非典型的。

PMR,RS3PE症候群なども考えるが、皮疹がある点は合わない。成人発症スティル病にしては高齢発祥だが、悪性腫瘍関連ならあり得るか。

高齢でもSLEはこのような経過をたどることも。

 

悪性腫瘍であればやはり血管系悪性腫瘍を考えたい。掻痒感があるのも合う。

 

薬剤性の可能性は常に考えるべきだが、今回は症状を説明できる内服薬なし。

 

大穴で副腎不全や甲状腺機能異常なども鑑別に

 

採血ではCa高値!

高Ca鑑別

①薬剤性の除外(特に活性型ビタミンD)

副甲状腺機能亢進症の除外(Pは低値)⇒PTHチェック

③悪性腫瘍関連(PTH-RP  or 悪性腫瘍の骨転移)

④T細胞系リンパ腫

 

⇒結局フラワーセルが陽性。出身地も九州であり、ATLと診断した症例でした。

http://jyoutoubyouinsougounaika.hatenablog.com/entry/2019/07/09/090154

網羅的に考えつつ、どんなふうに推論を進めるかという思考過程を共有しました。