コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

重症のANCA関連血管炎に対する 血漿交換+ステロイドの効果について

 

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1803537

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P 重度の ANCA 関連血管炎(腎不全 orびまん性肺出血)の患者

抗GBM抗体の患者は除外。 他既に治療が開始された患者など

I/C 

血漿交換を受ける郡と受けない郡 (血漿交換は)

経口グルココルチコイドを標準用量で服用する群と減量容量で服用する群

全例、導入としてステロイドパルスを使用し、後療法として1mg/kg/day前後でPSLを使用した。

減量郡は2週間目でPSLを半量程度に減量。

*全ての患者は、シクロホスファミドまたはリツキシマブのいずれかによる免疫抑制療法を受けたが、どちらにするかは現場の判断で行われた。

O 主要複合転帰(全死因死亡または末期腎不全) 

 

デザイン:open labelのRCT 2×2 の無作為化試験

 

〇 ベースライン

血漿交換をするかしないか、プレドニンを減量するかしないかでベースラインを評価したが、ベースラインに違いはなさそう。

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〇解析など

サンプルサイズは足りている

80%の検出力

 

血漿交換はITT解析で優越性を検討

ステロイドの減量はper protocolで非劣性を検討

 

〇結果

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血漿交換は優越性を証明できず

 

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その他のアウトカムも著変なし。 ややステロイド減量郡で感染症が少ない?

基本的には副作用はどの郡でも著変なし。

 

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open labelだがhard otcomeなので影響はなさそう。

2×2表だが、それぞれのベースラインで差はない。

またこれ以外の治療法もないので結果に影響はないか。

IVCY,リツキサンをしっかり使えばPSLの減量ははやめに行っても大丈夫そう。

重症であってもANCA関連血管炎ではステロイドパルス+(IVCY or リツキサン)を充分使えば血漿交換は必須ではないかもしれない。

ただ、行うことで抗GBM抗体の結果が出るまでに血漿交換を行うことは妥当かもしれない。