コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

COPD急性増悪に対するステロイド

Short-term vs Conventional Glucocorticoid Therapy in Acute Exacerbations of Chronic Obstructive Pulmonary Disease: The REDUCE Randomized Clinical Trial | Chronic Obstructive Pulmonary Disease | JAMA | JAMA Network

 

COPD急性増悪に対するステロイドの治療期間では上記のREDUCE studyが有名です

P 40歳以上のCOPD急性増悪

I     PSL40mg 14日

C    PSL40mg 5日

O COPDの再増悪(180日)

ただし、肺炎、気管支喘息の既往、予後6か月以内の死亡が予測される例、妊婦などは除外されている。

 

 

非劣勢劣勢試験

多施設RCTでサンプルサイズも十分足りている

脱落も問題にならない程度

 

 

Table 1. Baseline Characteristics of Study Participants

CODPとしてGOLD3以上が大半を占める。

ただ、臨床的変数としてベースラインではSpO2のRAの中央値は90%

 

Table 2. Results for the Primary End Point

結果的に、両群は非劣勢。

ただし、挿管やNIPPVが必要な重症例は除外基準ではないものの、あまり多くはない印象ではある。

 

 

最近のCHESTの前向きのRCT

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

P   40歳以上のCOPD急性増悪

I    40mgで投与する群(固定用量)

C 患者によって個別に調整する群(調節用量)

O 治療の失敗(院内の失敗と退院後の治療失敗の複合指標)

除外項目:喘息、肺炎、気胸、肺塞栓、左心不全、人工呼吸器など

 

体重が重い場合、血液ガスが悪化している場合、CATスコアが不良な場合などは個別に増量するスコアリングシステムを採用

 

結果的に治療の失敗は、固定用量群の48.8%と比較して、調節用量群の27.6%で発生(相対リスク、0.40; 95%CI、0.24-0.68; P = .001)

病院内での治療の失敗は、個別投与群で有意に低かった(10.6%vs 24.4%; P = .005)

退院後の治療失敗率、有害事象率、入院期間、および費用は同様だった。

 

調節用量のPSL投与量はおよそ55-60mg/day

 

 

○感想

COPD急性増悪のステロイドは40mg 5日というのが一般化している。

実際に、軽度~中等症の増悪ではこれで問題ない印象

ただし、やはり体重が重い場合はPSLを増量することも重要でPSLは1mg/kg/day程度を目安にすることが有用かもしれない。

また上記のREDUCE studyでは重症例はあまりinclusionされれていない印象であり、NIPPVや気管挿管が必要な症例ではPSL40mgを5日では足りないかもしれない。

全例でPSL40mg 5日というのは危険かもしれない。

重症度や経過によって個別にステロイドを調整することは妥当かもしれない。