冬期セミナー2020 若手病院総合医チーム 糖尿病のpros cons
プライマリケア連合学会、専門医部会若手医師部門、若手病院総合医チームの企画です。
SLGT2/GLP1を使うべきかについてpros とconsに分かれて若手病院総合医が発表しました。
長野先生がディベートをされていたので、その要素を取り入れているのだと感じました。
さらに糖尿病専門医のコメント付きという美味しい企画でした。
SGLT2のprosに関しては最近は心不全の発症を抑える効果や大血管リスクを減少する効果が報告されています。
血圧を下げる効果もありますね。
ただし、consとしてはまだ大規模観察研究に乏しい点など副作用への懸念、尿路感染のリスク、さらに心血管リスクの評価は多くはプラセボとの非劣性試験でなされていることなどから、死亡率を低下させるかはまだ不明瞭というところがあります。
心不全の入院というアウトカムは減らす傾向はありますが、医師の主観も入ります。
値段の問題もあります。
専門医のコメントとしては、SLGT2は血糖が高いほど血糖降下作用に優れ、機序としてもただ血糖を下げる薬ではないが、陰部が清潔に出来ないケースなどは適しておらず、注意深いフォローが必要と言う意見がありました。
GLP1に関してもprosとしては同様に心血管リスクを下げる傾向があり、さらに週1回製剤は訪問看護師が確実に施行できるという意見がありました。
consとしては、同様に非劣性試験でしか心血管リスク減少効果を示せていない、値段が高い意見がありました。
専門医からはGLP1は週1回製剤が非常に使いやすい製剤でメリットがあるものの、消化器症状が副作用として出やすいため注意が必要という意見がありました。
第2弾としては自己抗体のprosとconsについて議論がありました。
prosとしてはGAD抗体が陽性であれがSPIDDMと診断出来るため、それによって膵保護を狙いSUを避けてインスリンを導入することを検討できるという意見がありました。
一方でconsとしてはGAD抗体の値段の問題だけではなくSU剤とインスリンを比較した研究はあるものの、SU以外の薬を比較した研究は乏しいため、SUを避ければよいだけであえてGAD抗体を図らなくてもよいのではという意見がありました。
専門医としてはそれらの自己抗体やインスリン分泌能のプロファイルで薬剤を使い分けるものの、確かにルーチンで全例で測るのは値段の問題もあるため、全例は測らず経過が不良な場合に測定を考えることもありかもしれないという意見がありました。
とても勉強になる企画で、満員御礼でした!