著名な低アルブミン血症と浮腫。
下痢はないが、蛋白漏出性胃腸症疑い。
原因不明の乳酸高値。原因は??
D-Lactic Acidosis: An Underrecognized Complication of Short Bowel Syndrome
D-乳酸アシドーシスは主に短腸症候群で認められる病態
D乳酸アシドーシスは中枢神経に影響を与える。
D乳酸アシドーシスの原因として2つの要素がある
①糖分の吸収を担う小腸が短い
②糖分の吸収がされない。
その結果腸内細菌叢に変化が起こる。
未消化の糖分が蓄積して有機酸が分解能を超えて蓄積する
乳酸の蓄積で酸性が進むとより腸内細菌の繁殖が進み、
Lactobacillus fermenti L. acidophilusなどの細菌
短腸症候群だけでなく、クローン病、
以下ケースレポートの一覧
短腸症候群におけるD乳酸アシドーシスの症状
→脳症・神経障害が前面にくる(D乳酸は中枢神経と親和性あり)
チアミン欠乏も合併することが多い
◯診断
D乳酸アシドーシスのリスクがある場合に適切に疑えるかが大切。
ちなみに、D乳酸アシドーシスは尿に排泄されやすい→
AG上昇型アシドーシスと高Cl性アシドーシスが合併する
尿中AGも陽性→尿細管性アシドーシスと誤診する
特殊な装置でD乳酸アシドーシスは測定可能(D乳酸>3mmol/L で診断)
たいがい高炭水化物食を食べたあとに神経症状が出現する病歴があ
炭水化物負荷試験で神経症状とD乳酸の上昇を確認した報告もある
便培養からはD乳酸を産生する細菌が培養される
◯治療
・アシデミアの補正
・原因物質の除去
・長期間のコントロール
・急性期の治療
点滴で重炭酸を使ってアシデミアの補正をする
乳酸リンゲルは避けるべき
炭水化物も急性期は避ける→原因となる乳酸菌が餓死する
炭水化物とビタミンを経静脈的に投与する
クリンダマイシンやバンコマイシン、ネオマイシン、
・急性期を乗り切った後
再発予防に重点を置く
炭水化物の制限や、ミルク、ヨーグルト、
なお脂肪の吸収不良→Ca結晶の沈着→結石のリスク。
よってシュウ酸の摂取は制限する
再発する場合は長期間の抗菌薬投与も検討するがケースバイケース
整腸剤は避けたほうがよいかも?(
内科的治療がだめなら手術も検討