Up to Dateより
https://www.thelancet.com/journals/lanpsy/article/PIIS2215-0366(19)30001-X/fulltext
〇年齢
年齢と性別の分布は若い女性を中心にしている。
症例の頻度は40歳を過ぎると大幅に減少(図2A)
464例中139例(30%)が卵巣奇形腫、7例(2%)が単純ヘルペスウイルス脳炎の既往、および24例(5%)が妊娠していた。
〇NMDA脳炎の症状
・前駆症状の頭痛、発熱、またはウイルス感染様の症状を呈し、その後数日間で以下の症状が多段階に進行する。
●顕著な精神症状(不安、動揺、奇妙な行動、幻覚、妄想、混乱した思考)。
●不眠症
●記憶障害
●痙攣
●意識障害、緊張性症状を伴う昏睡
●頻繁なジスキネジア:口腔、顔面、舞踏様運動、ジストニア、硬直
●自律神経不安定 :高体温、血圧の変動、頻脈、徐脈、心停止、人工呼吸が必要な低換気
●言語機能障害:言語出力の低下、無言症、反響言語
〇特徴
https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/049110774.pdf
〇古典的五徴
〇症状の一覧表
https://www.thelancet.com/journals/lanpsy/article/PIIS2215-0366(19)30001-X/fulltext
興奮、幻覚、妄想、不安などの頻度が高い。
〇精神科的な症状
⇒急性精神病らしい病型となることが最多
・検査など
脳波(EEG)は412人の患者のうち257人(62%)で異常
脳MRIは426人の患者のうち135人(32%)で異常。
https://www.thelancet.com/journals/lanpsy/article/PIIS2215-0366(19)30001-X/fulltext
髄液は細胞数増加や、オリゴクローナルバンドが特徴的だが初期には正常。
頭部MRIは正常であることが多い。
http://www.ajnr.org/content/early/2018/03/22/ajnr.A5593
type 1: 正常
type 2: 海馬のみ
type 3: 病変があるが海馬に及んでない
type 4: 病変は海馬とそれ以外の両方に認める
なお海馬病変があると予後不良かも
〇診断のポイント
https://www.thelancet.com/journals/laneur/article/PIIS1474-4422(15)00401-9/fulltext
〇診断基準
⇒症状がありNMDA抗体が陽性で他の疾患が否定的なら診断。
⇒脳波異常 or 髄液異常があり、他の疾患が否定的で、さらに特徴的な症状が揃っている場合もまた診断される。
〇鑑別疾患
・悪性カタトニア
・神経性悪性症候群
・ウイルス性脳炎(単純ヘルペスウイルス,帯状疱疹ウイルス,HHV-6,エンテロウイルス,インフルエンザウイルス)
・橋本脳症
・ウェルニッケ脳症
・全身性エリテマトーデス
・Sjögren症候群
・細菌性髄膜炎
⇒特にヘルペス脳炎との鑑別が重要になるため、髄液中のヘルペスPCRの結果が出るまではアシクロビルの点滴や、細菌性髄膜炎を念頭として細菌培養が出るまでの抗菌薬投与は許容されるかもしれない。
ウェルニッケ脳症のリスクがある場合にはビタミンB1の投与も同じく許容されるかもしれない。