喘息の「誤診」について jama
P 過去5年以内に医師から喘息と診断された18歳以上の成人患者
除外:長期ステロイド内服患者と、スパイロメトリー検査ができない患者、妊婦、母乳を与えている患者 スパイロが出来ない⇒心・血管疾患など禁忌 or COPDを疑うような10年以上の喫煙者
I/C
段階的に喘息の診断を行う
① 気管支拡張薬の前後でスパイロメトリー⇒陽性なら喘息
② メサコリン負荷試験(1週目)⇒陽性なら喘息
③ 気管支拡張薬を減量しメサコリン負荷試験(4-5週目)⇒陽性なら喘息
④ 全ての気管支拡張薬を中止してメサコリン負荷試験(7-8週目)⇒陽性なら喘息、この地点で全て陰性なら喘息以外の診断になる
O primary outcome :喘息ではないと判定された患者の割合(喘息の急性増悪の所見、気道可逆性および気管支拡張薬を中止したにも関わらず気道過敏性を認めず呼吸器専門医によって他の疾患の可能性が高いと判断)
secondory outcome:12ヵ月後のフォローアップで喘息が否定された患者の割合、および割り付け時に喘息に対する適切な検査を受けていた患者の割合
前向きの多施設のコホート研究 カナダの 10の施設で4年間に渡り実施
結果 613人がエントリー 数は足りている
⇒613人中 410人が気管支喘息と診断された一方、1/3にあたる203人は喘息以外の診断に!!
⇒専門家が診断、診断時にスパイロメトリーを行っていたら喘息の可能性が高い。
呼吸苦・Wheezeがあると喘息の可能性が高い。
専門家が診断、診断時に気道閉塞試験を行っている、喘息のmedicationを毎日使っている、エントリー時にWheezeがある ⇒喘息の可能性を上げる所見。
○考察
このstudyを見ると、喘息と診断されているにも関わらず「誤診」である可能性が1/3あるということになる。
さらに、非専門医が診断、Wheezeがない、気道閉塞が他覚的に証明されていない場合は「誤診」のリスクが高くなるとのこと。
これはカナダのstudyだが、日本ではメサコリン負荷試験は一般的でなく、気管支拡張薬を用いたスパイロメトリーによる気道可逆性の証明もプライマリ・ケア領域ではほとんど行われておらず「誤診」の可能性はもっと高いのかもしれない。
少なくともWheezeがないのに安易に喘息と言わないことが大切かもしれない。
あとは、過去に喘息と診断されていない場合は喘息と診断するのは慎重になったほうが良いかもしれない。
限られた制約もありスパイロメトリーによる気道可逆性の証明が出来ない状態で気管支拡張薬を開始することは致し方ないと思われる。
しかし漫然と継続するのではなく中止できるのではないかと常に考えることが大切かもしれない。