食物依存性運動誘発アナフィラキシー
食物依存性運動誘発アナフィラキシーらしい方がいたのでお勉強。
日本小児科学会のガイドラインがまずはまとまっているのでよさそうです。
http://www.jspaci.jp/allergy_2016/chap11_1.html
- 1食物依存性運動誘発アナフィラキシー(food-dependent exercise-induced anaphylaxis, FDEIA)は特定の
食物摂取後の運動負荷によってアナフィラキシーが誘発される疾患である。ただし、原因食物の即時型アレルギーの既往を有する場合や経口免疫療法後などはこれに含めない。 - 2発症機序はIgE依存性で、原因食物は小麦と甲殻類が多い。食後2時間以内の運動による発症が大部分であるが、
誘発のしやすさにはいくつかの要因が関与する。 - 3発症頻度は中学生約6,000人に1人で、初回発症年齢のピークは10~20歳代である。
- 4診断は問診とアレルギー検査から原因食物を絞り込み、誘発試験を実施する。しかし、誘発試験の再現性は
必ずしも高くない。 - 5再発症の防止には原因食物の確定ならびに患者と保護者への教育・指導が重要である。
その際に、不適切な食事・運動制限で患児のQOLを損なわないよう注意する。
●原因食物と発症時の運動
原因食物は、小麦と甲殻類が多いが、果物や野菜の報告例が増加している。発症時の運動種目は、球技やランニングなど運動負荷の大きい種目が多い。その一方で、散歩や入浴中の発症例もある。
●指導
運動2時間前の原因食物の摂取禁止を指導する。原因食物の完全除去や過剰な運動制限など不適切な指導により、患児のQOLを損なわないよう、注意する。頻回発症例や重症例には、アドレナリン自己注射薬を携帯させることが望ましい。
運動+食事のコンビネーションが悪化要因になるということですね。。
以下診療看護師さんのジャーナルに載ってるレビューから
https://www.npjournal.org/article/S1555-4155(17)30025-9/fulltext
●運動誘発性アナフィラキシーのサブタイプとしてしられている。
●誘因となる食事
運動前に特定の食物アレルゲンを摂取するとアナフィラキシーが誘発されるタイプと、食物に関わらず運動前の食事でアナフィラキシーが誘発されるタイプに分かれる。
最も一般的に報告されていない誘因となる食事は、タンパク質、肉、野菜、果物、種、およびシリアルがあります。
特に小麦の成分であるオメガ5グリアジンは、 FDEIA患者の主なアレルゲンである。
食物摂取と運動の間の時間は30〜120分程度とされていて、そして症状は運動が終わってから少なくとも10〜50分たった後に生じる。
●アナフィラキシーの症状の図
アナフィラキシーでは
①気道
②消化器
③循環/血圧
④皮膚
の4つが特徴であり、皮疹がないアナフィラキシーがあることもチェック。
頭痛や昏迷などの中枢神経症状が出現することも
●鑑別疾患
鑑別疾患としては、通常の運動誘発性アナフィラキシー、食物過敏症、肥満細胞腫、遺伝性血管浮腫、コリン性蕁麻疹、寒冷蕁麻疹、運動誘発性喘息など
●行うべき質問
症状は何ですか?
運動または運動が今回のすべてのエピソードで起こったことを確認する。
症状の各エピソードの前に特定の食品が摂取されていますか?
患者は食べ物を食べなくても症状を訴えたことがありますか?
ほとんどの反応は食事の2時間以内に起こるので、患者は食物に関連するアナフィラキシーのタイミングについて確認する。
アナフィラキシーに罹患したのは今回が初めての場合、日記が役立つ。
エピソードの前に患者はどんな食べ物/飲み物/サプリメントを服用したか?
食物が症状を引き起こしたかもしれないと感じるか?
どのような薬を服用していますか?
エピソードの前に他の薬を飲みましたか?
症状は時期によって変わりますか?
特定の食事に対するアレルギーを有しているか?
患者は、じんましん、アレルギー性鼻炎、または喘息などの他のアレルギー性疾患があるか?
アルコールやNSAIDSの服用があるか?
診断クライテリア
①アナフィラキシーが証明されている
②特定の食事と運動の組み合わせで誘発される。(特定の食事を食べない状況での運動は安全)
アレルギーテストの一覧
●マネージメント
予防として運動の4時間前および運動後1時間は特定の食事を食べないことがとても重要である。
アナフィラキシーが起こったら、すぐにアドレナリンを使用する。エピペン自己注射が重要!
特定の食事の後に運動をしないように出来るのであれば、運動制限や食事の制限は必ずしも必要ではないことにも注意。
下記の本にも載っているようなので勉強してみたいです。