結核と非結核性抗酸菌のCT所見の違いについて
目的
本稿では,HIV陰性患者の非結核性抗酸菌症(NTM)腔と結核菌感染症(TB)腔のCT所見の違いに注目する.
方法
胸部CTで空洞を認めたNTM患者128人(男性79人、女性49人)について、同時期の結核患者128人と年齢・性別をマッチングさせ、レトロスペクティブに検討した。
全患者の喀痰培養は病原体陽性であった。
独立した2人の胸部放射線技師が,空洞の特徴と関連因子を評価した.
結果
観察者間の一致は良好であった(κ値、0.853-0.938)。
NTMの腔壁は結核の腔壁よりも有意に薄く(6.9±4 mm vs 10.9±6 mm,P<0.001),均一だった(厚さの比,2.6±1 vs 3.7±2,P<0.001 ).
空洞に隣接する胸膜の肥厚も結核よりNTMの方が有意に厚かった(P<0.001).
しかし,多変量解析では,代表的な空洞所見の中で隣接胸膜の肥厚が唯一の有意な因子であった(オッズ比[OR],6.49;P<0.001).
多変量解析では,輪郭のはっきりしないtree-in-bud nodules(OR,8.82,P<0.001),非空洞性の結節(≧10mm)の数が少ない(OR,0.72,P=0.003),右上葉の気管支拡張(OR,5.3,P=0.002)はNTMと有意な関連を示す補助的な所見であった.
結論
NTMの空洞は結核の空洞に比べて壁が薄く、均一である。
空洞が隣接する胸膜肥厚を伴う場合,輪郭のはっきりしないtree-in-bud nodules,または10 mm以上の非空洞性の結節の数が少ない場合,これらのCT所見は結核ではなくNTM疾患を強く示唆する.
空洞の壁は比較的薄く、均一⇒NTM
⇒壁が不均一で周囲に 不明瞭なTree in bud⇒結核
⇒嚢胞に隣接する胸膜の肥厚を認める。
⇒空洞の壁肥厚がありさらに不均一に肥厚 右下葉の輪郭が不明瞭なTree in bud さらに左下葉の非空空洞性の大結節⇒結核
ということで
◯注意点
ただ、CT所見は過信しすぎないことが重要。NTMにしか見えなくても結核ということはありえる。
万が一、結核だったときのことを考えれば、特に入院症例では3連痰はまず行うということが重要。
とはいえ、結核らしいかNTMらしいかを画像からある程度、予測することも臨床的には重要と思われる。