非結核性抗酸菌症は髄膜炎をきたしうるのか?
基本的にはHIVに続発する事が多い。
Mycobacterium avium が最も一般的に分離される種である
M. avium 髄膜炎は播種性疾患として現れ、通常は重篤な基礎疾患 (主に免疫抑制) に関連しており、死亡率は 70% に近づく。
Mycobacterium fortuitum 髄膜炎は、以前の脳神経外科手術または背中の外傷に関連している。
Mycobacterium kansasii 髄膜炎の臨床的特徴は M. tuberculosis 髄膜炎の臨床的特徴に似ているが、M. kansasii 髄膜炎に関連する死亡率は適切な抗生物質治療にもかかわらず高いまま。
ただし、健康な免疫不全のない成人に起きることも。
30歳の健康な韓国人が頭痛で来院
⇒水頭症がありドレナージをしたが、症状進行。
脱力でERを受診
髄液検査は細胞数8程度が蛋白上昇、血糖値上昇があり髄膜炎を示唆
MRIでは、軟膜および髄膜の強い増強を認めた。
脳生検も行ったが、結果的にはNTMの髄膜炎であった 菌株は不明。
肺のNTMの所見はなし。
患者は、イソニアジド、エタンブトール、リファンピン、アミカシン、イミペネム、およびクラリスロマイシンによる治療を受けたが死亡した
5960 人の NTM 感染患者のうち 15 人だけが NTM-CNS 感染症 (0.25%) を持っていたとのことで、非常に稀。
NTM髄膜炎のレビュー
M. avium髄膜炎は播種性疾患として現れ,通常,重篤な基礎疾患(主に免疫抑制)に関連し,70%に近い死亡率を伴う.Mycobacterium fortuitum髄膜炎は、脳外科手術や背部外傷の既往に関連しており、併発した膿瘍を排出することで予後が改善される。Mycobacterium kansasii髄膜炎の臨床的特徴はM. tuberculosis髄膜炎と類似しているが,M. kansasii髄膜炎に関する死亡率は適切な抗生物質治療にもかかわらず高い
髄液細胞数は基本的には上昇するが、今回の症例のように正常から軽度上昇にとどまることも報告されている。
感想
NTMも髄膜炎はきたしうるが非常に稀。
抗酸菌培養で捕まればよいが、陰性ならば診断は難しい。
脳生検もハードルは高いだろう。
ただ、HIVや免疫抑制者では、考える必要あり。
また免疫不全がなくても進行性の水頭症や原因不明の亜急性髄膜炎では鑑別に入れる。