急性前立腺炎と前立腺膿瘍について
Bacterial Acute Prostatitis - StatPearls - NCBI Bookshelf
急性前立腺炎の治療期間は糖尿病などの免疫不全や尿路閉塞などの合併症がなければ、2週間でも許容されるが、前立腺膿瘍のリスクがある場合は、膿瘍形成を防ぐために最低4週の治療が必要となる。
前立腺炎を繰り返している病歴があれば慢性前立腺炎として6-12週の治療が必要となりえる。
CTなどの画像検査は全例で必須ではないが、免疫不全の患者、菌血症またはseptic emboliの徴候がある場合は、前立腺膿瘍を評価するために、造影CT または泌尿器科による軽直腸的エコーでの前立腺の画像検査を考慮する。
適切な治療にもかかわらず臨床的に悪化している患者でも画像検査を考慮する。
MRIの拡散強調画像も前立腺膿瘍の検出に有用だが、前立腺癌との鑑別は画像のみでは難しいかもしれない。
Case series: Diffusion weighted MRI appearance in prostatic abscess - PMC
急性前立腺炎のコホートでは142人のうち31人に前立腺膿瘍を認め、症状が遷延する場合、排尿障害の徴候がある場合は、前立腺膿瘍を考える必要がある。
有意差はないが糖尿病も前立腺膿瘍のリスクになりそう。
Acute bacterial prostatitis and abscess formation | BMC Urology | Full Text
前立腺膿瘍担った場合は保存的治療のみでは難しいことも多い。
前立腺膿瘍が2cmを超えるかがポイント
前立腺膿瘍の大きさが2cm未満ならまずは保存的治療が優先
2cmを超える膿瘍なら臨床的に安定なら穿刺をするが、臨床的に不安定なら手術
多房性の膿瘍であれば50歳以上なら手術、50歳未満なら穿刺を試してみみる。
穿刺で改善が乏しければ手術。
治療期間や抗菌薬は慢性前立腺炎に準じてST合剤もしくはキノロンを6-12週となる。
一般的な膿瘍の治療目安に準じて血沈およびCRPの陰性化および画像的な膿瘍の消失まで治療を行うことが多い。
なお、糖尿病、尿路の閉塞、長期尿道カテーテル挿入などの前立腺膿瘍のリスクがないにも関わらず、前立腺膿瘍を認めPSAが著増している場合は、前立腺癌の可能性を念頭に、生検を考慮する必要がある。
Advanced prostate cancer presenting as a huge abscess - ScienceDirect