コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

レミエール症候群 レビュー

Lemierre’s syndrome

 

・レミエール症候群は、直近の口咽頭感染後に、主に嫌気性生物によって引き起こされる内頸静脈の血栓性静脈炎および菌血症を特徴とする状態である。

・抗菌薬使用に伴い減ってきているとされてるが、報告の頻度が増加傾向である。

咽頭炎の症状が長期間続く若い健康な患者で、敗血症、は肺炎、または非特異的な側頸部痛があれば疑う。

・診断は、しばしば、内頸静脈の血栓性静脈炎の同定および血液培養上の嫌気性細菌の増殖によって確認される。

・治療には抗凝固療法と組み合わせた長期の抗生物質療法が必要である。

・起因菌はフソバクテリウムが最多。

・1/3はpolymicrobial。

扁桃扁桃周囲から波及することが多い

・他には、肺、中耳、歯、副鼻腔なども原因になる。

原発巣から、直接 lateral pharyngeal space に波及し、頸静脈の血栓性静脈炎に至る。
血栓性静脈炎から、septic emboliが肺に飛ぶことが多い。

・他には、肝臓、心嚢、脳、皮膚に飛ぶこともある。

 

〇症状の一覧

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咽頭痛が症状としては、多いが5日ほど先行することが多い。

・レミエールの頸部痛は、片側性で、一側方向に向くと増悪する。

・肺に飛ぶことが多いので、胸痛や肺合併症は多い。

・頸部腫瘤は診断の助けになることもあるが、頸部リンパ節腫脹と見誤られることもある。

・頸部の所見は48%では全く認めないこともある。

・胸部Xpの異常はレミエールを疑うきっかけになる。

・肺炎や右心臓系のIEとして治療されることも多い。

・化膿性関節炎もおこりうる。

・頸部造影CTは診断に有用

・血液培養で嫌気性菌が検出されることも有用である。

・レミエール症候群の診断には、臨床的判断が最終的には重要である。

咽頭痛が先行し改善に乏しく、その後呼吸器症状が出現するという経過が重要である。

咽頭炎に続き、敗血症や多発肺膿瘍をきたす。

 

 

〇CT画像

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・死亡率は0-18%

・抗菌薬は以下の通り。

 

〇レミエール症候群の抗菌薬

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・抗凝固を全例に行うストラテジーは少数。

・cerebral sinusesに達したり、抗菌薬のみで改善しない場合に抗凝固薬を併用。

扁桃周囲などの膿瘍を合併している場合はドレナージなどの処置を行う

血栓性静脈炎が抗菌薬のみでコントロールできない場合は、経静脈の切除術なども考慮される。