コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

カテーテル関連血栓症について

カテーテル関連血栓症について

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28979481-catheter-related-thrombosis-a-practical-approach/

 

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カテーテル関連感染症のリスク

患者要因:過凝固状態(悪性腫瘍、敗血症、腎不全、DVT既往、全身状態不良、特定の薬剤)

カテーテルのタイプ:PICC、径が大きい

手技:何回も繰り返す、鼠径、左側などがリスク

⇒確かにPICCは血栓多いですよね。。特に径が大きいPICCはリスクが高いと。

 

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血栓を引き起こす病態。 内皮障害、凝固異常、うっ滞の3つが関与

 

カテーテル関連血栓症のプレゼンテーション

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無症状、片側の腫脹、患側肢の痛み、肩や顎の痛み、頭痛、静脈怒張、炎症、発赤、静脈注射が困難になる、CTでたまたま見つかる、など多彩

 

カテーテル血栓からカテーテル関連血栓症に移行することもある。

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15%で肺塞栓を認める。

感染や血栓後症候群など

 

診断にはドップラーエコーが有効

確定診断は造影CT

D-dimerは疑わしい状況で、否定に用いるべきではない。

 

カテーテルの抜去

カテーテルは基本抜去すべきだがどうしても必要なら以下の条件を満たす場合はそのまま留置でも可能

・感染してない

・症状がコントロールされている

・位置が良好

 

〇抗凝固療法

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最初は低分子ヘパリンを3-5日使用する。

基本はDVTに準じて3か月の抗凝固療法。

少なくともカテーテルを留置する場合は、基本的に3か月の抗凝固療法が必要で、カテーテルを抜去するまでは低分子ヘパリン。

カテーテルを抜去する場合は、血栓が小さくて閉塞しておらず血栓リスクも低い場合は6週間の抗凝固療法も許容される。

悪性腫瘍がある場合は、維持療法としても低分子ヘパリンが推奨。

ただし、これらの推奨も大規模のRCTがあるわけではなく、あくまでDVTなどの治療からの類推というところも大きい

 

⇒日本だと低分子ヘパリン使いにくいのでDOACも選択肢に入るのでしょうか。。ただエビデンスは乏しい。。

 

なお血小板数が低い場合は低分子ヘパリンの量を減量し、必要に応じて抗凝固療法を行わないことも検討。

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なお予防的な抗凝固療法の有用性は証明されていない。

血栓リスクの見積もりとリスク軽減を行うべし。

⇒不要なカテーテルは早期に抜去することを心掛ける。