コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

症例カンファ 2018年3月8日

OAの膝痛で寝たきりになった高齢女性の急性発症の片側性下腿浮腫。

診断は?

 

急性片側性下腿浮腫ではまずDVTと蜂窩織炎を考える。

蜂窩織炎では、発赤・熱感が前面に出ることが特徴。

本症例では、発赤・熱感が目立たず背景からもDVTを考える。

 

→まずはエコーとDdimerを含んだ採血を。

 

DVTに対するWells criteria(0点以下:低リスク、1~2:中等度リスク、3点以上:高リスク)

  • 治療の終了していない癌 +1
  • 麻痺あるいは最近のギプス装着 +1
  • ベッド安静4日以上または手術後4週未満 +1
  • 深部静脈触診で疼痛 +1
  • 下肢全体の腫脹 +1
  • 下腿直径の左右差が3cmより大きい +1
  • 患肢のpitting edema +1
  • 患肢の表面静脈拡張 +1
  • DVT以外のより確からしい鑑別診断がある -2

0点以下でD-dimerが陰性ならば下肢静脈血栓症は否定的 

→今回は3点以上で高リスク。

 

D-dimer20以上と高値。

エコーでは、ヒラメ筋に血栓あるが大腿は浮腫が強すぎてエコーで見えず。

 

次にやる検査は??

バイタルは安定し呼吸状態も良い。。

 

造影CTを行う場合は肺塞栓+下肢静脈のセットで取る。

近位のDVTを疑う場合は肺塞栓もルーチンで検索を。

下大静脈から大腿静脈、膝窩静脈と追うことが大切。

エコーもそれを意識しながら行う。

→やはり近位のDVTと診断。 治療は??

 

Up to Dateによるとヘパリン or DOAC 最近はDOACも選択肢に挙がる。

下大静脈フィルターは抗凝固が出来るなら絶対適応ではない。肺塞栓の確率は減らすが、DVTのリスクが上がる。死亡率も減らさない。

高齢で自己抜針もしたため、今回はDOACで様子を見ることに。