コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

誤嚥のリスクが上がるほど肺炎による死亡率は上昇する

Impact of the number of aspiration risk factors on mortality and recurrence in community-onset pneumonia - PMC

 

はじめに
肺炎患者における誤嚥危険因子の数の臨床的意義はいまだ不明である。本研究では、肺炎患者の死亡率および再発率に対する誤嚥性危険因子の数の意義を明らかにする。

研究方法
本研究は、2014年12月から2016年6月までに肺炎で入院した患者322名を対象とした。誤嚥危険因子の存在数(見当識障害、寝たきり、慢性脳血管疾患、認知症睡眠薬、胃食道疾患)と30日・6ヶ月死亡率、30日以内の肺炎再発との関連性を検討した。

結果
患者を危険因子の数により、0-1、2、3、4以上のグループに分類した。総患者数322名のうち,危険因子0-1が93名(28.9%)、2が112名(34.8%)、3が88名(27.3%)、4以上が29名(9.0%)であった。肺炎の再発率は,危険因子0-1,2,3,4以上で,それぞれ13.0,33.0,43.2,54.2%であった。30日死亡率は0-1,2,3,4以上の危険因子群でそれぞれ2.2,5.4,11.4,24.1%,6カ月死亡率は6.6,24.5,30.7,50.0%であった。

結論
誤嚥危険因子の数は,肺炎患者の死亡率および再発率の上昇と関連していた。したがって,臨床においては,誤嚥リスクの有無だけでなく,これらの患者における誤嚥リスク因子の数を考慮する必要がある.

 

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●感想

誤嚥のリスクが上昇すればするほど高齢者の肺炎の死亡率は上昇するというのは臨床的な実感にも合っている。

誤嚥のリスクが多ければ多いほど予後が悪いと言えるかもしれない。

誤嚥性肺炎診療において、重要な論文と思われる。