総合診療の専門性
今日は総合診療を志望する学生さんが来てくれました。
たまたま午後の初診外来の手伝いを少しして、採血結果説明に同席してもらいました。正直、ただの風邪的なノリだったのですが、家族の登場で心理社会的問題が次々と浮き彫りになり結果説明前と全く違う様相になりました。
その流れで総合診療の専門性がBPSを同時に同じ比重で診れることであるということが逆にうまく伝わりました。
とても、不思議な経験。。
これって優しさとかそういうことじゃなくてスキルで研修が必要なんだよとうまく伝えられた気がします。
どこかのブログで一般内科は「ヒジキ」のようなもので、専門内科が診たくない疾患を押し付けられる悲しさについて触れられていました。
小学校の遠足で子供はみんなハンバーグとかエビフライとかを食べたい。
ヒジキもハンバーグも美味しくなんでも食べれる子はがヒジキを食べたいと言った瞬間、他の子どもからヒジキを押し付けられ、弁当はヒジキまみれになり、ひじき君というあだ名がついてしまう。。
でもヒジキを美味しく食べれる術があって、それがBPSであり総合診療の専門性だと思います。
そもそも内科頭ではヒジキかもしれないのですが、BPSの目線でとらえれば、その多様性の豊かさを認識できるということでしょうか。。
あとお決まりの総合診療するなら専門(消化器など)持ったほうがよいのではという疑問がありました。
でも、不思議ですよね。
であれば、消化器内科になるためには最初に総合診療やってから消化器内科に行ったほうが良いという話になるはず。
でもそうはならず、消化器内科になるためには最初から消化器内科に進んでいる。
であれば、総合診療は総合診療ならではの専門性やスキルがあるので、総合診療を目指すなら最初から総合診療をやればよい。
という単純な話ですよね。
それが理解できないのは総合診療なんて専門医に劣る存在で、専門医をやっていれば、誰でも自然に出来ると思っているからですよね。
でも、そんな甘いもんじゃない。
内科頭だと、緊急性はなさそうだから痛み止めだけだして、帰宅となるはずの症例でした。
ところが。。
致死的な病態を病歴や診察から除外しつつ、心理社会的問題を深掘りし、さらに現在の病状に心理社会的問題が奥深く根差していることを突き止め、さらに心理社会的問題を解決するために最も効果的な介入点を見出し提案し、薬剤も一石二鳥を狙った診療科横断的な処方を用いて、かといって受診理由と異なる併存症への配慮も忘れない。
という展開になるわけです。
こういうのって片手間に適当にやっても身に付かないし、ただ優しいだけでどうにかなるものでもない専門性なんですよね。
ということを説明したら、かなり理解してもらえました。
実際の現場を運よく見せてあげれたのがよかったのでしょうね。
そのようなジェネラリズムが専門性なので、全ての疾患をみようとする必要はなく、必要に応じて専門医へつなぐことも自分の専門性と割り切れることも出来ます。
でも、このような専門性って説明が難しいのですよね。。
まあ、気長にやっていくしかないか。。
そのような総合診療の専門性をさらに詳しく知りたい方は以下の本をどうぞ。
https://jyoutoubyouinsougounaika.hatenablog.com/entry/2020/05/25/193519