摂食・嚥下障害の意思決定支援 南山堂
大浦誠先生から献本をいただきました。
よってCOIがあります。
以下、目次ごとに感想を
〇目次
■摂食・嚥下障害患者の意思決定支援で知っておいてほしいこと
摂食・嚥下障害の終末期なのかどこまで検査をすればよいのか(荒幡昌久)
認知症であれば意思決定はできないのか(盛永審一郎)
人工的水分・栄養補給法のメリット・デメリットをどのように伝えるか(林 誠也,他) 胃ろうにするか中心静脈栄養にするか ─人工栄養が選択されたときに─(矢吹 拓)
人工的水分・栄養補給法を選択しないことの難しさ(古屋 聡)
荒幡先生の包括的介入の論文は勉強になりました。私も終末期というにはやるべき介入やアセスメントを全て行うことが前提だと常々思っており、我が意を得たりでした。
さらにご自身の研究についても紹介されていて勉強になりました。
認知症患者の意思は過去だけでなく現在も尊重されるべきというのはその通りです。
AHNに関してもメリット、デメリットがきれいに整理されており勉強になりました。
前の病院ではほぼ同じ内容を自分でまとめて、患者さんに渡していたことを思い出しました。
■摂食・嚥下の意思決定モデルにもいろいろある
Shared Decision Making(共同意思決定)を中動態の視点で考える(官澤洋平)
摂食・嚥下障害におけるアドバンス・ケア・プランニング(ACP)に内包される課題(由井和也)
コミュニケーションを重視したDNAR 指示(POLST)は,医療における重要なACP である(箕岡真子)
ACPをどうやってプランニングしていくか ─看護師の専門性を活かした患者の思いを上手に聴けるような工夫─(野原良子)
信念対立による倫理的ジレンマを解決するためにできることは何か(京極 真)
中動態も知らない概念なので勉強になりました。
ACPについても改めて勉強になりました。
個人的には看護の専門性とACPの繋がりというところにとても惹かれました。
看護は生活を支える専門職であるというのは非常に腑に落ちるように思いました。
個人的には看護理論というのはもっと可能性があるのではと常々考えています。
信念対立アプローチも勉強になりました。
■さまざまな場での摂食・嚥下の意思決定支援の具体例
在宅療養支援診療所(ものがたり診療所を例に)(田邉 望)
中小規模病院(南砺市民病院の臨床倫理コンサルテーションを例に)(大浦 誠)
地域包括ケア病棟とExtensivistの活用(大浦 誠)
摂食・嚥下障害の意思決定支援 救急医療の現場から(遠井敬大)
“老衰”と診断すること(徳田嘉仁)
ここでは実際の例について勉強させていただきました。
意思決定支援は物語のようだと感じました。ものがたり診療所の例はまさにそうで、小説を読んでいるような気分になりました。
医学書で感動することは、あまりないのではと思いました。
■まとめ 摂食・嚥下障害の意思決定支援に王道なし(大浦 誠)
そして、大浦先生のまとめ。
内容に関してはここでは触れませんが、大浦先生の過去の症例がこの特集に繋がったとのことです。
実は私もそのような時間を巻き戻したい誤嚥性肺炎の症例を持ったことがあります。
あの時、どうすればよかったのか。。
あの時、この特集を読んでいれば。。
ひとまず、いま一緒に働いている総合診療科の後輩にこの特集を読むように勧めました。
彼らも勉強になっているようです。
ということで、摂食嚥下障害に関わる全ての医療職に強くお勧めします。
購入は以下の南山堂のページから出来るようです。