コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

クリニカルパスを用いた摂食嚥下障害認知症高齢者への介入試験

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南砺市民病院のグループの研究です。

改めて読んでみました。

摂食嚥下障害に特化した多職種CGAの効果を検証した論文です

 

〇デザイン

ヒストリカルコントロール試験

南砺市民病院に入院した患者を対象

コントロールは過去に南砺市民病院に入院した患者を対象

 

〇患者

1)70歳以上の入院した認知症患者
2)認知機能障害
(Mini-Mental State Examination [MMSE] <24、または長谷川)
認知症評価尺度(Dementia Rating Scale - Revised [HDS-R] <21)
3) 過去7日間で、インターベンションまたは外科的治療を受けていない

4)経口摂取量は日あたり500kカロリー以下であった期間が7日以上
5) 7日以上人工的水分・栄養補給法(AHN)に依存


除外基準

1)経管栄養に依存することがすでに決定している。
2)気管切開術などの既往、咽喉頭の手術の既往

3)終末期ケアを受けている患者

 

〇介入

多職種の摂食嚥下障害のチームを作成(EAST) 

医師、歯科、歯科衛生士、看護師、リハビリセラピスト(ST,PT,OT)、栄養士、ソーシャルワーカーから構成

 

EASTはクリニカルパスを使用 クリニカルパスの概要は以下の図を参照

 

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原因検索を行いつつ、多職種でCGAを行い介入する

 

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ベースライン

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ベースラインはほぼ、同等だがバーサルインデックスは介入郡で高い(良い傾向がある)

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〇結果

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AHNを行わずに、経口摂取できる割合は介入郡で多い傾向

 

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AHNからの離脱に関する多変量解析

CGAは明らかにAHN離脱と関連

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AHNから離脱している期間も介入郡で長い傾向

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〇感想

単施設のヒストリカルコントロール試験という限界はあるが、多職種による介入が経口摂取率を改善させるというデータとして非常に重要な試験。

今後の、多施設の前向き研究に繋がるかもしれない。