コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

消化管出血に対するトランサミンの効果

 
 
P バイタルが不安定で致死的になりうる消化管出血(上部下部含む)
I トランサミンの24時間投与
C 生理食塩水
O 出血による死亡
 
ITT解析で
プロトコール通りに治療しなかった郡もいるが基本的には脱落も少ない
Blindもされている 解析者もblind
 
 
中央割付 ベースラインも両郡で同等
4-5割が食道静脈瘤の破裂
発症から8時間以内が5-6割
 
サンプルサイズもプライマリーアウトカムから計算し数も足りている
 
 
〇結果
トランサミンは出血による死亡を改善させない
再出血は少ない傾向だが有意差なし
 
 
サブグループ解析でも明らかな差は認めない
 
副作用として静脈血栓や痙攣は多い。。
 
 
 
〇感想
食道静脈瘤の破裂症例が多い。
かなり重症例。。
非常に重症な上部消化管出血が多く、緊急で内視鏡治療をすべき状態であり、トランサミンの効果が出にくいのかもしれない。。
また発症から時間が経過している症例も多く、トランサミンが効きにくいのかもしれない。
今回のスタディのような重症の消化管出血はトランサミンの効果は限定的で、インターベンションを急ぐということかもしれない。。
インターベンションをするか迷うようなレベルなら、トランサミンの効果は期待できるかもしれないが、サブグループ解析でもrock all scoreが低いほうが症例が増えれば有意差はつくかもしれない??
ただ、そのような軽症例はそもそも絶食+PPIなどで止血可能かもしれない。
いずれにせよ、トランサミンを積極的に消化管出血では使用しなくてもよいとは言えるかも。
むしろ、インターベンションが必要な症例を確実に素早く拾い上げることが重要かもしれない。。