コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

吃逆のマネージメント

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

 

吃逆のマネージメントのレビューを読んでみました。

アプローチの概要は以下の通り。

基本的には、原因を考えることが大切。

現疾患の治療が優先される。

感染症があれば感染症を治療。

頭蓋内の悪性腫瘍があればそれを治療。

薬剤の副作用であれば、薬剤を中止。など

しかし、原因不明の特発性であれば下記のようにマネージメントする

 

まずは非薬物療法を試す。

 

〇声門を刺激
・息を止める
・何度も水を飲む
・水を逆さにして飲む
・山盛りのピーナッツバターを食べる ・レモンを噛む
・コショウを吸い込む。

 

〇CO2を増加

・息止め

・ペーパーバック

 

〇番外編

・直腸マッサージ(当たり前だけど好中球減少してたら禁忌)

 

 

〇吃逆の段階的マネージメント

1.非薬理学的対策、特に過去に有用であった対策を使用する
 2.シメチコン、ドンペリドン、またはメトクロプラミド、またはプロトンポンプ阻害薬の使用を試みる
3 腎機能が正常ならバクロフェンを処方する
4.ガバペンチンを加える
  5.しゃっくりが続く場合はクロルプロマジンまたはハロペリドールを試す(または腎機能が低下している場合は手順3を試す)
6ニフェジピン、バルプロ酸デキサメタゾン、またはセルトラリンを検討する
7.ミダゾラムを加える

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https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/298992

CHLORPROMAZINE (THORAZINE) IN THE TREATMENT OF INTRACTABLE HICCUPS

 なお、クロルプロマジンは1955年にすでにJAMAで有用性が報告されている。

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50人に使用して、失敗したのは4人だけだったと。 

 

とはいえ、低血圧、 尿閉緑内障、およびせん妄などの副作用があるためファーストラ

インでは使うべきではない。

 

 

〇ガバペンも吃逆に有用。

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

入院患者37人中31人(83.8%)および在宅患者6人中4人(66.7%)に、しゃっくりの完全寛解を認めたという報告。

 

 

〇バクロフェン

バクロフェンはケースシリーズで有用性が示されている。

せん妄、失調などを認めることがあるので注意。

腎機能障害があると、特にせん妄のリスクが高くなるので注意。

 

 

〇PPI

特に逆流性食道炎がある例で有用

 

 

〇多剤併用について

バクロフェン+ガバペン+PPIなどの多剤併用も行われ、時に有用かもしれない。

ただし、薬剤副作用も多くなるので注意。

 

 

ちなみに、日本なら漢方薬も考えるところですよね。。

〇柿蔕湯

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/69/2/69_161/_article/-char/ja/

http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphcs2001/27/1/27_1_29/_article/-char/ja/

 

〇半夏厚朴湯(脳出血後)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/67/2/67_150/_article/-char/ja/

 

芍薬甘草湯

CiNii 論文 -  吃逆に対して芍薬甘草湯が著効した症例

 

クロルプロマジンとかバクロフェンとか使う前に試してみたい気はします。