コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

カテーテル関連血栓症について

カテーテル関連血栓症について

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28979481-catheter-related-thrombosis-a-practical-approach/

 

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191126185536p:plain

カテーテル関連感染症のリスク

患者要因:過凝固状態(悪性腫瘍、敗血症、腎不全、DVT既往、全身状態不良、特定の薬剤)

カテーテルのタイプ:PICC、径が大きい

手技:何回も繰り返す、鼠径、左側などがリスク

⇒確かにPICCは血栓多いですよね。。特に径が大きいPICCはリスクが高いと。

 

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191126185934p:plain

血栓を引き起こす病態。 内皮障害、凝固異常、うっ滞の3つが関与

 

カテーテル関連血栓症のプレゼンテーション

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191126190222p:plain

無症状、片側の腫脹、患側肢の痛み、肩や顎の痛み、頭痛、静脈怒張、炎症、発赤、静脈注射が困難になる、CTでたまたま見つかる、など多彩

 

カテーテル血栓からカテーテル関連血栓症に移行することもある。

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191126190804p:plain

 

15%で肺塞栓を認める。

感染や血栓後症候群など

 

診断にはドップラーエコーが有効

確定診断は造影CT

D-dimerは疑わしい状況で、否定に用いるべきではない。

 

カテーテルの抜去

カテーテルは基本抜去すべきだがどうしても必要なら以下の条件を満たす場合はそのまま留置でも可能

・感染してない

・症状がコントロールされている

・位置が良好

 

〇抗凝固療法

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191126191651p:plain

最初は低分子ヘパリンを3-5日使用する。

基本はDVTに準じて3か月の抗凝固療法。

少なくともカテーテルを留置する場合は、基本的に3か月の抗凝固療法が必要で、カテーテルを抜去するまでは低分子ヘパリン。

カテーテルを抜去する場合は、血栓が小さくて閉塞しておらず血栓リスクも低い場合は6週間の抗凝固療法も許容される。

悪性腫瘍がある場合は、維持療法としても低分子ヘパリンが推奨。

ただし、これらの推奨も大規模のRCTがあるわけではなく、あくまでDVTなどの治療からの類推というところも大きい

 

⇒日本だと低分子ヘパリン使いにくいのでDOACも選択肢に入るのでしょうか。。ただエビデンスは乏しい。。

 

なお血小板数が低い場合は低分子ヘパリンの量を減量し、必要に応じて抗凝固療法を行わないことも検討。

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191126191826p:plain

 

なお予防的な抗凝固療法の有用性は証明されていない。

血栓リスクの見積もりとリスク軽減を行うべし。

⇒不要なカテーテルは早期に抜去することを心掛ける。

侵襲性アスペルギルス感染症の治療

侵襲性スペルギルス症はどのように治療するか?

 

まず深在性真菌症ガイドラインから

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191114212821p:plain

基本的に侵襲性アスペルギルス症ではボリコナゾールが第1選択となります。

ただ、接合菌症にはボリコナゾールが無効ですので、否定できない場合は、アムホテリシンBを考慮するというフローチャートです。

 

侵襲性アスペルギルス症において、ボリコナゾールは効果はアムホテリシンと同等で副作用が少ないと言われています。

 

その根拠となったランドマーク的試験が以下。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa020191

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191114213258p:plain

 

P 侵襲性アスペルギルス症

I ボリコナゾール(two doses of 6 mg per kilogram of body weight on day 1, then 4 mg per kilogram twice daily for at least seven days followed by 200 mg orally twice daily )

C アムホテリシンB( 1 to 1.5 mg per kilogram per day)

O 治療成功

 

多施設のRCT 

ブラインドはしてないが、解析者は割付を知らない

サンプル数も足りている。

ベースラインは両郡で同等

 

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191114214200p:plain

 

肺が感染巣としては8割以上

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191114214257p:plain

 

〇結果

治療成功率はボリコナゾールで良い傾向

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191114214413p:plain

 

 

サブグループ解析でもボリコナゾールが良い傾向

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191114214519p:plain

 

生存率もボリコナゾールで良い傾向

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191114214604p:plain

 

副作用、特に腎障害もボリコナゾールで少ない

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191114214719p:plain

 

上記の結果より侵襲性アスペルギルス感染症の第1選択薬としてのボリコナゾールの地位が確立された。

 

ところで、Up to Dateに下記の記載あり。

For patients with severe or progressive disease, we suggest adding an echinocandin to voriconazole or isavuconazole for the first one to two weeks of therapy

 

重症や進行性の場合はボリコナゾールにエキノキャンディを追加すると。

 

 

 

その根拠となった論文が以下

https://annals.org/aim/fullarticle/2091322/combination-antifungal-therapy-invasive-aspergillosis-randomized-trial

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191114215249p:plain

 

P 侵襲性アスペルギルス症(16歳以上で血液疾患がベースにある)

除外:妊婦、致死的病態、血液疾患のコントロールが不良、重篤な肝障害、人工呼吸管理など

I ボリコナゾール+anidulafungin

C ボリコナゾール+プラセボ

O 6週の地点の死亡率

 

多施設、多国籍のdouble-blindの大規模RCT

ベースラインは同等

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191114215740p:plain

 

ITT解析を行っているというが、実際はpossibleの症例を除外したmodified ITTで行っている。

modified ITT(m-ITT)では合計250人でpower 70%の計算で、一応数は足りているが、ややpower不足も否めない。

そもそも、最初からinclusionの地点でpossibleを除外しても良いのでは?

なお、m-ITTで解析されたprobableの定義は以下 培養が陽性 or BALで抗体が陽性 or 2つの血清サンプルで抗体が陽性

As per these definitions, microbiological criteria for a diagnosis of probable IA were
satisfied by recovery of Aspergillus by culture or by 2serum samples or a single bronchoalveolar lavage(BAL) sample positive for galactomannan, using the
U.S. Food and Drug Administration–approved indexcutoff of 0.5.

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191114215643p:plain

 

〇結果

possibleも含むITT解析郡では6か月の地点での死亡率に差がつかなかった。

mortality at 6 weeks did not differ between the combination therapy (20.6% [47 of 228]) and monotherapy (23.5% [53 of 226]) groups

 

m-ITT解析郡においては、死亡率が12か月の地点でコンビネーション郡で少ない傾向はあるが統計学的に有意ではない

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191114220245p:plain

 

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191114220546p:plain

 

ラクトマンナン抗原陽性のサブグループでの解析

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191114220839p:plain

 

重篤な副作用は両郡でかわりないが、肝障害は併用郡で多い

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191114220908p:plain

〇 感想

当初のprimary outcomeではない指標を前面に持ってきているので、少し無理やり結果を出した感があるかもしれない。

modified ITTも恣意的な印象がある。

ただ、patientの選定をprobalbeに限定し、もう少しサンプル数があれば、統計学的有意差が出た可能性がある。

なお、anidulafunginは日本にはないので、厳密な意味では日本では適応が出来ない。

ただ、小規模ながらボリコナゾール+カスポファンギンの併用療法で生存率が改善したという論文もあるので、日本ならカスポファンギンが代替薬か?

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=15472810

  

基本的には併用療法はルーチンで行うものではないだろう。

ただし、侵襲性アスペルギルスの可能性が高く、ボリコナゾールに対して反応が乏しい症例に限って併用すれば効果があるかもしれない。

ただし、肝障害のリスクもあり、有効性に関しても明確ではないので併用療法の適応は慎重に考えるべきと言えるだろう。

 

 

 

 

日本版ホスピタリストについて思うこと

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191102205357j:plain

 

日本版ホスピタリストのJANAMEFの対談が公開された。

https://www.medi-gate.jp/selection/column182/

僕はJANAMEFの助成でクイーンズメディカルセンターに1週間、見学に行った。

 

その際に感じた病棟専属のホスピタリストの有用性についての感想は、以下の通りだ。

 

 

 

・・・・・

内科病棟診療の大部分をホスピタリストが担うことで専門医は専門医にしか出来ない業務に集中可能で、win-winの関係になることが期待できる

 

ホスピタリストが日本に必要な理由は以下の3つ。

高齢者は多併存疾患や、心理社会的複雑性を抱えている可能性が高く専門医の先生方にとって病棟診療の負担になっており、ホスピタリストシステムのほうが効率的に診療可能で在院日数の短縮につながる可能性が高い。

 

地域包括ケアシステムの推進のためには垂直統合つまり、大規模急性期病院と小規模病院、地域の病院と訪問診療医などといった異なる次元の医療機関同士の連携が不可欠。そのためには退院前カンファレンスの実施なども重要になってくるため、病棟に常駐し心理社会的ケアにも長けたホスピタリストの存在は非常に心強いと感じる

 

3つ目は働き方改革。医師の残業時間は今後ますます短くなる傾向にあるため従来のように外来、救急、病棟を全てこなすということは難しくなってきていると感じる。ホスピタリストシステムを導入すれば病棟に専念できるため、残業時間も短くなる可能性が高い。

 

 

ホスピタリストシステムを導入する上での障壁は以下の通り。

 

日本伝統の専門医の先生方が病棟業務を行うという文化。

そのためには、専門医の先生方が少数しかおらずホスピタリストシステムのニーズが特に高い地方の病院や、都会であっても比較的小規模で地域に根差した病院などで成功例を積み重ねて浸透する必要がある。

2つ目の障壁は従来の主治医性が変更されることへの反発。こちらに関しては平日の主治医は固定し、夜間土日は完全にオフにし、必要に応じて他のホスピタリストがカバーするという緩やかな「交代制」、「チーム制」から始めることが解決策になると考える。

・・・・・・

 

 

 

 

 

上記のように考えていた。

その直後に、地元の地方の中規模病院で病院総合医≒ホスピタリストとして勤務を開始することになった。

その後、少し自分の考えが変わったように思う。

 

最も、重要な点は病棟に拘り過ぎなくても良いのではということだ。

というのも、患者さん中心ということは当然大切なのだが、その文脈で言えば患者さんは専門医に病棟主治医をしてもらいたいという文化が日本では根強い。

さらに、専門医の先生にとって実は最も避けたい仕事は、日本では初診外来と救急、そして高齢者病棟であるということだ。

逆に専門領域の病棟診療を診たくないという方は少数で、それが自分のかかりつけの患者さんなら、なおさら自分で診たいと思うのが心情だろう。

米国では外来はプライマリケア医と家庭医が担い、救急はER医が担っている状況とは違うように思う。

米国ではプライマリケア医が外来もしながら片手間に病棟を診ることが負担になっていたが、日本ではむしろ専門医が片手間に救急や初診外来、高齢者病棟を診ることが負担になっているように思う。

例えば、消化器内科医が専門外来や内視鏡を診ながら、初診外来、内科救急さらには誤嚥性肺炎や尿路感染の病棟診療をしているというのが日本の現状だと思う。

このような状況は専門医にとっても患者にとっても良くないように思う。

ある程度専門医が揃っている、今の当院の状況では、病院総合医≒ホスピタリストが病棟だけに専従するというのは確かに現実的ではないように感じる。

それよりも、専門医の先生にとって負担になっている救急や初診外来、高齢者病棟診療をホスピタリストが肩代わりするというのが、理にかなっているように思う。

ただ、それもあくまで状況依存性であり、例えばもっと大きい病院でER医も多数いるような環境であれば、内科病棟診療をより重視した働き方がマッチする。

ただし、大規模病院では米国ホスピタリストのように全ての内科病棟を受け持つのはマンパワー的にも難しいので、麻生飯塚病院亀田総合病院、湘南鎌倉病院のように内科系緊急入院で、専門医が少ない領域や専門医でなくとも診れる疾患の病棟管理及び、外来業務を行うというのが現実的になると思う。

また、その一方で小規模病院であれば日本版ホスピタリストが内科系救急、初診外来、内科系病棟診療を一手に引き受けるというスタイルが現実的だし、求められるあり方になる。

小規模病院でもより回復期機能を持った病院では、日本版ホスピタリストが在宅医療も行うことも重要だろう。

結局、あまり病棟に拘り過ぎず、状況に応じてアメーバのように自分の特性を変えることが出来るというのが日本版ホスピタリストの特性なのだと思う。

そして、自分がこうしたいというよりも、地域や、患者、そして病院や専門医から求められている領域を、その都度アジャストしていく能力が重要になると思う。

米国のホスピタリストが行っている、質改善の取り組みやコミュニケーション能力、多職種連携能力などは是非学ぶべきだが、病棟専属という役割に関しては日本では柔軟に考えても良いかもしれないと感じる。

状況依存性という意味では日本版ホスピタリストに求められる能力は、新専門医制度の病院総合診療専門医を基盤に置くほうが、明らかに潰しは効くだろう。

 

とはいえ。。

 

別の思いとしては、日本の中~大規模病院でER医やICU医もそろっている環境でほぼ病棟専属のホスピタリストチームが出来れば、良質なパフォーマンスを発揮してくれるのではないか、という期待もある。

このようなスタイルを確立するには、病院上層部の理解が不可欠だが、実際に、水戸協同病院や東京ベイは、中規模病院ながら内科をベースにした病院総合医が病棟専従に近いスタイルで機能している。

その意味で、1階立ての総合診療だけでなく、1階立ての内科からも病院総合診療医≒日本版ホスピタリストを目指す道があったほうが良いと僕は思う。

内科からの道がないと病院総合診療医は決して増えないだろう。

実際にこのような中~大規模な急性期病院で病棟専属に近いスタイルに関しては、高度な内科的な知識や経験が要求されるため、内科ベースであるほうが有利だと考える。

また、病院、患者、地域に必要とされるのであれば、消化器や呼吸器などの内科の専門領域を持ちつつも、ホスピタリストとして働くというスタイルも日本であれば僕はアリだと思う。

さらに、外科など他科の先生が日本版ホスピタリストに転科するというキャリアパスももっと一般的になっても良いのではないか。

その意味で日本版ホスピタリストのベースは必ずしも総合診療や家庭医療に限定する必要はない。

ただし、効果的な地域包括ケアシステムの構築、さらには複雑性への対処能力向上のために、家庭医療の理論を日本版ホスピタリストが知ることは、必須である。

高齢者の誤嚥性肺炎や尿路感染を内科の視点でしか診れないと辛い。

高齢者の誤嚥性肺炎や尿路感染を反復して診ることに、遣り甲斐を見出すには、BPSモデルやPCCMなどの家庭医療の理論の理解が必須だと僕は考える。

 

いずれにせよ、ベースが何であれ、病院の環境や地域に応じて自分の働き方をアメーバのようにアジャストできる能力が日本版ホスピタリストには、必要だ。

 

まずは、そのような日本版ホスピタリストが働く場を徐々に増やしていくことがこれからの課題だろう。

 

 

 

 

 

髄膜炎マニュアル

細菌性髄膜炎のマニュアルを一部公開します。

 

 

・細菌性髄膜炎は抗菌薬投与が1秒遅れるたびに予後が悪化する超緊急疾患である。

・総合的な判断が要求されるため、単独の病歴や身体所見、検査所見で髄膜炎を否定してはいけない。

・細菌性髄膜炎では1時間以内に抗菌薬投与を行うべきであり、髄液検査や頭部CTで抗菌薬投与が遅れることは、あってはならない。

・少しぼーっとしている程度の軽度の意識障害を見逃してはいけない。必ず家族や知人に実際に診てもらい、いつもと違うかどうか確認してもらう。

意識障害、神経学的巣症状を認める場合は、細菌性髄膜炎の可能性が高い。

 

・尿路感染による敗血症は髄膜炎のように意識障害と頭痛をきたすこともあるが、高齢者では膿尿を認めても無症候性細菌尿であることもあるため安易な髄膜炎の除外は慎む。

 

・項部硬直が明らかであれば髄膜炎を考えるが、項部硬直がないという理由で髄膜炎を否定してはいけない。

・項部硬直よりも痛みで顎を胸につけることができないというneck fection testは項部硬直よりも感度が高い可能性があり、有用である。   家庭医療 6: 10-15, 1999 髄膜刺激症状の検出における Neck Flexion Test の有用性

 

 

・jolt accentuationで髄膜炎が除外できるのは、意識清明で、病歴、患者背景、バイタルから総合的に判断し、髄膜炎の可能性が十分に低い場合のみである。

 

 

・細菌性髄膜炎は超緊急疾患であり、1秒の遅れが命取りになりうる。

・来院後1時間以内に抗菌薬を開始することが必須である。

・市中発症の細菌性髄膜炎では、抗菌薬投与前~抗菌薬投与と同時にデキサメタゾンを投与するべきであるが、院内感染や手術関連ではその限りではない。

 

サンフォードガイドライン2019/日本神経治療学会ガイドライン 参照

・50歳未満,免疫不全 , 慢性臓器疾患の既往歴なし  

第1選択

CTRX 2g 12時間毎 +VCM45~60mg/kg/日 を6-8時間毎に分割して投与(トラフ値20を目標にTDMを行う)

第2選択*

 MEPM 2g 8時間毎 ±VCM 500-750mg 6時間毎(最大2-3g/日まで)

*ただし日本ではカルバペネムによる肺炎球菌耐性率が高く、筆者はMEPMを積極的に勧めない。神経治療学会のガイドラインでもCTRX+VCMでも可とされている。

 

・50歳以上,免疫不全 , 慢性臓器疾患の既往歴あり

第1選択

CTRX 2g 12時間毎 +VCM45~60mg/kg/日 を6-8時間毎に分割して投与(トラフ値20を目標にTDMを行う)+ABPC 2g 4時間毎(APBC/SBT 3g 4時間毎でも代用可能)

第2選択

 MEPM 2g 8時間毎 ±VCM 500-750mg 6時間毎(最大2-3g/日まで) (トラフ値20を目標にTDMを行う)

 

 

ステロイド

・肺炎球菌性髄膜炎に対して予後を改善しうる。

・市中発症の細菌性髄膜炎では抗菌薬に併用する。

・抗菌薬投与前に投与することが重要であり、遅くとも同時に開始する。

デキサメタゾン0.15mg/kgを6時間毎 4日間 (初回抗菌薬投与前に開始)

 

 

結核性髄膜炎について

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6122581/

結核髄膜炎の診断について

結核髄膜炎189人の解析

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191005134954p:plain

やはり頭痛や発熱、後部硬直などを認めることが多い。

年齢はこの報告では意外に若年者も認める。

 

結核髄膜炎の病期分類は以下

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191005135701p:plain

 

GCSおよび意識障害の程度による重症度分類

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191006081619p:plain


 

 

 

髄液所見について(結核髄膜炎ガイドラインより)

髄液のWBCは著増することは少なく、蛋白上昇、血糖低下の傾向はあるが、蛋白が上昇しないこともある。

髄液ADAは15以上で結核髄膜炎を示唆し、カットオフ値は9以上で疑いあり。

とはいえ、髄液ADAは補助診断であることに注意。

感度は髄液抗酸菌塗抹で10~37%、髄液抗酸菌培養では43~52%と低い。

これらの検出率を上げるためには,できるだけ多量の髄液(6 ml以上)を用いることが推奨される。

検査を繰り返し行うことで陽性率は上昇し,計4回の腰椎検査により塗抹・培養とも
陽性率は80%台まで向上する。

髄液の結核PCRは迅速性に優れnested PCRにより感度75~100%,特異度89~100%

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191005135121p:plain

 

結核髄膜炎の頭部CT所見

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191006081823p:plain

 

結核髄膜炎の頭部MRI所見

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191005135416p:plain

 

https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/kekkakuseizuimakuen.pdf

ガイドラインによる結核髄膜炎の診断基準

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191005135748p:plain

 

結核髄膜炎の診断スコアリング

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191005135835p:plain

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5830467/

結核髄膜炎の治療についてのレビュー

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191005140013p:plain

HIV陰性で薬剤耐性のリスクがなければ、ファーストラインはRFP+INH+PAZ+EBの4剤併用療法に加えてデキサメタゾンを投与

デキサメタゾンは局所神経所見 or意識障害があれば0.4mg/kd/day,なければ0.3mg/kg/dayで投与

 

 

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191005140248p:plain

 

結核髄膜炎ガイドラインより

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191006083356p:plain

HIVが合併してない例にはデキサメタゾンを併用すべき

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20191006084132p:plain