https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/196576
古典的なメタアナリシスを改めて読んでみました。
◎目的
第一選択薬として用いられ、主要な心血管疾患の評価項目および全死因死亡率に関して評価された様々な降圧療法の安全性と有効性に関する利用可能な臨床試験の証拠を要約
◎データソースと研究の選択
主要な心血管疾患のエンドポイントを評価する長期ランダム化比較試験をメタアナリシス。
プラセボ治療または未治療対照群と治療郡を比較した研究を解析。
データ抽出ネットワークメタアナリシスを用いて、試験間の直接の比較と他の試験からの間接的な比較をした。
データはプラセボを含む7つの主要な治療戦略に無作為に割り付けられた192 478人の患者を含む42の臨床試験からまとめられた。
◎結果
すべての結果において、低用量利尿薬はプラセボより優れていた
冠動脈疾患(RR、0.79; 95%信頼区間[CI]、0.69-0.92)。
鬱血性心不全( RR、0.51; 95%CI、0.42〜0.62)
脳卒中(RR、0.71; 0.63〜0.81)
心血管疾患イベント(RR、0.76、95%CI、0.69-0.83)
心血管疾患死亡率(RR、0.81、95%CI、0.73-0.92)
総死亡率(RR、0.90; 95%CI、0.84-0.96)
β遮断薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、カルシウムチャネル遮断薬(CCB)、α遮断薬、およびアンジオテンシン受容体遮断薬という第一選択の治療戦略は、いずれの結果においても低用量利尿薬よりも有意に優れていなかった。
CCBと比較して、低用量利尿薬は心血管疾患イベント(RR、0.94、95%CI、0.89-1.00)およびCHF(RR、0.74、95%CI、0.67-0.81)のリスクの低下と関連していた。
ACE阻害薬と比較して、低用量利尿薬はCHF(RR、0.88、95%CI、0.80-0.96)、心血管疾患イベント(RR、0.94、95%CI、0.89-1.00)、および脳卒中のリスク減少と関連していた(RR)。 RR、0.86; 0.77〜0.97)。
β遮断薬と比較して、低用量利尿薬は心血管疾患イベントのリスクの低下と関連していた(RR、0.89; 95%CI、0.80-0.98)。
α遮断薬と比較して、低用量利尿薬はCHF(RR、0.51; 95%CI、0.43-0.60)および心血管疾患イベント(RR、0.84; 95%CI、0.75-0.93)のリスクの低下と関連していた。
血圧変化は同様だった。
◎結論
低用量利尿薬は、心血管疾患の罹患率と死亡率の発生を予防するための最も効果的な第一選択薬である。
臨床診療および治療ガイドラインはこの証拠を反映するべきであり、そして将来の試験は臨床的に有用な比較のための標準薬として低用量利尿薬を使用するべきである。
◎降圧薬は全体的に心血管アウトカムを改善する。
◎低用量利尿薬はCCB,ACE-Iに比べてアウトカムが良い傾向
冠動脈疾患、鬱血性心不全、脳卒中、心血管疾患イベント、心血管疾患死亡率、総死亡率の各項目において低用量利尿薬はプラセボのみならず、他の種類の利尿薬に比べてもアウトカムを改善させる。
他の降圧薬と低用量利尿薬の降圧作用はほぼ同じ
◎感想
低用量利尿薬は特に合併症がない高血圧患者では、確かに第1選択薬かもしれない。
実際に他の降圧薬と比べても優れた傾向。
ちなみに、日本で使うならナトリックスとかが使いやすいです。
http://www.okusuri110.jp/cgi-bin/dwm_yaka_list_sen.cgi?2149012&%83C%83%93%83_%83p%83%7E%83h
薬価も1錠10円と極めて安く、とても良いです。
ややエビデンスは乏しいかもですが、もっと安いのはフルイトランで、6円程度で最も安いです。
http://www.okusuri110.jp/cgi-bin/yaka_search_p2.cgi?2132003
ただ、最近はARBも後発品出ているので安くなっていますが、それでも値段は40㎎で16円程度と、やや高めな印象です。
http://www.okusuri110.jp/cgi-bin/dwm_yaka_list_sen.cgi?2149041&%83o%83%8B%83T%83%8B%83%5E%83%93
私も合併症がない高血圧患者ではナトリックを第1選択にしていましたが、改めてその戦略で良いと感じました。