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城東病院総合内科 ブログ

東京城東病院総合内科の非公式ブログです!

インフルエンザ+肺炎に対する タミフル+クラリスロマイシン+ナプロキセンの併用療法

ジャーナルクラブ
Chest. 2016 Nov 21. pii: S0012-3692(16)62393-0. doi: 10.1016/j.chest.2016.11.012. [Epub ahead of print]

Efficacy of clarithromycin-naproxen-oseltamivir combination in the treatment of patients hospitalized for influenza A(H3N2) infection: an open-label, randomized controlled, phase 2b/3 trial.

 
A この試験の結果は信頼できるか
①その試験は焦点が明確な課題設定がされているか
P
inclusion
18歳以上、38℃以上の温度、以下の症状の1つ(咳、痰の発生、
喉の痛み、鼻漏、筋肉痛、頭痛または疲労)、発症から72時間以内、検査で確認されたインフルエンザA(H3N2)、胸部X線撮影(CXR)またはコンピュータ断層撮影(CT)による肺浸潤、臨床的に入院が必要な患者
 
exclusion
タミフルのアレルギー、CCr< <30mL/min were excluded.
 
I  study group
クラリスロマイシン500mg +ナプロキセン200mg+タミフル75mg1日2回を2日間投与。その後、タミフル75mg1日2回のみ3日間、合計5日間継続。
 
C  control group
タミフル75mg1日2回を5日間投与
 
 
O 
The primary outcome 
30日地点の死亡
 
secondary outcomes 
90日地点の死亡、鼻咽頭液のウイルスのタイター、H3N2に対するノイラミニダーゼ阻害薬の耐性、抗ウイルス薬開始後1-4日のpneumonia-severity-index (PSI) の変動 
 
 
A②その試験は設定された課題に答えるための研究方法がとられているか?
香港の Queen Mary Hospitalでの単施設のRCT  double blindではない

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Queen Mary Hospitalの写真。

wikipediaによると1400床の巨大病院。

香港大学のフラッグシップ病院で教育病院。

 

A③ 患者はそれぞれの治療群にどのように割り付けられたか?
ランダム化は行われている。層別化はしていない。
全ての患者には数字が割り振られ、computer-generated
randomization で、study groupとcontrol groupの1:1で割り付けている。
割り付けられた結果として、バイタルや基礎疾患などは両郡で変わりなし。
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平均年齢は80歳前後
 

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入院時に酸素や挿管をした人もほぼ同等。

 

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実は培養も全例で提出している。

細菌感染の合併も両群で特に変わりなし

 
 
A④研究対象者、現場担当者、研究解析者は目隠しされている?
double blindではない。
薬はパッケージが外され患者と看護師がわからない状況で、薬剤師が看護師に渡しているとのこと。
 
A⑤研究にエントリーした研究者が適切に評価されたか?
 90日までフォローアップ。
7%の脱落は許容する計画

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ITT解析を行っている模様。

脱落はそもそもしておらず、ランダム化された患者は全て解析。

 

 

 
A⑥研究対象となった介入以外は両方のグループで同じような治療がされていたか?
全ての患者で、5日間の経口 amoxicillin-clavulanate 1g 1日2回(市中肺炎に対する治療)とesomeprazole 20mg 1日1回(NSAIDS潰瘍予防)が投与
 
 
A⑦その研究のための対象患者数は偶然の影響を小さくとどめるのに十分な数か?
 We calculated that we would require 93 patients per group in order to detect a
statistically significant 30-day mortality difference between the two treatment groups
(two-sided alpha p=0.05, 80%-power).
各々93人必要で、検出力は80%⇒サンプルサイズは足りている。
 
B結果は何か?
B⑧a 結果はどのように示されたか? 
 

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⇒30日地点の死亡率はP値で有意差あり。 NNTは13.7

 

 

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less frequent ICU/HDU admission (P<0.001), and shorter hospital-stay (P<0.0001).
ICUおよびHDU滞在期間および入院期間もstudy groupで短い傾向
 

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ウイルス量減少、PSIスコアも3剤併用療法が優れている傾向

 
 
多変量解析によると3剤併用療法は30日の地点の死亡率に関連している唯一の因子
Multivariate analysis showed that combination treatment was the only independent factor associated with lower 30-day mortality (odds-ratio:0.06; 95%,confidence-interval, 0.004-0.94;P=0.04

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c 副作用は
 特に変わりないとのこと。 詳細不明
 
C臨床にこの結果はどのように応用できるか? 
 
このstudyには限界もある(discussionに記載)
元々クラリスロマイシンとナプロキセンの抗炎症作用を期待して組んだstudy。
ただ、抗菌薬の効果であることが除外しきれない。
クラリスロマイシンとナプロキセンの併用による相互作用で副作用が起こる可能性も。
PSIスコアは肺炎の評価基準だが、ウイルス感染の指標に応用したが妥当性は?
他には以下の記載もあるが、よく分からない
Patients enrolled in the combination group presented 1-day later than the monotherapy group,which might have put this group at some disadvantage.
 
 
○感想
単施設研究という限界はあるが、呼んでみると意外にしっかりとした研究という印象。
クラリスNSAIDのインフルエンザに対する抗炎症効果が狙い
 
P 入院を要するような高齢のインフルエンザウイルス感染+浸潤影の患者でベースにAMPC/CVAが入っている患者
I タミフルだけでなく初期の2日間のみクラリスロマイシンとナプロキセンを併用
C タミフルのみ
O 死亡率
初期の2日間にした理由は、初期の2日間が特にウイルス量が多いというのと、副作用を最小限にしたいためであり理屈はとおっている。
初期の2日のみの投与でベースにAMPC/CVAが入っていることを考えると抗菌薬としてのクラリスロマイシンの効果は乏しいかもしれない。
サンプルサイズの計算もしっかりしている。
ただ、脱落が全くないというのが逆に少し違和感を感じるが・・・
double blindではないがアウトカムはハードアウトカムなので、大丈夫かもしれない
いずれにせよ、インフルエンザ感染に対するタミフルへのクラリスロマイシンとナプロキセンの上乗せ効果を証明した初めてのstudyのようなので、追試を待ちたいところ。
 
追記
もともとの計画書ではアウトカムはいかの通り。
primary outcomeはウイルス量の減少ですね。たまたま死亡率に差が出たから前面に押し出したのかもしれません。 
Primary outcome measures
Nasopharyngeal aspirate viral load reduction, measured with polymerase chain reaction from day 0 (baseline) to day 3 after recruitment