- PICO
Patient p.1008, Patient selection
Inclusion criteria:イギリスのCastle Hill Hospitalの外来で診断されたNYHA III–IVであり、経胸壁心エコーでEF<45%、利尿薬及びRAA系阻害剤を定量内服しているCHFの成人患者。
Exclusion criteria:呼吸器疾患の併存、最大呼気速度<150L/min、オピオイド過敏症、過去のオピオイド投与歴、eGFR<30ml/min。
Intervention and Comparison p.1008-1009, Study design
Cross-over studyであり、同一群に対して3回介入を行う。それぞれの介入のIntervalにWashoutとして3日間何もしない期間を設ける。
Oral morphine:Oramorph 5 mg(モルヒネ硫酸塩速放剤)の4回/日投与を4日間行う。
Oral oxycodone:Oxynorm 2.5mg(オキノーム/オキシコドン速放剤)の4回/日投与を4日間行う。
Placebo:Placebo(上記2つとよく似た量・粘度の液体)4回/日投与を4日間行う。
Outcome p.1009, Study design
Primary outcome:介入4日目での呼吸困難のNRSの24時間平均とベースとの違い
Secondary outcome:介入4日目での呼吸困難NRSの24時間での最悪値とベースとの違い・Borg scale・呼吸困難に関する臨床全般印象尺度のベースからの変化・満足度NRS・SF-12 を用いたQOL評価・嘔気(NRS)・眠気(NRS)・便秘.あとTable4で安静時脈拍・血圧・呼吸数・SpO2の変化、Table5で嘔吐・かゆみ・めまい・頭痛・腹痛・発汗・口喝についても触れられている。
- ランダム割付されているか?ランダム割付の方法は? p.1007, Figure1. p.1009, Study design.
Cross-over studyなため、同一群。p.1009にRandom number generation programでrandom化し、どの順番で介入を行うかに関してランダム割付を行ったと書かれている。
- ベースラインは同等か? p.1008, Study design
Cross-over studyなため、同一群.
- 研究対象となった介入以外は両方のグループで同じような治療がされていたか?p.1008, Study design、p.1008, Table1.
Cross-over studyなため、同一群.CHFであり、βblocker・ACEI・ARBは多い.
- 研究対象者、現場担当者、研究解析者は目隠しされている?p.1009, Study design
患者・現場担当者はblindされている.解析者に関しては記述なし.
- ITT解析か?p.1010, Statistical analysis
Intention-to-treat analysis
- その研究のための対象患者数は偶然の影響を小さくとどめるのに十分な数か?p.1009-1010, Statistical analysis
NRS1点の違いを検出するのに33人介入を完了すれば検出力80%と見積もっている(そのために脱落者30%と考え48人を最初に確保すべきと書かれている).介入を完了したのが35人となっている.
- 結果は?p.1008, Table2. p.1009, Figure2, Table4.
呼吸困難・苦痛・満足度に関して有意差はみられなかった。BP・HR・RR・SpO2に関してもあまり差はない。
- 結果に有意差はあるか? NNTは?
有意差はない。
- 副作用は?p.1010, Table5
便秘・嘔気・嘔吐・かゆみ・めまい・頭痛・腹痛・発汗に関してほぼOramorph>Oxynorm>Placeboの順番に多い。NNHとしては、OramorphはPlaceboに比べ便秘4.3・嘔吐11・かゆみ11・めまい5.9・頭痛33・腹痛33・発汗33・口喝16、OxynormはPlaceboに比べ便秘5.6・嘔吐17・めまい12.5・発汗33。
- 臨床にこの結果はどのように応用できるか?
Short termであり、モルヒネの量も導入には多い気がします。この研究結果をもって慢性期治療にモルヒネは不要とは言い難いような・・・。ですが、ゆっくりとした心不全増悪の時に無理してモルヒネを使う必要はないのか?と思ってしまいます。