コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

アビガンのCOVIT-19への効果

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2095809920300631

 

P 16-75歳のCOVIT-19

*重症例は除外

RR>30 SpO2<93% ICUに入るような臓器障害、エンドステージの腎障害や肝障害、妊婦 アレルギー

I アビガン(FPV) +吸入のIFN-α1b 

1日目は1回1600mgを1日2回、2日目から14日目まで1回600mgを1日2回経口投与

C カレトラ(LPV/RTV ) +吸入のIFN-α1b 

LPV400 mg/RTV 100 mg を1日2回

 

O ウイルス排出量と 胸部CTの改善率(スコアで点数化)

 

デザイン:open-label 、nonrandomized control study 

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名義変数は χ2 test or Fisher’s exactで評価

連続変数は Wilcoxon rank-sum test or Student’s t testで評価

 

ベースライン

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両郡に大きなベースラインの違いは認めれられない。

死亡率や基礎疾患がどうかなどは気になるが。。

 

結果

〇ウイルス排出量

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明らかにアビガンでウイルス排出量が減少している

 

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14日目での胸部CTの改善率もアビガンで有意に改善

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消化器症状はアビガンで多い

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〇感想

あくまでpilot studyだがアビガンはCOVIT-19に有望と思われる。

少なくとも、カレトラよりは期待できるかもしれない。

https://jyoutoubyouinsougounaika.hatenablog.com/entry/2020/03/19/203208

ただ前回のカレトラの試験よりも明らかに軽症例が多い印象。

抗ウイルス薬は重症化してから使用しても効果が無いということも示唆?

RCTではなく交絡因子の問題が排除できていないこと、選択バイアスの問題もあるため、注意が必要。

アウトカムも代替アウトカムであることにも注意。

今後の追試を待たないと何とも言えない。

ただし、現状で有効な治療がないことを考えると、有望な選択肢として期待はできる。

どのような患者に使用すべきかという基準が今後は問題になるかもしれない

 なお、アビガンは基本的に感染症専門医が使う薬なので、気楽に使うべきではない。

使うか迷うような状況なら、感染症専門医に相談すべきと思われる。