緩和ケアセミナー飯塚 @冬期セミナー2019
飯塚病院の緩和ケアの皆様のセッションに参加しました。
とても勉強になりました!
元々、緩和ケアは癌というイメージがあった。
しかし、癌でなくても死を迎える。
緩和ケアも総合内科の延長と考えている。
専門性が高い症例を除けば、総合内科的な能力で対応可能。
幅広い対応能力 部門、機関を超えるコラボレーションが大切。
緩和ケアのスキルは、すべての疾患が対象
・QOLを改善するアプローチ
・患者とその家族が対象
・生命を脅かす疾患が対象
・場所によらず提供される
・すべての医療レベルで必要
心不全を繰り返す症例で何をするのか??
以下の3つが大切。
①予後予測
②症状緩和
③患者の意向
痛み苦しさを取ることが大切。
本人が病状を聞きたいか確認する。
家族、多職種でのカンファレンスが大切。
でも、本人の意向を確認することが大切。
飯塚式 緩和のスキル
①大外ししない医学的予後予測、症状予測
②思いを探るコミュニケーション
③問題点を整理し、ソリューションを一緒に考えるファシリテーション
〇illness trajectoryを知ることが大切。
医学書院/週刊医学界新聞(第3047号 2013年10月14日)
上記より筆者が引用。
心不全など慢性臓器障害 ⇒入退院を繰り返すうちに年単位で亡くなっていく
認知症・老衰パターン⇒予後予測が最も難しい。。。
癌・悪性腫瘍パターン⇒比較的ADLが保たれているうちに、がたっと悪くなる。 週単位で悪くなる。
癌では亡くなる2週間前まで歩いている。
家族が驚くので、共有することは難しい。
〇予後予測
当てなくてもいい、大外ししなければよい。
患者はグラフのどの時点にいるのかを時々振り返る。
お風呂とトイレがきつくなったら教えてくださいねと、患者さんに教える。
家族や本人に気づいてもらう準備をする。
最善を願いつつ、最悪に備えるマネジメントをする。
時々、他人の目を借りる(継続外来だと衰弱しているのが見えにくい。。子供の成長も分かりにくい。。)
〇可逆性の判断
・治療することでどこまで改善するかを根拠を持って予測は出来ない
・非癌ではさらに予測しにくい
〇以下を意識した予測をする(総合診療医の専門性を出しやすい)
・Multimorbidity
・不確実性
・複雑性
介入により期待される結果と現実の結果とのギャップが大きい⇒不確実性が高い
〇不確実性の高い臨床状況
Multimorbidityな高齢者
終末期患者
先送りしていた人生の問題が終末期に噴出する!!
緩和ケアを提供する場合は複雑性が高まってしまう。
思いを探るコミュニケーションが大切 忙しい外来でもACPをすることが大切。
心不全患者 みそ汁はダメですか? ⇒どういった気持からのお尋ねですか?? ⇒好きなものを食べたい 我慢ばかりしてまで長生きしたくないと(価値観を確認する)⇒承認する
このような、外来での簡単なACPが大切。
何気ないやりよりから簡単なACP ⇒その後時間をとってACPをする。
患者の中心性を高める工夫(エンパワメント)
医学的アドバイスも大切
本人の大切にしたいことは疾患制御だけではないかもしれない
価値観への気付き、思いを探り、思いに答えることが大切。
〇Family meeting
・一回は本人本位で考えたらどうするかと尋ねる⇒良きアドボケーター
・関係者の考えや思いを引きだす
・判断に必要な医学情報を過不足なく受け入れる範囲で提供
・中立的立場でありながらも本人本位
・良い質問が大切
・関係者の納得感が高まるように、圧倒的に納得感を損なわう人がいないことが大切。。
プライマリケア医は緩和ケアに必要な最低限のスキルを持っている。
プライマリケア医がアクセスがよく、最低限の品質を確保した緩和ケアを行っていくことが大切。
〇感想
てっきり麻薬の使い方という話が出るのかと思いましたが違いました。
むしろ、ACPや家族カンファレンスなど総合診療医になじみのある分野を緩和ケアの視点で再構築していただき非常にありがたかったです。
総合診療医ならではの緩和ケアの方策について専門的な立場から考えて頂き、それを伝えて頂きました。
自分たちの普段やっていることを後押ししてくださるようでうれしかったです。
柏木先生、岡村先生本当にありがとうございました!!
もし、詳しくし知りたい方がいれば
岡村先生と柏木先生が編集したGノート特集
「終末期を考える 今、わかっていること&医師ができること」
を是非、ご覧ください!!