頭痛のフレームワーク 21世紀 適々斎塾 2018年度 エキスパートとともに考える症候学セミナー
21世紀 適々斎塾で頭痛のフレームワークについて話をさせていただきました。
頭痛のフレームワークは、おおまかに以下の4つに分けられます。
①雷鳴様頭痛
②頭蓋内疾患
③頭蓋外疾患
④機能性頭痛
この4つの分類にTOSSが有用です
Time course
Onset
Situation
Sever
①の雷鳴様頭痛の肝は突然発症の頭痛かどうかです。
病歴聴取が肝で、頭痛が起こった瞬間何をしているかを言える。0から一瞬でMAXになる痛みは突然発症を示唆します。
一見、キャラにしがちな軽微な意識変容を見逃さないこともポイントです。
②の頭蓋内疾患かどうかの肝は、初発、増悪、最悪の3つのキーワードです。
当然、意識障害や神経学的異常もこのフレームワークを示唆します。
このいずれかに当てはまるなら頭蓋内疾患を考えます。
具体的には、感染症、血管系、悪性腫瘍、外傷の4つを念頭に、症状や身体診察を行います。
③の頭蓋外疾患かどうかは、診察が肝です。
各々の疾患と対応する所見は以下の通りです。
高齢者の頭痛では、側頭動脈炎を念頭に、側頭動脈診察、顎跛行、血沈(CRP)の3つをチェックします。
皮膚:皮膚変化、感覚過敏
眼: 視力低下、眼球触診、充血
鼻: 鼻閉、副鼻腔圧痛
耳: 耳の痛み、耳介牽引痛
歯:歯の痛み、歯科治療歴、歯の圧痛
関節:顎関節の痛み、頚椎の痛み
血管:側頭動脈の異常、顎跛行、新規発症の頭痛、視力低下
神経:後頭神経の圧痛
④の機能性頭痛に関しては、前提としてバイタルサインの異常がないか、CO中毒を疑うような不完全燃焼が起こる状況がないことを確認します。
CO中毒や、薬物離脱、中毒、褐色細胞腫などは除外します。
それらが除外できれば以下の3つを考えます。
・片頭痛
・緊張性頭痛
・三叉神経・自律神経性頭痛(群発性頭痛、片側性頭痛)
片頭痛と緊張性頭痛の鑑別には温度が大切と会場の先生に教えていただきました。
片頭痛は冷や汗をかいて、手が冷たくなるのが鑑別点だと。
緊張性頭痛は暖かいと。
片頭痛患者は、叫んだりせずじっとしている。
群発性頭痛は、痛くて叫ぶ。
ちなみに、流涙、鼻汁などの自律神経症状を伴う場合は、三叉神経・自律神経性頭痛を考えます。
群発性頭痛は比較的持続時間が長く、男性に多いのが特徴です。特効薬はトリプタン皮下注射になります。
一方、片側性頭痛ではインドメタシン75㎎/日が著効することが診断的であり治療的でもあります。
最後に。。
21世紀 適々斎塾に参加されている開業医の先生方のレベルが高すぎて驚きました。
いつまでも知的好奇心や高い向上心を持ち続ける姿勢を私も見習いたいと思いました。
本当に、ありがとうございました!