深部静脈血栓、肺塞栓の安静度
当院のレジデントがまとめてくれました!
■DVT/PE患者が入院した場合、安静度はどうしたらいいのか??
・これまでは施設、個人での判断になっていた
・肺塞栓は離床・活動中に発症する⇔離床・活動と肺塞栓発症に関連しない(それぞれ論文がある)
・日本離床研究会のアンケート
深部静脈血栓に対し治療を開始し、治療域であれば早期に離床をすすめている
■uptodate
ーOverview of the treatment of lower extremity deep vein thrombosis (DVT)
・急性DVTにおいて早期離床は安全
・小規模のRCTやメタ解析で早期離床は再発リスク、致死的肺塞栓リスクを増加させない
・post-thrombotic syndromeはDVT後の慢性静脈不全(急性DVT後1年以内、抗凝固療法によらず約50%の頻度で発症、浮腫(2/3程度で多い)ほか痛み・静脈拡張・皮膚色素沈着・皮膚潰瘍)
・RCTでメリットが明らかでなく、PTS予防での弾性ストッキングのルーチン使用は推奨していない
・使用する場合は抗凝固療法後、2週間内に、2年続けること
・PTSでは下肢挙上や下肢運動、弾性ストッキングを推奨(grade2C)
ーTreatment, prognosis, and follow-up of acute pulmonary embolism in adults
・早期離床は塞栓を悪化させない、可能なら治療されている急性PEでも早期離床をすすめる
・術後のため安静、DVTや低酸素血症で重度の症状があれば制限する
■dynamed
ーDVT治療から
・DVT患者において、早期離床+抗凝固療法はベッド上安静+抗凝固療法と比較し、血栓塞栓の有害アウトカムのリスクを減らす
・3269例のDVTで早期離床 vs ベッド上安静に関してシステマティックレビュー
(PLoS One 2015;10(4):e0121388)
>LMWH、ワーファリン、UFHなど1剤以上抗凝固療法は開始、Day0-2時点で早期離床、3-14日間ベッド上安静、特に指定しない、に分け、7日~6ヶ月フォロー
>肺塞栓・DVT発生の複合アウトカムの減少
ーPE治療から
・ベッド上安静はDVT/PE患者において新規PEリスクへ影響しないと思われる
・2650例の症候性急性DVT(2038例)、PE(612例)の後ろ向きコホートスタディ
(Chest 2005 May;127(5):1631)
>DVTの52%、PEの63%では最初の15日間はベッド上安静の指示
>ベッド上安静 vs 通常の活動の比較
・新規PE 0.5% vs 0.9%(有意差なし)
・致死的PE 0% vs 0.4%(有意差なし)
・出血(minor) 2.6% vs 0%(p=0.02, NNH 39)
■まとめ
・リハビリに支障をきたす問題がないかぎり急性期DVT/PEで抗凝固療法を開始した上で離床をすすめる
・酸素が必要な状態、全身状態によってはリハビリは制限する