ジャーナル流し読み 2017年1月16日
肺塞栓のスコアはいくつかあるが主観的であることもあり、エコーで診断能が上昇するかを評価した。
P:救急でPEを疑われた患者
I:Wells scoreをエコー(肺エコー、下肢静脈エコー)で強化
C:Wells scoreのみ
O:肺塞栓の診断
●エコー郡
Wells scoreの下肢静脈エコーを疑う所見⇒エコーでDVTがない
Wells scoreで他の診断が否定的⇒肺エコーで肺塞栓が否定的
●結果
446人が解析。
登録された患者446人のうち、125人(28%)が肺塞栓症。
エコー郡: 感度69.6% 特異度88.2%
Wells のみ:感度57.6% 特異度68.2%
エコー郡にD dimerを組み合わせると見逃しは、0.8%でありWellsのみより優れる傾向。
超音波検査を使用すると患者の50.5%でCT検査の必要性を回避できるが、超音波検査を追加しない場合は27.2%にとどまる可能性がある。
コメント
実際にWells のスコアを上記のようにエコーで補うという発想は興味深い。
実臨床では肺エコーの他に胸部レントゲンや胸部単純CTも使用して、それでも異常がなければ造影CTとすることもあるが、それだとどうなのかは気になる。
とはいえ、実際には造影CTは疑わしければ取る。
コホート研究
P 男性
I テストステロン使用
C テストステロン未使用
O 静脈血栓症発症
患者の背景
平均65歳程度 NSAIDSとステロイドは DVT郡のほうが多い
テストステロン使用は静脈血栓症のリスク比は非使用に比べ1.25(95%信頼区間0.94-1.66)であり、特に最初の半年では1.63(95% 信頼区間1.12-2.37)と高い傾向
●結論
テストステロンを使用する際は特に最初の半年は静脈血栓症に注意
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1606424
Tranexamic Acid in Patients Undergoing Coronary-Artery Surgery
前向きのRCT blindはしていない
P 冠動脈の手術を行う患者
I トランサミン
C プラセボ
O
primary outdome
術後30日以内の死亡と合併症(非致死的心筋梗塞、脳卒中、肺塞栓、腸管虚血)の複合アウトカム
secondory:出血
トランサミン以外にアスピリン or プラセボにも割り付ける 2×2 のstudy
●結果
●primary outdome
トランサミン郡 16.7% ,プラセボ郡18.1% で有意差なし (relative risk, 0.92; 95% confidence interval, 0.81 to 1.05; P=0.22).
●入院中に輸血された血液製剤の総単位数
トランサミン郡 4,331 単位、プラセボ群 7,994 単位(P<0.001)
●再手術にいたった重大な出血または心タンポナーデ
トランサミン郡 1.4%、プラセボ群 2.8% (P=0.001)
●痙攣
トランサミン郡 0.7%、プラセボ群 0.1% (P=0.001)
●結論
冠動脈手術を行う患者においてトランサミンの使用は血栓合併症を増加させず、輸血や出血を減らす傾向。しかし痙攣は増加させてしまう。
RCT double blind
P 終末期の緩和ケアでせん妄を呈する患者
I ハロペリドール or リスペリドン使用
C プラセボ
O せん妄のスコア
●結果
247人が割り付け(平均75歳、34.4%が女性、88.3%が癌)
ITT解析
(82 receiving risperidone, 81 receiving haloperidol, and 84 receiving placebo).
リスペリドンはプラセボに比べて、せん妄のスコアが平均 0.48 Unit 高い傾向 (95% CI, 0.09-0.86; P = .02)
ハロペリドールも同様にプラセボに比べて、せん妄のスコアが平均0.24Unit高い傾向 (95% CI, 0.06-0.42; P = .009) than in the placebo arm.
プラセボに比べ両群は錐体外路症状が多い傾向(risperidone, 0.73; 95% CI, 0.09-1.37; P = .03; and haloperidol, 0.79; 95% CI, 0.17-1.41; P = .01).
プラセボはハロペリドールに比べ生存が長い傾向 (hazard ratio, 1.73; 95% CI, 1.20-2.50; P = .003)
リスペリドンでは生存に関しては有意ではない(hazard ratio, 1.29; 95% CI, 0.91-1.84; P = .14).
●結論
終末期の患者の、せん妄において抗精神病薬の使用は出来るだけ控えたほうが良いかもしれない。
というか、せん妄において抗精神病薬の使用はできるだけ避け、出来るだけ短期間にしたほうが良いかも。。
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(16)31590-2/fulltext?rss%3Dyes
P アルコール使用障害特定テスト(AUDIT)スコアが12~19点、年齢が18~65歳の男性の危険飲酒者378例
除外:緊急で治療が必要、入院を要する、意思疎通困難、スクリーニング時点で酩酊
I 通常治療郡 Enhanced usual care:EUC
C 通常治療に加え、非専門家による飲酒問題カウンセリング
O 3ヵ月後における飲酒問題改善(AUDITスコアが8未満)および過去14日間の1日平均アルコール消費量とした。
通常治療を行う医師は blind , block 法を使用しランダム化
結果
●飲酒問題改善率
CAP併用群36%(59/164例)、EUC群26%(44/172例)
●過去14日間の禁酒率
CAP併用群42%、EUC群18% (補正オッズ比:3.00[95%CI:1.76~5.13]、p<0.0001)。
コメント
必ずしも専門家でなくても、コメディカルのカウンセリングは有効である可能性。
ただ、実際には誰がやるのかという話。
あとは、標準療法の内容は??