コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

マニュアルカンファ

膿胸 複雑性肺炎随伴性胸水

今日はマニュアルカンファでした!一部共有します ・糖尿病や免疫不全、アルコール多飲だけでなく、誤嚥・鎮静薬使用や口腔衛生不良、COPD・心不全・逆流性食道炎もリスクとなり得る。 QJM. 1996 Apr;89(4):285-9. ・現実的には、エコーで安全に胸水を穿刺で…

胸水のマニュアルカンファ2

マニュアルカンファの内容を一部共有します! 胸膜癒着術 ・癌性胸膜炎に伴う胸水がコントロール不良の場合は、胸膜癒着術が考慮される。 ・癌性胸膜炎の場合は炎症惹起作用が強いピシバニールが好まれる傾向がある。 ・ユニタルクは古典的に使われ、副作用…

マニュアルカンファ 胸水について 前半

本日はマニュアルカンファでした。 内容を一部共有します。 はじめに ・胸水貯留のみで低酸素血症をきたすことは少なく心不全や肺炎の合併を考える。 ・エコーは簡便で感度も高いため、まず行う検査である。 ・胸水の原因検索として滲出性か漏出性か、ドレナ…

体重減少のフレーム

食欲が亢進している体重減少 ・糖尿病 ・甲状腺機能亢進症 ・吸収不良症候群 ・身体活動の増加 食欲が低下している体重減少 ・器質的疾患=食欲低下の鑑別 G Gastric(消化管) E Endocrine (副腎不全) R Respiratory (心肺疾患) D Drug(NSIADS, ジギタリス, …

アナフィラキシーについて

症状・バイタル・身体所見 ・皮疹は90%で認められるが認めなくても否定は出来ないことに注意する。 ・頸部で聴取するStridorは診断において重要であり、意識して聴取しないと見逃すこともあり得るため見逃さないように注意する。ただし時に喘息の急性増悪と…

嘔吐のフレーム

嘔吐のフレーム Am Fam Physician. 2007 Jul 1;76(1):76-84. より一部引用 ・嘔吐はVOMMIT-SAHで考えると分かりやすい。 ・網羅的に嘔吐の原因を考えることが重要である。 ・Vascular (心血管系疾患) 心筋梗塞、大動脈解離、不整脈、急性心筋炎 ・Omedeta …

副腎不全のマニュアル

〇病歴 ・倦怠感・脱力感・易疲労、食欲低下・消化器症状(悪心、下痢、腹痛)を高頻度に認める。 Intern Med. 1994 Oct;33(10):602-6 ・抑うつなどの精神症状や意識変容、行動異常も認められうる。 ・全身の痛みや関節痛を認めることもあり、リウマチ性多発筋…

帯状疱疹について 治療

〇帯状疱疹の抗ウイルス治療 ・免疫不全者では全例、抗ウイルス療法の適応となる。 ・免疫正常者では、50歳以上、中~重度の痛み、重度の発疹、顔面・眼が侵されている時、帯状疱疹の合併症を起こしている時は抗ウイルス療法の適応となる。 N Engl J Med 201…

頭痛のフレームについて

頭痛のフレーム ・頭痛は臨床的に雷鳴様頭痛、頭蓋内疾患、頭蓋外疾患、機能性頭痛の4つに分類するのが有用である ●雷鳴様頭痛 雷鳴様頭痛の鑑別 ・クモ膜下出血 ・静脈洞血栓症 ・頚動脈/椎骨脳底動脈解離 ・下垂体卒中 ・特発性低髄圧症候群 ・第3脳室コロ…

感染症・抗菌薬 総論

・抗菌薬の選択は、患者背景、原因臓器、原因微生物の3つの軸で考える。 ・どんな患者の,どこの臓器に,どのような原因微生物があるのかを抗菌薬を使用する場合は常に意識するべきである. 患者背景(全身状態、基礎疾患、耐性菌) ・全身状態が不良で基礎疾…

熱中症

熱中症の新たな重症度分類 ・近年では熱中症を重症度別に3つに分けることが提案され、それぞれ対応法が異なる。 新分類 症状 重症度 従来の分類 Ⅰ° めまい、失神、こむら返り、筋肉痛 軽症 熱失神、熱痙攣 Ⅱ° 頭痛、嘔吐、倦怠感、集中力低下 中等症 熱疲労 …

腹痛のフレーム

腹痛のフレーム ・突然の激しい腹痛は,破れる・裂ける・詰まる・捻じれるという重篤な疾患を考える。 ・若年者であれば男性は精巣捻転、女性は子宮外妊娠、卵巣出血、卵巣腫瘍茎捻転をまず除外する必要がある。 ・重篤な腹痛を否定しつつ解剖学的に腹痛の鑑…

発熱のフレーム

マニュアルカンファの内容を一部共有します! 発熱のフレーム ・発熱の原因として感染症が占める割合は多いため,まずは感染症による発熱を考える. ・結核,髄膜炎,内分泌緊急疾患(特に甲状腺クリーゼ)を見逃さないように注意する. ○感染症のフレーム ・…

化膿性関節炎マニュアルカンファ

検査・診断 ・CRPが陰性でも化膿性関節炎は否定できないが,血沈は可能性を下げる根拠になりえる. CRP LR+1.6 LR-0.44 血沈 LR+1.3 LR-0.17 JAMA. 2007;297(13):1478-1488 ・関節液の白血球数と好中球分画は非常に有用であり,関節穿刺は必ず行うべきである…