発熱のフレーム
マニュアルカンファの内容を一部共有します!
発熱のフレーム
・発熱の原因として感染症が占める割合は多いため,まずは感染症による発熱を考える.
・結核,髄膜炎,内分泌緊急疾患(特に甲状腺クリーゼ)を見逃さないように注意する.
○感染症のフレーム
・全身状態,リスク因子,局所症状の3つの軸で考える.
・全身状態のパロメーターとして食欲・ADLの低下は重要である.
・敗血症(血圧低下,意識障害,頻呼吸),シバリング,菌血症リスクが高い感染症(尿路感染,肝胆道系感染,ルート感染)を認める場合は緊急性が高く迅速な対応が求められる.
・リスク因子として既往歴,内服薬などに加え,旅行,温泉,動物接触,sick contact,性交渉歴,流行状況,食事摂取歴が重要である.
・局所症状に関しては,Top to Bottomに解剖的なフレーム毎に問診と診察を行う.
・細菌感染症であれば1つの臓器に症状が集約されるのに対して,ウイルス感染症では症状が多臓器に渡ることが特徴的である.
局所症状の9つのフレーム
①中枢神経
②上気道(副鼻腔・咽頭・中耳・歯)
③下気道
⑤肝・胆道
⑥消化管(肛門周囲膿瘍含む)
⑦尿路(前立腺含む)
⑧生殖器
⑨骨・軟部組織(皮膚・骨・深部膿瘍)
○非感染症のフレーム
・非感染症の鑑別は多岐に渡るため系統的に漏れなく考える必要がある.
・NSAIDEという覚え方をここでは提示する.
N:Neoplasm
・血液系腫瘍,肝臓癌,腎臓癌が代表的である
S: Syukketu(出血),Sokusenn(塞栓)
・出血により血腫を作る場合や,下肢静脈血栓症を起こす場合は発熱を起こす.
A:Autoimmune
・血管炎やリウマチ性多発筋痛症,全身性エリテマトーデスでは発熱をきたすことが多い.
I: Inflamation
・痛風や偽痛風の炎症性疾患は発熱を起こす.稀に家族性地中海熱などの自己炎症性疾患も発熱の原因となり得る
D:Drug
・薬剤熱だけでなく,ベンゾジアゼピンでは中止に伴う離脱も考える.また,抗精神病薬過量投与による悪性症候群,SSRI過量投与によるセロトニン症候群も鑑別に挙がる.
E:Endcrine
・甲状腺機能亢進症,副腎不全では発熱を認めることがある.
E:Environment
・熱中症など高体温環境でも発熱を認める.
○入院患者の発熱
・入院患者の発熱では以下の9つで大半を説明可能である.
3つの感染症⇒肺炎(高齢者では特に誤嚥),尿路感染,肝胆道系感染症
・3つの診察(肺音聴診・CVA叩打痛±直腸診・肝叩打痛)と3つの検査(肝胆道系酵素を含めた採血・尿検査・胸部X線),3つの培養(痰培養,尿培養,血液培養)を行う.
6D⇒医原性の3つ(Device,Drug,Difficile),寝たきりの3つ(Decubitus,DVT,cppD)
・デバイス,薬剤,下痢(CDトキシン),褥瘡,下腿左右差,関節(特に膝)をチェックする.
Device (血管内カテーテル,尿道カテーテル,気管チューブ,経鼻胃管,シャント,ペースメーカーなどの埋め込み人工物)
Drug (薬剤熱)
Difficile (CD腸炎)
Decubitus (褥瘡感染)
DVT (深部脈血栓症)
cppD (偽痛風)